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マックスさん達ヘルサル組も参戦
しおりを挟む「し、失礼しましたリク様! まさか、魔物の大群の中からリク様が出て来るとは思っていませんでしたので……」
「まぁ仕方ないですよ。目印のエルサも今はいませんし……魔物の中から出てきたら、誰だって怪しみますから」
マックスさんに促されて、土壁の内側に行くと思いっ切り頭を下げる兵士さん。
俺に向けて魔法攻撃をした事を謝っているけど、まぁさっきの状況なら怪しむのは仕方ないと思うし、何も考えずに魔物達の中を突っ切った俺が悪いからね。
土壁の中には多数の兵士さんがいて、今でも魔物達の動きを監視したり、備えている……疲弊している様子が見られるのは、おそらく数日以上の戦いが続いているからだろう。
よく見れば、鎧なども汚れていたり傷付いたりしている。
「リク、それにしてもどこかへ消えたと聞いたが……まさか魔物の中から出て来るとは思わなったぞ?」
「まぁ色々ありまして。魔物の中から出たのは、群れている向こう側から突っ切ったからなんですけどね」
「……あの魔物達が群れを成す中を、突っ切って来ようとはリク以外には考えないだろうな。だが、一体どういう事なんだ? モニカ達が言うには、忽然とリクの姿が消えたという事だったが……随分と心配していたぞ」
「話すと長くなるので、今はちょっと。モニカさん達皆が集まった時にしましょう。でも、心配かけてしまいましたね」
マックスさんは、俺が魔物の大群の中から現れるよりも、どこかへ姿を消していた事の方が気になるようだ。
モニカさん達にも心配をかけているようだし、破壊神だのなんだのってのは、今話すと長くなるだろうから落ち着いた時、皆が集まってからにした方が良さそうだね。
「そうか……まぁ、俺はリクならいずれ戻って来るから、心配していなかったがな」
「よく言うわね。信頼している風を装って……リク、こう言っているけど、モニカと同じように毎日心配していたのよこの人」
「マリーさん!」
マックスさんの言葉は、横から聞こえてきた声によって否定される。
声の方を見てみると、マックスさんと同じく久しぶりのお世話になった人……マリーさんがいた。
「久しぶりね。私も、リクがいなくなったって聞いた時は、心配したけど……モニカが一番ひどかったわ。あれは、ちょっと見せてあげたいくらいよ……」
「すみません、御心配をおかけしました……」
マリーさんも相変わらずで、少し疲れている様子以外は以前会った時と変わっていない。
ちなみに、モニカさんの様子がどんなのだったかと聞くと、食事中にお皿やフォークなども一緒に口の中に入れて咀嚼しようとして、しかもそれに自分で気付いていないというおかしさだったらしい。
周囲のソフィーやマックスさん達で、止めるのが恒例になっていたのだとか。
「そういえば、どうしてマックスさんやマリーさんがここに?」
「センテからの応援要請があったからな。すぐ近くにあるセンテが魔物からの被害が出れば、ヘルサルにも確実に影響が出る。もしセンテが壊滅した場合、その魔物達もヘルサルに来る可能性があるわけだし、相互協力はするようになっているんだ」
「だから、私達も店どころじゃなくてね。ルギネ達や元ギルドマスターも来ているわよ? 店の常連になっていた、代官様からも要請があったから」
「ルギネさん達もですか、それは心強いですね。代官様ってクラウスさんですね……獅子亭の常連になっていたんだ……」
「元どころか、現ギルドマスターのヤンも来ているな。まぁ、あっちは冒険者ギルドとの兼ね合いだろうがな」
ヤンさんも来ていたんだ。
マックスさん達が来るくらいだし、緊急事態だから近くの冒険者ギルドとして協力する体制が整っているんだろうね。
「あ、そうそうリク。さっきの魔法、大丈夫だった? こちらからは撃った先の事はよくわからなくてね。どこへどんな魔法を放つかの指示はあるんだけど、それでどうなったかまでは私達にはわからないのよ」
「マリーさんも魔法を撃っていたんですね。一応、全部避けたから大丈夫です。俺の後ろに追いかけて来ていた魔物達には当たっていましたけど」
「あれを避けるねぇ……さすがリクね、尋常じゃないわ。……避ける隙間なんてあったかしら?」
俺に向かって降り注いでいた魔法、マリーさんが使ったのも混ざっていたようだ。
確かに、ほとんど隙間はなかったけどそれは打ち上がるまでの事で、山なりに降り注ぐまでに多少の隙間はできていた……マリーさんの言う通り尋常じゃない事なのかもしれないけど、隙間や着弾までのズレがあれば、速度はあまり速くなかった分避けるくらいはできる。
演習をした時の成果や、破壊神の閃光を避けていた影響もありそうだけど。
「まぁ、最近魔法を防御だけでなくて避ける機会も色々あったので。とりあえず、ここでこうして話しているだけってわけにもいきませんね。さっさとこちらに向かう魔物達をどうにかしたいんですけど……ちょっと難しそうです」
「リクでもか? まぁ、確かに数は多いが……ヘルサルの時程ではないだろう?」
「そうですけど、ちょっと色々あったせいで魔力が残り少ないんです……」
実は、なんとか走ってここまで来たけれど、そろそろ魔力の限界なのかちょっと立っているのも辛かったりする。
疲れとかではないし、息切れもしていないから表面上は無事っぽく見えるだろうけど。
とは言え、ルジナウムやヘルサルの時のように意識を失ってはいけないので、気を張り続けているけど……さすがに魔物を一掃する余裕はなさそうだ。
「ちょっと休めば、多分大丈夫だと思いますけど……」
魔力の回復にどれくらい時間が必要かはわからないけど……多少の魔法を使えるようになれれば、皆に加勢するくらいはできるはず。
「そうか……わかった。それではリクには少し休んでもらう方がいいだろう。最初は押し返す勢いがあったくらいだしな。ここ数日は、続く戦闘に少々士気が下がって不味い状況になりかけていたんだが……リクが戻ってきたとわかれば、皆頑張れるだろう」
「二日くらいは、ゆっくり休んでいいと思うわよ? それくらい私達も頑張って耐えて見せるわ。事情はわからないけれど、リクがそんなに弱っているって事は色々あったんだろうし。全部片付いたら、話を聞かせてもらうわね」
「ありがとうございます」
ずっと戦っていれば、兵士さん達を含めて皆の士気が下がって来るのも当然だろう。
俺が来たら士気が上がるっているのはともかく、大群の魔物に攻められ続けるっていうのは、耐えられてもいつまで続くのかという不安や恐怖とも常に隣り合わせだ。
肉体的にも精神的にもきついからね……しかも、突発的に魔物が襲ってきている状況だった場合、特にね。
周囲にいる兵士さん達は、俺が土壁の内側に来た時よりも、確かにマックスさんの言う通り顔に覇気が戻ってきているように思う……最初は半信半疑だったからってのもあるんだろう。
俺が休む間も、なんとか持たせて見せると言うマックスさん達に感謝し、とりあえず休む……前に、全体の状況だけは聞いておく。
何もわからないまま休んでも、落ち着いて休息できそうにないからね――。
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