1,098 / 1,955
センテ周辺での狙い
しおりを挟む「じ、じゃあもしかして今頃、アマリーラさん達は……!」
「大量のワイバーンに囲まれているでしょうね。もっとも、今ではなく以前は、になるのだけど」
復元ワイバーンは、俺とユノが倒したのと同じだとすれば、異常な再生能力を持っている。
魔法は使えないみたいだから、アマリーラさんとリネルトさんなら一体や二体はなんとかなると思うけど……数が多くなればなるほど、再生能力が邪魔で倒すのが難しくなる。
最悪の場合……。
「今すぐ助けにいかないと……!」
「落ち着くのだわリク! そもそもどうやって助けに行くのだわ!」
「そ、それは……」
ワイバーンに囲まれていても、アマリーラさん達ならすぐにやられてしまう事はないだろう。
でも、危険な事には変わりない……今すぐ助けないと! という考えに支配された俺に、エルサが叫んで少し落ち着く事ができた。
そういえば、この空間から元の空間に戻る方法とか、どうやったらいいのかわからない。
「助けに行くなんて不可能。そもそも、もうどうにかなっているわよ」
「どうにかって……」
「リクが心配している、あの獣人達がどうなったかは知らないわ。でも、もう全てが手遅れなの。この空間にいるとわからないでしょうけど……あちらの世界では、リクが洞窟に入ってから……そうね、大体十日くらい経っているはずよ」
「十日だって!? でも、ここに来てまだそんなに経っているはずが……!」
体感でだけど、大体一時間から二時間といったくらいだ。
そんな十日も経っているはずがない。
「だってそもそも、最初は時間を引き延ばしているって……」
見えていたアマリーラさん達は、確かにほぼ動いていなかったはずだ。
破壊神の言葉を信じるなら、こちらにいる間は向こうの時間がほとんど進んでいないため、止まっているように見えているとかだった。
「それは本当に最初だけよ。空間を切り離してから、私は時間に干渉していないわ。時間に干渉するのって、干渉力を使い過ぎるのよね」
「で、でもそれなら、十日も経っているなんて理由にはならないんじゃ?」
破壊神と戦い始めてから、十日経っていたなんて事は絶対にない。
時間を引き延ばしていないのなら、同等の時間が経っているはずで……でも、この空間は元の世界の空間とは違うから……?
もしかして……。
「さぁ、どうかしら? あぁそうそう、もういい頃合いだし私の目的はほとんど達成されたようなものだから言っておくわ」
「え?」
何かを思いついたような気がした瞬間、破壊神からの言葉。
俺の考えを読んで中断されたような気もするけど、聞けるのなら聞いておかないといけない気がする。
なんで、ここで俺とエルサを隔離して時間稼ぎをしていたのか。
「これまでの事から、ある程度想像はできていると思うけど、ワイバーンの事も含めて裏で糸を引いていたのは帝国よ。そして協力している冒険者ギルド、だったかしら」
「冒険者ギルドだって!?」
「あら、そこは知らなかったのかしら。リクがこれまで潰して来た計画……その一端を担っているのが、冒険者ギルドよ。まぁ、一つの部署とかそういう感じかしら? 魔物に関するノウハウや情報は、多く持っていたみたいだから」
冒険者ギルドが直接協力している……確かに、マティルデさん達との話では裏ギルドだとか、帝国に取り込まれている可能性なんかも話していたけど。
まさか、直接拘わっているなんて……。
「それが嘘じゃない証拠は……?」
だけど、破壊神の言う事……全てを信じられるかどうかはまた別だ。
「証拠なんて、こんな所で示せるわけないじゃない。信じたくなければ信じなくてもいいわよ? でも私は神なの。神って面倒でね……色々制約があるのよ。ほとんど人間になったユノは別でしょうけど、私のような純粋な神は嘘をつけないのよ。これも、信じるか信じないかはリク次第だけど」
「……」
雰囲気から嘘を言っている風ではない。
けど、本当に信じていいのかどうか……一応今は、信じないと話が進まないし、信憑性の高い情報と思っておくくらいが良さそうかな。
「あ、そうそう。リクが潰した物の中に研究施設もあったわね。あそこは冒険者ギルドが主導していたっけ」
「研究施設……」
ツヴァイのいた地下施設の事か。
それじゃまさか、俺達が今まで帝国と関係を疑っていた組織って、冒険者ギルドの事なのか?
いや、一部の部署みたいな感じと言っていたから、全てがそうというわけではないのか。
破壊神の言う事を信じるならだけど……でもそうだと考えると、冒険者としての身分を利用すれば、アテトリア王国内でも各地に潜む事くらいはできるか。
冒険者になって、一定のランクになれば国境を越える際にも冒険者カードの提示だけで、身分の保証ができて通常より簡単に通れるはずだから。
もちろん、犯罪歴みたいなのも調べられて、問題ないならだけど……さすがにフリーパス状態とまでは言えない。
「何が関わっていたとしても、私には関係ないのだけどね。で、ワイバーンとかをリクがいた人の集まる場所、街の近くに集めた理由は、魔力溜まりの発生を狙うためよ」
「魔力溜まり……? なんだってそんな事を?」
「魔力溜まりがあると、どう魔物に作用するか調べたいらしいわ。まったく、私の創った魔物なのに、勝手に強化するためとか考えているようね。でも、効果はそれなり……かしら? 劇的には変わらないのだけどね」
魔物を創ったのは、創造神のユノではなく破壊神。
だからその話は正しいのだろう……魔力溜まりを利用したら、魔物が強力になるのか。
魔物を復元したり集めたり、さらに特殊な能力を持たせたり強化したり。
今度は魔力溜まりで、単純な能力強化といったところなのだろうか?
「だから、魔物の死骸をセンテの南に……」
「大量の魔力を空気中に霧散させるのが、一番手っ取り早いからね。リクのように異常な魔力量があれば、もう少し簡単にできるでしょうけど」
ヘルサルで発生した魔力溜まりは、俺が加減せずに魔法を使った事以外にも、大量のゴブリンが持っていた魔力が原因だ。
魔物の死骸を運ぶ以外にも、定期的に俺が魔力を一定の場所で解放するとかしていたら、魔力溜まりにさせやすいのかもしれない。
「そして、リク達が調べていた事で多少の邪魔はできていたようだけど、今日……いえ、大体十日が経っているだろうから、十日くらい前かしら。準備がほとんど整ったの」
「準備が……それじゃあ魔力溜まりが?」
「いえ、まだ完成しないわ。魔物の死骸を運んで魔力を霧散させる事で、近付いてはいるけれど発生させるにはまだまだ足りない。それなら、もっと多くの魔力を集めればいい……あら、近くに人間が多く集まっているわね?」
「……センテの人達を、魔力溜まりを発生させるために」
魔力を大量に集めて、魔力溜まりにするにためだけに、センテの人達を狙っていたのか……。
おそらく怒りの感情だろう、何も罪のない人達を、ただそんな事のためだけに狙っていたとわかって、両手に力が入って震えていた――。
0
あなたにおすすめの小説
「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ
天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。
彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。
「お前はもういらない」
ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。
だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。
――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。
一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。
生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!?
彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。
そして、レインはまだ知らない。
夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、
「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」
「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」
と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。
そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。
理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。
王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー!
HOT男性49位(2025年9月3日0時47分)
→37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
異世界に降り立った刀匠の孫─真打─
リゥル
ファンタジー
異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!
主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。
亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。
召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。
そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。
それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。
過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。
――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。
カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる