908 / 1,955
治安悪化の原因
しおりを挟む「そういえば、ツヴァイもそうだったけど……クラウリアさんは毒を仕込んだりしていないの? 直接聞くのもどうかと思うけど」
組織に所属している人達は、自分から情報が漏れる事を防ぐために、仕込んだのか仕込まれたのか……口の中にある毒を使う事がある。
ヘルサルで捕まえた人も同様な人がいたみたいだし、幹部にまでなったクラウリアさんなら当然仕込まれていると思うんだけど……。
「あ、ありますよ。見ますか? あー……」
「いや、見せなくてもいいんだけど」
「そうですか? 残念です」
「何を残念がっているのか、俺にはよくわからないけど……ともかく、クラウリアさんは自分でその毒を使ったりはしないんだね」
というか、魔力か何かに作用させてなのか、情報を漏らそうとしたらその毒を取り除かれていない人は、意思とは関係なく使用される……とかなんとか聞いたようなkもするけど。
ともあれ、毒の事が気になると言ってもさすがに口の中を覗き込んで見る趣味はないからね。
口を開けて見せようとしてきたクラウリアさんには、はっきり断っておく。
そこで残念がられるのはよくわからないけど。
「使いませんよー。私は死にたくないから、組織に返り咲こうとしていたわけですし。そうじゃなければ、さっさと毒を使っていますから」
「まぁ、それはそうか……」
「私から離れた元部下達は一部、それを嫌って自分で毒の仕込まれた歯を抜いたり、とかしていましたけど……女の子がする事じゃありませんから、私はそのままです。それに、与えられた魔力のおかげで自分で使う以外、他の意思を介在させないようにできましたから。幹部になれたおかげですね!」
「そ、そうなんだ……まぁ、それはいいか……」
一度は幹部になれた事を、自慢するように話すクラウリアさんだけど、俺にはその組織の何がいいのかわからないので、一切自慢になっていないというのはともかく。
部下というのが気になったので聞いてみると、ヘルサルで治安を悪くしている原因だった人達は、元々クラウリアさんの部下だったらしい。
組織から身を隠すために、表立って働いたりする事もできないため、外から人が多く来ているこのヘルサルに紛れていたとか。
ただ、働かない以上収入がないわけで……一部の部下や元部下が、勝手に行動した結果が治安への影響が懸念されるような事態になったのだとか。
そのうえで、クラウリアさんの下を離れた元部下達は、毒が仕込まれているのを嫌って自分で歯を抜いたりしたらしい。
毒を仕込まれたままの人は、クラウリアさんの部下だったという事で、ヘルサルで問題を起こして捕まった人達の中で、毒の有無はそこで別れていたんだろう。
部下のままの人達はともかく、クラウリアさんから離れても捕まった際に情報を渡さず、ただヘルサルへ集まるだけみたいな感じで話していたのは、組織だけでなくクラウリアさん達からの報復を恐れての事だろう、と予想してた。
まぁ、クラウリアさんも元々は組織にいた人間だから、口封じをするくらいわけないだろう。
「えーと、それじゃヘルサルに紛れてなんとか生き延びながら、機会を窺ってこの街を潰せば、組織に戻れると考えた……ってわけだね?」
「はい……部下もどんどん離れて行っていましたし、部下も捕まったり数が少なくなっていったので、さっさと行動に移さないといけないと思い……まぁ、こうして阻止されたわけですけど」
「うーん……」
まぁ、今回の騒動を起こした理由はわかったけど……本当にそれで組織に戻れたのかは、疑問だ。
情報が漏れないよう、毒を仕込んだり処分したりといった事をしている組織だから、一度離れた人間を迎えるとは思えない。
クラウリアさんは、手柄さえ立てれば戻れると考えているようだけど、それはちょっと難しいと思う……なんにせよ、こうして俺に止められているから、叶わない事なんだけどね。
「まぁ、そもそもあれだけの爆発とか、こんな規模でヘルサルを潰せると思うこと自体があれだけど……」
「あれ!? あれってなんですか!?」
「いやまぁ、だって……クラウリアさん自身は魔力が与えられて、強力な魔法も使えるんだろうけど……爆発の規模とかを見る限りねぇ……?」
正確な人数はわからないけど……爆発自体散発的にだったから、多くの人を使ってというわけではないんだろう。
冒険者ギルド付近や、行政区画に偏っていたのも人数を考慮してだろうし……本当ならもっと広い範囲で大規模に、同時に事を起こした方が効果的だと思う……俺が考える事じゃないか。
まぁ、その中でも街の主要部を狙っていたのは、冗談とかではなく本気だったからだろうけど。
爆発させている人の魔力には限界があるし、広いヘルサルの全体を爆破する事はできないうえ、ヘルサルには当然衛兵さん達や冒険者がいて、阻止しようと動くはず。
少ない人数で頑張った方なのかもしれないけど、元々不可能な計画だと言わざるを得ない。
小さな建物はともかく、大きな建物すら倒壊させられていないのが、その証拠だろう。
あと、クラウリアさん自身は確かに可視化された魔力を滲み出せる程、多くの魔力量なのは間違いなくても、それだって街一つ破壊できるわけじゃない。
それに、魔法を使えば魔力が減るのは当然……一人で、街にいる全ての人を相手にはできないだろうからね。
魔法そのものは強力だし、一対一だったらクラウリアさんに敵う人はほとんどいないだろうけど、いずれ力尽きるのは目に見えているから。
犠牲は出るだろうけど……まぁ、その前にこうして降参させたんだから、良しとしようか。
「さて……まぁ、もっと深い事情……組織に関する事は俺だけじゃなく、皆がいる時に聞いた方がいいか」
「なんでも聞いて下さい、なんでも答えますよ!」
「いや……答えてくれるのはありがたいけど、どうしてそこまで……」
ツヴァイと違って、こちらの問いに答えてくれるのはありがたいけど……本当かどうかはともかくとしてね。
けど、組織に戻ろうとまで考えていた人が、組織を裏切るような事をしていいのかな? とは思う。
「先程の魔法、そしてそれでも衰えない魔力……私には決して敵わない相手だと悟りました。そして、組織の事なんかも一緒に吹っ飛びましたから! 私は、あなた様の忠実なしもべです!」
「しもべって……さすがにそれは……まぁ、魔力や魔法を見て、叶わないと感じて変に抵抗したりされるよりはいいのかもしれないけど……」
変な意味で懐かれた……かな?
情報を引き出すために、問いかけには答えるようにというのも含めて、時折怒りと一緒に魔力が滲み出ちゃったりもしたけど。
これでいいのだろうか? と思ったりもするけど、まぁ、話を聞いた後はクラウスさんとか街や国に引き渡せばいいだろうから、気にし過ぎなくてもいいか。
「まぁいいや。とにかく街の方も落ち着いたようだから、連行するよ。……クラウスさんの方へ連れて行けばいいかな。じゃ、行くよ? もし抵抗したり、逃げようとしたりしたら……」
「ぴぃ! 絶対に抵抗したり、逃げたりしません! ですけど……」
「ん?」
「その、足が動かないんですけど……?」
「あぁ、そういえばそうだった。んー、焼けば融けるかな?」
「熱そうなので止めて下さい!!」
0
あなたにおすすめの小説
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる