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のんびり過ごしても結界使用は約束
しおりを挟む「っとまぁ、こういう冗談は置いておいて……」
「ん?」
エフライムは割と真面目だった気もするけど、俺と姉さんの冗談はこの辺にして、ちょっと真面目な話。
真剣になる程じゃないけど、これからの事だね――。
「とりあえず、モニカさんやソフィーも疲れているだろうから、数日は休んで気楽に過ごす事にするけど、その後エルフの集落に行ったら、しばらくのんびり過ごそうかなって考えているんだ」
「……大体のんびり過ごしているように見えるけどね。まぁ、やっている事は程遠いか」
「エアラハールさんとの訓練とかもあるし、日頃の鍛錬は欠かさないようにするけど……ここしばらくずっと何かをしていたからね。だから、何もせずに気の向くまま……なんて事もしてみたいんだよ」
「そうね……色々頼んでいる私が言うのもなんだけど、確かにりっくんは一人でなんでもやりすぎだとは思うわ」
「リクと会ったのは少し前だが、話を聞く限りではここしばらくどころか、冒険者になってすぐの頃から何かをやっていたように思うがな。確かに、休息も必要か。疲れという意味ではなく、精神的な意味でだ」
ソフィーやモニカさんには既に伝えてあるんだけど、大きな事が起こり過ぎていたから、少しのんびりして見たいという欲求のようなものが沸いて来ている。
とはいえ、冒険者である事も確かだから、適当に簡単そうな依頼を受けたりもしながらだけどね。
お金には困っていないけど、色んな場所で色んな依頼を受けてみたいなとも考えているから。
あまり遠くへ離れる気はないから、この国以外に行く気は今のところないんだけども。
「私としては賛成よ。……とはいえ、アルネの研究やクォンツァイタの事に目途が立ったら、農地のために動いて欲しいとは思うけど」
「そこは、やると決めてるから大丈夫だよ。アルネもそうだけど、もうハウス栽培を実現させる方向に動いているんだから、降りる事はしないよ。多くの人に迷惑がかかるからね」
「そうだな……そのあたりは、シュタウヴィンヴァー領でも期待している。お爺様からはここで学び、リクの協力のもと、領内の発展をと言われている」
「でもまぁ、クォンツァイタがあるだけで、十分に国のためになっているし、まだ農地改革は計画段階だから、そこまで迷惑は掛からないけど……」
「それでも、多くの人の生活が豊かになる可能性が高いんでしょ? それに、キューのためにもやらないといけないからね」
「キューは全てにおいて優先されるのだわ!」
ハウス栽培で重要なのは、魔法維持のための魔力を蓄積するクォンツァイタ、温度管理のためのエルフの研究だが、一番重要なのは俺が使う結界だ。
これがなければハウス栽培の状態にならないし、ビニールはないしガラスだと高価過ぎて広い農地を覆うなんて事もできないから。
俺がいないと、計画が頓挫するのはどうかと思うけど……そもそもが結界の有効利用でもあるのだから仕方ない。
エルサが食べるのを止めてまで主張するように、キューを作る事も重要だからね。
「とは言っても、結局予定されている場所に行って、結界を使うだけだから俺の作業は多くないんだけどね。移動はエルサにお願いすればいいわけだし」
「キューのためなのだわ。任せるのだわ!」
移動はエルサで楽だし、意気込みを見せるくらいだからお願いするまでもなさそう。
結界を使うのはそんなに疲れないし、別に連続して使うわけでもないから、のんびり過ごしているうちにやれる事でもあるからね。
「ほんと、エルサちゃんは便利ねぇ……馬よりも速い速度で、馬よりも障害なく移動できるなんて。他にも飛ぶ手段ができればいいんだけど……」
「あはは、まぁそこは仕方ないよ。まさか魔物に乗って移動するわけにもいかないからね」
空を飛ぶ魔物と言えば、ワイバーンがすぐに思いつくけど……さすがにあれに乗れるとは思えない。
王城を襲って来た時は、まとめてぶっ飛ばしたけど、人間の言う事を聞くようにはとても思えなかったからね。
「……どこかで、空を飛ぶ魔物に乗る騎士の話を聞いたような気もするが……所詮はおとぎ話だろうからな」
「意外と、りっくんのようにエルサちゃんみたいな、ドラゴンと契約した人間の話かもしれないわね。ドラゴンがそうそういるわけないし、見つけて契約ができるのが確定しているわけでもない。不可能と考えた方が良さそうね」
「キューを食べさせれば、契約してくれたりするかもしれないけどね。まぁ、どちらにせよドラゴンがどこにいるかわからないし、実現は難しいだろうね」
「ドラゴンは気ままに動くのだわ。だから、近くにいる事もあれば、遠くにいる事もあるのだわ。どこにでもいてどこにもいない、それがドラゴンなのだわー」
エフライムが聞いた話というのは、ドラゴンと契約した人間という可能性は大いにある。
これまでもいたらしいし、そもそもドラゴンは人間と契約をして、初めて全力を出せるとかなんとかって聞いたから、見付けさえすれば不可能じゃないんだろう。
その見つける事や、面と向かって話すのが高すぎる難易度なんだけども……。
というかエルサ、その言い方だとドラゴンが概念のようになってしまうんだけど、それでいいのか?
……キューを食べながら、満足そうに言っているののがそのドラゴンなので、いいのかもしれない。
ともかく、しばらく王城で過ごしてエルフの集落へ行き、その後はのんびりとさせてもらいながら、研究が完成したらハウス栽培をするために動くと決まって、朝食の席は解散になった。
俺はお茶を飲みながらゆっくりしているけど、姉さんとエフライムはやる事が多いからね……大変そうだ。
なんて考えている俺も、もう少ししたらフィリーナやヴェンツェルさんが来るだろうから、男が死んだという事を含めての話をしないといけない。
突入するだけして、後は他の人達に全部任せたと言うのは、ちょっと無責任だろうし……どうせフィリーナ辺りに話に参加させられるだろうからね――。
「さて、集まったな」
「はい、陛下」
以前パレードの打ち合わせにも使った事がある、広い会議室に集まった俺達を見渡し、女王様モードの姉さんが声をかけ、ヴェンツェルさんが頷く。
この場には、俺、姉さん、ヴェンツェルさんとフィリーナ、エフライムとハーロルトさん、アルネと宰相さんが席についている。
モニカさんとソフィーは、ユノを連れて今日は城下町で過ごすらしく、話しには参加しない……ちょっとうらやましく思ったのは内緒だ。
ヴェンツェルさんとフィリーナは、昨日聞いていたような憔悴している様子はないので安心したけど、いつになく真面目な雰囲気。
エフライムやハーロルトさんと宰相さんは、国の重要人物として参加……重大な情報を共有するためだね。
アルネに関しては、研究をしたいと渋ったんだけど、フィリーナが引きずって参加させた……なんでも、魔法とかに関する知識が必要だからとか言っていたっけ。
これから話す事に、関係しているのかもしれないな――。
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