神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
1,615 / 1,955

モニカさんが何かを発見

しおりを挟む


「よし、これなら! せっ!」
「花粉を撒いている時は、無防備なの……ねっ!」
「っ! ウィンドブラスト!」

 強い風にさらされながら、今しがた花粉を吐き出したラミアウネに斬りかかる。
 モニカさんの方も、花粉を撒いている別のラミアウネへと槍を突き出した。
 さらに、カイツさんの声と共に再びボフンッ! という空気が爆発するような音と突風。
 斬りかかったラミアウネを両断してから見てみると、残っていたラミアウネが全て、俺達に向かって花粉を撒いていたようだ。

 カイツさんのおかげで、俺達に花粉が降り注ぐような事はなく、そして地面に落ちてチビラウネが発生もしない。
 数が少ないのもあるけど、やっぱり誰かと協力して戦うのは色々任せられて楽だなぁ。
 モニカさんも、俺の背中を守るように動いてくれるし、もちろん俺もモニカさんの背中を守るように戦っている。

「これで、最後っ!」

 大きく声をあげながら、ラミアウネをモニカさんが正面から槍の魔法で蛇の体を斬り裂き、止めに花の顔の中心辺りを突き刺した。
 見る限り、他のラミアウネはもういなさそうだけど……念のため。

「カイツさん!」
「……近づいてくる魔物入るようですが、この辺りにはもうラミアウネはいないようです」

 いつでも魔法を放てる体制のカイツさんに呼びかけて確認してもらうと、モニカさんの倒したラミアウネが最後で間違いないようだ。
 集まるために、こちらに来ているのはいるとしても、とりあえずは討伐完了ってとこだろう。

「そうですか……ふぅ。お疲れ様、モニカさん」
「えぇ、リクさんも」

 息を吐き、武器を下ろして構えを解き、モニカさんを顔を見合わせて笑い合う。
 一人で戦う事が多かったから、こういうのってなんかいいな。

「カイツさん、探索範囲を広げて他にも魔物がこちらに来ていないか、探ってくれますか?」
「了解しました」

 まだ魔物が来ているようなので、剣は収めずそのままにしておき、カイツさんに頼んで調べてもらう。
 次に来る……おそらくラミアウネと思われる魔物を倒したら、すぐに移動するべきかを考えるためだ。
 断続的に魔物が来るのであれば、ここで待ち受けるのもいいかと考えたのもある。
 ……また、魔物を倒す事が優先させている考えになっているから、ある程度で見切りをつけて冒険者の方に行くつもりではあるけどね。

「……はっきりとはわかりませんが、こちらに向かっていると思しき魔物の気配が数か所にあるようです。数や種類まではわかりませんが……多くはないと木々が教えてくれているので」
「おそらく、さっきまでと同じようにラミアウネが一体ずつ……いても二体とかそれくらいでしょうね。ふむ……」

 数か所って事は、離れた場所によって時間差……ラミアウネが狙っているかはわからないけど、ともかくここに集まろうとしているのは間違いないようだ。
 少ない数が断続的にという事なら、すぐ近くに来ているのを倒して冒険者さん達の所へ行けばいいだろうか?
 と考えていたところで、ラミアウネの討伐証明部位を採取していたモニカさんが、こちらを振り返った。

「リクさん……これを見て!」
「どうし……これって……」
「ふむ……?」

 モニカさんに近づいて、示された場所を見る。
 カイツさんもこちらに来て覗き込んだ。
 そこには、絶命したラミアウネがいる……だけでなく、その地面にラミアウネと同じ大きさの花が咲いていた。

 花の形や色合いなども同じで、唯一の違いは、無数の穴の中で何かがギョロギョロと蠢いてはいないことくらいか。
 どちらにしても、あまり気持ちい物じゃないけど……穴が無数にある時点で、集合体恐怖症の人には直視は難しいだろうし。

「地面から生えて……いるのかしら?」
「そう見えるね」
「とりあえず、抜いてみましょう……っと。うるさいですね」

 おもむろにカイツさんがラミアウネの顔、というか花の根元を掴み、引き抜いた。
 その瞬間、周囲にとてもじゃないけど人のものとは思えない音が響き渡る。
 似たような性質として、マンドラーゴという魔物が同じく引き抜いたら、大きな悲鳴を上げるけど……あれよりは耳が痛くならない程度の音だったかな?
 どちらにせよ、カイツさんが顔をしかめて言っている通り、うるさい事には変わりないけど。

 疑問に思ったことに対して、躊躇なく手を出せるのはカイツさんが研究者だからだろうか?
 探求心旺盛というか、知りたいと思った事に対しては突き進む感じだなぁ。

「植物の魔物って、皆同じような感じなのかな? ラミアウネとマンドラーゴくらいかもしれないけど」
「そんな事より、カイツさんの引き抜いたそれ……」
「えぇ、間違いなくラミアウネでしょうね。いえ、ラミアウネになろうとしている……でしょうか?」

 カイツさんが引き抜いた、ラミアウネのものと思われる花。
 その根元というか下部分には、細長い蛇のような物が土から抜け、ぶら下がっていた。
 近くにあるラミアウネの死骸と見比べると、ほぼ同じものだというのがわかる。
 長さも太さも未熟なのか、短く細いけど。

「ラミアウネの生態はよくわかっていませんが、おそらくこうして地面から生える……発生するものなのかもしれません。とりあえず、燃やしておきましょう」

 無感情と言うのが相応しい表情で、カイツさんが引き抜いたラミアウネのなりかけを、地面に放り出す。
 いくら探求心が旺盛のカイツさんだとはいえ、ラミアウネに対しては深い興味は湧かなかったようだ。
 まぁ、ここで詳細を研究したいと言い出されても困るから、良かった。

「そ、そうですね。えっと……大丈夫かしら?」

 地面に落ちたラミアウネのなりかけを見つつ、俺を窺うモニカさん。
 多分、ラミアウネとの戦闘前に粉塵爆発の事を話したから、警戒しているんだろう。

「大丈夫、撒かれた花粉は全部カイツさんが巻き上げてくれたから。多少は落ちてきているけど、これくらいじゃ爆発なんて起きないと思うよ」
「そ、そう。なら良かったわ……」

 巻き上げられた花粉は、魔法で発生した風が収まってから、空から少しだけ振って来ているけど、かなり少ない。
 わかりづらいけど、数日使わなかった部屋に入った時、舞い散る埃より少ないくらいだ。
 この程度で粉塵爆発するなら、そこらで日常的に爆発を起こしてもおかしくないし、大丈夫だとモニカさんに手を振って答えた。
 というか、日常的に爆発って自分で考えながらちょっと面白い、実際にそんな日常は絶対に嫌だけど。

「ラミアウネが発生しているという事は、もしかしたらここはラミアウネたちの拠点というか、棲み処みたいな場所なのかもしれませんね」

 モニカさんが、ラミアウネのなりかけに対し少し遠慮気味に「フレイム!」と口に出して、火の魔法を使い燃やすのを聞きながら、周囲を見渡し、カイツさんに話しかける。

「そうですね……他の場所とどのように違うのかはわかりませんが、ラミアウネにとって棲みやすい環境だったのかもしれません」
「というか、ラミアウネってチビラウネが大きくなったらあぁなると持っていたんですけど……」


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

処理中です...