神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
1,231 / 1,955

暇があるとやり過ぎるリク

しおりを挟む


「まぁ、他にやる事なかったからね。でも、これじゃまだ足りないくらいだし」
「十分、不足している矢の代わりになるくらいなのだわ……どれくらいあるのだわ?」
「どれだけだろう、俺も数を数えながら作ったわけじゃないから……」

 石の矢の山は、作った物を兵士さんに持って行ってもらっているのもあるし、今も積まれているだけでも高さ数メートルはある石壁の上に届きそうなくらいだ。
 ざっと見て、数千といったところかな? 運んでもらったのも合わせてだけど。
 途中からなんか、一度に数個から数十くらい作れるようになったから、楽しくなったんだよね。
 でも、兵士さんの数が王軍と侯爵軍合わせて千数百として、一度放つだけでもそれだけ消費するわけだし、数回放つだけで全部消費してしまうわけだし。

 魔物が退いたり、倒し終わったりしたのならともかく、途中でまだ使えそうな矢を拾いに行くなんてできないから、基本的には使い捨てだ。
 だから、何度も放てるようにって考えたんだけど……。

「もし戦いが長引いたら、何度どころか何十回も攻撃をするって考えたらね。だから足りないんじゃないかな?」
「リク、よく考えるのだわ。戦っている人間が、全て飛び道具を使えるわけじゃないのだわ。魔法や他の事をするのもいるのだわ……」
「あー、そういえばそうか」

 兵士さんの数から、全員が一斉に放って何回か……みたいな計算をしていたけど、そんなわけないか。

「作り過ぎちゃったかな? まぁ、あって困る物じゃないから、いいか」

 スピリット達との話で、今はほぼ魔力に気を付けなくていいようなものだし。
 さすがに俺自身の魔力は多少減っている自覚があるけど、今後に支障が出る程じゃない。

「あ、土というか石と言えば、アーちゃんに作ってもらった方が、もっといいものができたりとかしたのかな?」

 ふとした疑問。
 土の精霊であるアーススピリットのアーちゃんなら、土を自在に操れるみたいだし、もっと鋭くて実用性がある石の矢が作れたのかもしれないと思った。
 俺が作ったの、先があまり鋭くない物も含めて、形がいびつなのがあるし……これは単純に、俺が矢という物を使い慣れていないせいだと思うけど。

「作ろうと思えば……というかだわ、リクが頼めば作れると思うのだわ。どれだけの物ができるのか、私にはわからないのだわ」
「それもそうか」

 エルサでもさすがにわからないか。

「そのスピリット達は、姿が見えないのだわ。本当に周辺を包む……負の感情だわ? それの対処をしているのだわ?」
「それこそ、俺に聞かれてもなぁ……魔力は確かに、スピリット達を召喚したまま消費されている気がするけど」

 スピリット達にセンテ周辺の、俺に流れている負の感情の対処を任せているけど、何をどう対処しているのかは全くわからない。
 目立つアーちゃんもその姿が見えないし……召喚したまま、俺の魔力を使っているのは間違いないから、何かをしてはいるんだろうけどね。
 視覚的や感覚的にわかるわけじゃないから、エルサが疑問に思うのも無理はないかもしれないけど。

「今、負の感情とか、スピリットって言ったわよね? って、また何をこんなに作って……リクの考える事はよくわからないわ」
「ロジーナ。一応神様だったロジーナに、わからないって言われるとちょっと微妙だね……」
「一応じゃないわよ」

 エルサと話しをしていると、俺から祈りを捧げられた刺激が強かったから……なんてよくわからない事を言っていたロジーナがやってきた。
 俺達の話を聞いたらしい。
 ユノとロジーナは、モニカさんが看病……という程じゃないけど、見てもらっていたんだけどもう平気そうだね。
 あの時、熱病にうなされているようになっていたから。

