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暇があるとやり過ぎるリク
しおりを挟む「まぁ、他にやる事なかったからね。でも、これじゃまだ足りないくらいだし」
「十分、不足している矢の代わりになるくらいなのだわ……どれくらいあるのだわ?」
「どれだけだろう、俺も数を数えながら作ったわけじゃないから……」
石の矢の山は、作った物を兵士さんに持って行ってもらっているのもあるし、今も積まれているだけでも高さ数メートルはある石壁の上に届きそうなくらいだ。
ざっと見て、数千といったところかな? 運んでもらったのも合わせてだけど。
途中からなんか、一度に数個から数十くらい作れるようになったから、楽しくなったんだよね。
でも、兵士さんの数が王軍と侯爵軍合わせて千数百として、一度放つだけでもそれだけ消費するわけだし、数回放つだけで全部消費してしまうわけだし。
魔物が退いたり、倒し終わったりしたのならともかく、途中でまだ使えそうな矢を拾いに行くなんてできないから、基本的には使い捨てだ。
だから、何度も放てるようにって考えたんだけど……。
「もし戦いが長引いたら、何度どころか何十回も攻撃をするって考えたらね。だから足りないんじゃないかな?」
「リク、よく考えるのだわ。戦っている人間が、全て飛び道具を使えるわけじゃないのだわ。魔法や他の事をするのもいるのだわ……」
「あー、そういえばそうか」
兵士さんの数から、全員が一斉に放って何回か……みたいな計算をしていたけど、そんなわけないか。
「作り過ぎちゃったかな? まぁ、あって困る物じゃないから、いいか」
スピリット達との話で、今はほぼ魔力に気を付けなくていいようなものだし。
さすがに俺自身の魔力は多少減っている自覚があるけど、今後に支障が出る程じゃない。
「あ、土というか石と言えば、アーちゃんに作ってもらった方が、もっといいものができたりとかしたのかな?」
ふとした疑問。
土の精霊であるアーススピリットのアーちゃんなら、土を自在に操れるみたいだし、もっと鋭くて実用性がある石の矢が作れたのかもしれないと思った。
俺が作ったの、先があまり鋭くない物も含めて、形がいびつなのがあるし……これは単純に、俺が矢という物を使い慣れていないせいだと思うけど。
「作ろうと思えば……というかだわ、リクが頼めば作れると思うのだわ。どれだけの物ができるのか、私にはわからないのだわ」
「それもそうか」
エルサでもさすがにわからないか。
「そのスピリット達は、姿が見えないのだわ。本当に周辺を包む……負の感情だわ? それの対処をしているのだわ?」
「それこそ、俺に聞かれてもなぁ……魔力は確かに、スピリット達を召喚したまま消費されている気がするけど」
スピリット達にセンテ周辺の、俺に流れている負の感情の対処を任せているけど、何をどう対処しているのかは全くわからない。
目立つアーちゃんもその姿が見えないし……召喚したまま、俺の魔力を使っているのは間違いないから、何かをしてはいるんだろうけどね。
視覚的や感覚的にわかるわけじゃないから、エルサが疑問に思うのも無理はないかもしれないけど。
「今、負の感情とか、スピリットって言ったわよね? って、また何をこんなに作って……リクの考える事はよくわからないわ」
「ロジーナ。一応神様だったロジーナに、わからないって言われるとちょっと微妙だね……」
「一応じゃないわよ」
エルサと話しをしていると、俺から祈りを捧げられた刺激が強かったから……なんてよくわからない事を言っていたロジーナがやってきた。
俺達の話を聞いたらしい。
ユノとロジーナは、モニカさんが看病……という程じゃないけど、見てもらっていたんだけどもう平気そうだね。
あの時、熱病にうなされているようになっていたから。
ロジーナだけなのは、ユノはいっしっょに行動をしたくないからか……モニカさんは、ユノと一緒にいるんだろう。
まぁ、あれだけで仲良く一緒に行動するようになるわけないか。
「それで、どういう事、リク? 私はスピリットなんて話は聞いていないわよ?」
「まぁ……聞かれなかったからというか、わざわざ話す事でもないと思ったし……」
スピリット達を呼び出している事なんて、ロジーナには関係なさそうだったからね。
というより、俺からそういった話をさせてくれる雰囲気じゃなかったし。
ともあれ、ロジーナが興味を持っているようだし、別に隠す事じゃないからとスピリット達の事を説明。
ついでに負の感情がセンテを渦巻いているようだ……という事も話した。
負の感情とかってのも、聞いていたみたいだしそちらの事も話せって言われたから。
「……スピリットを四体全て召喚なんて……いくら魔力があって、しかもドラゴンと契約しているからってできる事じゃないはずなのに……意味がわからないわ」
俺の説明を聞き終えて、頭を抱えているロジーナだけど、俺にはそんな反応をされる方の意味がわからない。
特別な魔法を使った、という感覚もないからなぁ。
「で、今そのスピリット達が負の感情の対処……おそらく、除去ね。それをしているのね?」
「除去かどうかはわからないけど、対処するって言っていたね」
「だったら……わかっていたら、私もここまで焦る必要はなかったのね……はぁ」
「ロジーナ?」
何やら、ブツブツと呟いて項垂れたロジーナ。
さっきから、四体のスピリット全てを俺が召喚したと言ったら、体を仰け反らせるくらい驚いたり、頭を抱えたり項垂れたり……忙しい。
俺は見ていて少し楽しいけど。
隔離された時は、俺が色々驚かされたからなぁ……仕返しってわけじゃないけど。
「私の計画は、もうすでに意味を成していなかったのね。いえ、まだ可能性は残っているけれど、今は私が防ぐ側に付いちゃったし……神が、一度した約束を……その性質と衝動と違う事になっても、反故にするのは許されないわ……はぁぁぁぁ……」
ロジーナは俺の呼びかけも無視して、ブツブツと何かを呟いた挙句、深く……それはもう深く溜め息を吐いた。
一体、どうしたっていうんだろう?
「いい、リク? この際だからもう言っちゃうけど……その負の感情は、私が用意して私が利用しようとしていたの」
「え……ロジーナが?」
「そうよ。実質的に行動をしたのは帝国や魔物達だけどね。私が直接干渉するわけにはいかなかったし」
「あぁ、干渉力の問題か」
ロジーナは今でこそ人間だけど、神様の時は干渉力というのがなければ直接この世界に何か、影響を与える事はできないらしい。
俺を隔離する時に、全力で干渉力を使うためにもできるだけ直接の拘わりは避けていたみたいだね。
……それでも結局、俺の魔力とロジーナの干渉力勝負で、なんとか勝ったんだけど。
「私の計画では、リクをあの場所に隔離して絶望させ、戻った場所では街の壊滅。さらなる絶望を味合わせようとしていたのよ」
「それだけ聞くと、なんで今こうして話しているのか疑問に思うくらいだね」
破壊神だからなのかわからないけど、ロジーナの口から語られる計画は邪悪そのものというかなんというか。
俺にこだわる理由はともかくとして、ただただ人を絶望に叩き落すという計画のために、帝国も含めて利用したってわけだ――。
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