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やっぱり他にもいた特殊な趣味のワイバーン
しおりを挟むワイバーンに関する報告をアマリーラさんから受けている俺、大体は馬より扱いやすいって話ばかりだけど。
空を飛んでいても、ちょっとした事で手綱を使う必要はないし、そもそも手綱を付けていない……ワイバーン用の手綱なんてないからね。
でも、言葉でこうして欲しい……と伝えるだけで素直に従ってくれるので、凄く助かっていると。
ただ……。
「一部のワイバーンなのですが、兵士から馬のように鞭を振るって欲しいとの要望が……」
「えっと……」
「他の者達が、馬に乗っている際手綱と一緒に馬鞭を振るっているのを、見たらしいのです」
馬に乗る際、手綱を握るのは当然の事ながら馬鞭を使う事も多い。
んで、カイツさんに皮を剥がされて喜んでいる特殊な趣味のワイバーンと同じく、こちらのワイバーンもその一部が馬鞭に興味を示しているんだとか。
要望と言っても、はっきり互いの意思疎通ができるわけじゃないんだけど、興味を持ったワイバーンが馬に乗った兵士さんの方を見ているらしい。
中には、ふらふらと近付いて驚いている兵士さんの持つ馬鞭に、顔を近付けてジッと見つめるなど。
これらの事から、もしかしてと馬鞭の事を話してみたら、羽根を羽ばたかせながら凄い勢いで頷いたと。
そこから、一部が馬鞭を振るって欲しいと要望しているんだと、わかったんだとか。
「とはいえ、リク様から借り受けているので……そのような扱いをしていいのかわからず」
アマリーラさんとしては、求められているとわかっても馬と同じ扱いにしていいのか、わからなかったってとこだろう。
もう少し早く、こちらの様子を見に来て確認しておいた方が良かったかもね。
「それで、ちょうどいいから俺に聞いたわけですね。……はぁ、大丈夫です。ワイバーンはそうしてもらう方が喜ぶのもいるらしいので、馬鞭を使って欲しいのかどうかはちゃんと聞いたうえで、使ってやって下さい」
「畏まりました!――お前ら、リク様の許可が出たぞ! 馬鞭の用意を!」
「はっ!」
「「「GRA、GURUA~!!」」」
俺が頷くと、すぐにアマリーラさんが他のワイバーンに乗る兵士さん達に指示を出す。
それを聞いたワイバーンの一部は、羽根を広げてすごく喜んでいる様子……うーん、全てじゃなくて一部なんだけど、ワイバーン達は本当にこれでいいんだろうか?
押し込まったら、ボスワイバーンと相談させてもらう事にしよう。
喜ぶワイバーン達と、馬鞭の用意をする兵士さん達を眺めつつ、アマリーラさんとリネルトさんから、ワイバーンに乗っての報告を受ける。
モニカさんは、エルサを抱いてそれぞれのワイバーンを一体ずつ見たり撫でたり、あっちはあっちでちょっと楽しそうだ。
時折、エルサが威嚇してワイバーンが怯えている様子も見られたけど。
「他には……」
「そうですね……」
「あ、リク様リク様~」
アマリーラさんやリネルトさんからの報告は、ほとんどがワイバーンに乗って上空からの偵察ができるのは、便利だという事に終始していた。
今は、北側と南側に別れているようで、王軍にも協力しているらしい。
南側は、王軍と協力して点在している魔物の掃討をしながら、森から俺達が倒したワイバーンの素材回収も進めているとか。
大体、半分くらいの回収が終わったらしい。
大量にあるのと、少し離れた場所だから時間がかかっているけど、特に問題はなし。
東側に戦力が集中して、掃討作戦が開始される頃には街から荷馬車を出して、一気に回収する手筈になっているとか。
今は王軍が通ったり、魔物の討伐をしたりと、そちらの邪魔をしないように少しずつ回収しているそうだ。
その他、リネルトさんが時折東側に行って上空から見た魔物分布や、兵士さん達の配置についての相談をする事もあるらしい。
まぁ、空から俯瞰してみた時の情報って大事だからね。
その情報をもとに、北と南から王軍が囲む布陣についても考えられているとか……ワイバーン運用、まだここだけだけど、うまく行っているようで何よりだ。
「正直なところ、空を飛ぶという事がここまで便利だとは思っていませんでした……移動に際しては、確かに便利だとは予想してはいましたが」
「そうですよねぇ。しかも、空を飛ぶと馬に乗るよりも爽快なんですよぉ。油断すると、落ちる危険があるんですけど。それは馬も一緒ですからねぇ」
「リネルトははしゃぎ過ぎなのだ。少し落ち着いていれば、多少の風でも落ちるような事はない」
「ははは、まぁ空だと何にも邪魔されませんから、気持ちいいのわわかりますよ。でも落馬よりも空から落ちる方が当然危険で、怪我で済まない事も多いので気を付けて下さい」
空を飛ぶ便利さを、アマリーラさんとリネルトさんは実感しているようだ。
まぁ、これまで空を飛ぶための手段がなかったから、移動する時川や山を越える時空を飛べたらなぁ……みたいに考える事はあっても、他の用途は考えたりしないものなのかもね。
ただワイバーンはエルサと違って結界を張れないので、速度を出して飛ぶと風圧がきつそうだし、落ちる危険性がある。
いやまぁ、エルサでも落ちる危険はあるけど、結界があれば受け止めてくれるから落ちても大きな危険はないんだよね。
ともあれ、空からの落下は命の危険がかなり高いので、リネルトさんには注意しておく。
落馬も、それはそれで危ないけどね。
……本格的にワイバーンを運用するなら、落ちないための仕組みも何か必要かもしれないなぁ。
ハーネスを付けて、ワイバーンと繋いでおくとか? さすがに、落ちた時に備えたパラシュートは無理だろうし……安全装置的な何かが欲しいところだ。
そんな事を考えつつ、アマリーラさん達との話を終えて再び空へと飛び立つワイバーン達を見送る。
一部、馬鞭を用意して振るわれていたワイバーンの喜ぶ鳴き声が、結構響いていたけど……気にしない方がいいだろう。
「見渡す限り、何もないわね」
「まぁ、大規模に整地したような物だからね」
「見晴らしがいいのだわー」
アマリーラさんを見送った後は、スピリット達が魔物を倒した場所……その中心に来てみた。
アーススピリットのアーちゃんが、魔物だけの舞台を作った場所の真ん中だね。
数日経っているけど、そこには草一本生えておらずまっさらな状態。
多分、フレイちゃんが焼き払った魔物の死骸と一緒に、草の根すらも全て埋めたからだろう。
「私、ヘルサルでリクさんがゴブリンを殲滅した後の事を思い出したわ」
「……実は俺も、少し思い出してた。あの時と違ってガラス化はしていないけど」
何もないまっさらな地面……俺がガラス化した物を隠すため、地中深くまで掘り返したのが原因で、今ヘルサル農場となっている場所は一度同じように整地した。
それと似たような感じだけど、対処したのもあって魔力溜まりにはなっていないし、地中にガラスが埋まっている事もない。
表面の見た目が一緒ってだけなんだけどね。
見晴らしはいいけど、そこかしこにクォンツァイタが安置されていたりもする。
今は魔物が近寄って来ないどころか、周辺から一掃されているのでほぼ剥き出しだけど、一応監視する人はいるようだ――。
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