 ロジーナだけなのは、ユノはいっしっょに行動をしたくないからか……モニカさんは、ユノと一緒にいるんだろう。
 まぁ、あれだけで仲良く一緒に行動するようになるわけないか。

「それで、どういう事、リク? 私はスピリットなんて話は聞いていないわよ?」
「まぁ……聞かれなかったからというか、わざわざ話す事でもないと思ったし……」

 スピリット達を呼び出している事なんて、ロジーナには関係なさそうだったからね。
 というより、俺からそういった話をさせてくれる雰囲気じゃなかったし。
 ともあれ、ロジーナが興味を持っているようだし、別に隠す事じゃないからとスピリット達の事を説明。

 ついでに負の感情がセンテを渦巻いているようだ……という事も話した。
 負の感情とかってのも、聞いていたみたいだしそちらの事も話せって言われたから。

「……スピリットを四体全て召喚なんて……いくら魔力があって、しかもドラゴンと契約しているからってできる事じゃないはずなのに……意味がわからないわ」

 俺の説明を聞き終えて、頭を抱えているロジーナだけど、俺にはそんな反応をされる方の意味がわからない。
 特別な魔法を使った、という感覚もないからなぁ。

「で、今そのスピリット達が負の感情の対処……おそらく、除去ね。それをしているのね?」
「除去かどうかはわからないけど、対処するって言っていたね」
「だったら……わかっていたら、私もここまで焦る必要はなかったのね……はぁ」
「ロジーナ?」

 何やら、ブツブツと呟いて項垂れたロジーナ。
 さっきから、四体のスピリット全てを俺が召喚したと言ったら、体を仰け反らせるくらい驚いたり、頭を抱えたり項垂れたり……忙しい。
 俺は見ていて少し楽しいけど。
 隔離された時は、俺が色々驚かされたからなぁ……仕返しってわけじゃないけど。

「私の計画は、もうすでに意味を成していなかったのね。いえ、まだ可能性は残っているけれど、今は私が防ぐ側に付いちゃったし……神が、一度した約束を……その性質と衝動と違う事になっても、反故にするのは許されないわ……はぁぁぁぁ……」

 ロジーナは俺の呼びかけも無視して、ブツブツと何かを呟いた挙句、深く……それはもう深く溜め息を吐いた。
 一体、どうしたっていうんだろう?

「いい、リク? この際だからもう言っちゃうけど……その負の感情は、私が用意して私が利用しようとしていたの」
「え……ロジーナが?」
「そうよ。実質的に行動をしたのは帝国や魔物達だけどね。私が直接干渉するわけにはいかなかったし」
「あぁ、干渉力の問題か」

 ロジーナは今でこそ人間だけど、神様の時は干渉力というのがなければ直接この世界に何か、影響を与える事はできないらしい。
 俺を隔離する時に、全力で干渉力を使うためにもできるだけ直接の拘わりは避けていたみたいだね。
 ……それでも結局、俺の魔力とロジーナの干渉力勝負で、なんとか勝ったんだけど。

「私の計画では、リクをあの場所に隔離して絶望させ、戻った場所では街の壊滅。さらなる絶望を味合わせようとしていたのよ」
「それだけ聞くと、なんで今こうして話しているのか疑問に思うくらいだね」

 破壊神だからなのかわからないけど、ロジーナの口から語られる計画は邪悪そのものというかなんというか。
 俺にこだわる理由はともかくとして、ただただ人を絶望に叩き落すという計画のために、帝国も含めて利用したってわけだ――。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ

天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。 彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。 「お前はもういらない」 ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。 だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。 ――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。 一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。 生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!? 彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。 そして、レインはまだ知らない。 夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、 「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」 「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」 と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。 そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。 理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。 王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー! HOT男性49位(2025年9月3日0時47分) →37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル
ファンタジー
 異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!  主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。  亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。  召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。  そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。  それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。  過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。 ――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。  カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

処理中です...