神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

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まだまだ続くよ戦いは

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「KIKIKIKIKI!」

 俺が焦れているのを感じ取ったのか、ひときわ甲高い音を出すレムレース。
 嘲笑されているようで、気分は良くないけど……対処できて怪我らしい怪我がなくとも、劣勢なのは俺で間違いないから仕方ない。
 感情的にならないよう、とにかくレムレースを倒す方法を頭の中で模索するしかない。
 多種多様な魔法を避け、足を止めないようレムレースを中心に動き続け、時には剣なり鞘なりで一撃を加えて離脱する。

 連続攻撃は加えない……というか加えられない。
 拳まで交えた攻撃は、レムレースにとって脅威だったのか、保険のような魔法を常に使っているから。
 具体的には、レムレースの周囲が全て陥没して深い穴が開けられたり、追尾する魔法を撃っておいて、足を止めて連続攻撃しようとする俺に向かわせたりなどだね。
 とくに追尾する魔法が厄介で、数も多いため当たらないよう確実に対処する必要がある。

 俺自身が硬いという事すらも学習したのか、一つ一つの魔法の威力も高められているようだからさらに始末が悪い。
 その代わり魔力の消費も多いのだろう、レムレース自身が小さくなるペースがほんの少しだけ速まったようだけど、それで俺が有利になる事はないのが辛いところだ。
 どうせ、魔法を消費してもまた吸収してしまえば、なんて考えているんだろう。

「どうする……どうする……」

 魔法の対処をしながら、自問自答するように呟く。
 俺の魔力がまだまだあるけど、それでもかなり減っているのは自覚しているところ。
 ただ体力の方は少し心もとない。
 森に入って、マックスさんのお弁当を食べた時や兵士さん達と話した時以外、ずっと動きっぱなしだからね。

 息が切れるのも早くなってきているし、呼吸を整える時間もほんの少しだけ長くなっている気がする。
 魔力が減ってきているのも、多少は関係しているんだろう。
 ともかく、このままずっと戦い続けるのは難しいので、とにかくレムレースをどうにかする方法を考えないと……。
 魔法が使えれば、一気に倒す事も可能なんだけど。

 使えない事を悔やんでも仕方ないか……でも魔法か、リーバーを呼んで空から炎の魔法を使ってらうとか?
 いや確かにある程度有効だろうけど、一帯を焼き払うくらいはできてもレムレースをそれで倒す程の威力はなさそうだ。
 それに、レムレースの目標がリーバーに向かうと危険だ。
 考えを振り払うように、頭を左右に振りながら、飛んで来た炎の塊を鞘で打ち払う。

 好き勝手に魔法を撃ってくるなぁ……羨ましい。
 威力が高くなくても、俺が魔法を使えれば多少なんとかなりそうなんだけど。
 ん、そうか……リーバーに任せるのは危険だとしても、俺が魔法を使えないなら……。

「そうだ……! よし!」

 俺自身の魔法が使えないなら、と頭の中で閃いて動き出す。
 いや動き自体は魔法への対処のために、ずっと動いたままだけど、考え付いた事に向かってだね。

「んっ! よしよし……はぁ! っと!」

 魔法が使えないなら、今現在連続で魔法を使っているレムレース自体に使わせればいい。
 咄嗟の思い付きだし、当然レムレースが自分に向かって魔法を使うなんて、自滅するような事はしないのでそうさせるように動く。
 ひとまず、空から迫る魔法を避け、崩れる地面を飛び越えてレムレースに肉薄。
 剣魔空斬で射出した魔法を斬り裂きつつの反撃を警戒しているのか、以前よりも俺とレムレースの間に魔法が発生する事は少なくなっていた。

 対処されてるから連続攻撃は難しいにしても、ヒットアンドアウェイで一撃入れて離脱するのは楽になったね。
 と考えつつ、剣を振り下ろしてレムレースを斬り裂く。
 ついでに、鞘で薙ぎ払って十字に分かたれるレムレースを見届けてから、一瞬だけ留まって離脱。

「っ! これでどうだ!」
「KIKIKIKI……KI!?」

 嗤うような音を発していたレムレースから、明らかに驚きの色が強くなった音が発せられた。
 その瞬間、攻撃を加えていた俺の背中目掛けて追尾していた、無数の氷の礫が目標を見失い、再生を始めたレムレースへと突き刺さる。

「いくら追尾するっていっても、急には止められないってね!」
「KI……KI……」

 追尾する魔法は、俺が避けてもその場で急転回してくるわけじゃない。
 飛んで来る勢いもあるため、ある程度距離を行ってから弧を描くようにというのが多い。
 そのため、すぐ近くで避ければ目の前にいるレムレースに当たると思ったけど、想像した通りになった。
 まぁ、感付かれないように背後から迫る魔法に視線をやる事はできなかったし、ギリギリで避けるために風切り音でどこまで迫っているかを判断しなきゃいけなかったけど。

 あと、レムレースがちゃんと俺からの連続攻撃を受けないための保険として、魔法を放っていると信じなきゃいけなかったけども。
 戦っている相手の事を信じないといけないってのは、中々どうして難しい。
 もし魔法を放っていなかったら、連続攻撃できるチャンスを逃す事になるし、消耗するのは俺だけになっていたところだ。

「とはいえさすがに、これで簡単に倒せないのがレムレースなんだよね……」
「KI、KI……」

 竜巻を発生させ、俺を近付けないようにしつつ再生をしているレムレース。
 再生後は、一回り小さくなったとはいえまだまだ魔力が余っている様子。

「まだまだ! せい! はぁ!」
「KIKIKIKIKI!!」

 再生したレムレースの放つ魔法を避け、先程と同じように一撃を加えるついでに、追尾させた魔法をぶつける。
 数回繰り返して、ある程度レムレースを消耗させた実感はあるけど、止めを刺せるまでには至っていない。

「やっぱり駄目かぁ……いい案だと思ったんだけど」

 俺相手に威力を高めた魔法を使っているとしても、レムレースを倒す程の威力ではないか……まぁ、レムレース自身の魔法なんだから、魔力の塊であるレムレースを一度にどうこうできる威力にはならないのも仕方ない。
 百の魔力に対して、一の魔力で発生した魔法をぶつけたようなものだろう。

 消費が一で、ダメージも一とすると単純計算で九十八残るわけで……。
 実際はともかく、計算としてレムレースを倒すには三十以上の威力を持った魔法をぶつけなければいけない。
 残った部分は、剣や鞘で攻撃を加えるとしてもね。

「自分で考えて実行して、否定するしかなくなるのは辛いなぁ。これがレムレースじゃなければ、なんとかなったんだろうけど」

 完全な魔力の塊で、他の生き物とは違うからだろう。
 別の魔物なら確実に体へのダメージが入るし、生命活動がある以上場合によってはそれだけで倒せる事も考えれられる。
 ヒュドラーみたいにタフな相手だと、難しいかもしれないけどね。

「しかも、威力も弱くしてるし、撃たない時もある。やっぱり学習してるのか」

 何度もやるうちに、レムレースは俺に対して保険の追尾する魔法の威力を弱めていた。
 消耗して魔法に使える魔力が減った、とかではないだろう……他の魔法は、さらに威力が高まっているように思えるから。
 さらに、俺が肉薄して剣や鞘による一撃を加えたとしても、追尾の魔法を保険として放たない事もあった――。


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