神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
1,642 / 1,955

獅子亭で考えていた事の相談

しおりを挟む


「おぉ、リク。モニカ達もお帰り」

 獅子亭に入ると、もう遅い時間で店の営業が終わっていたから、マックスさんやマリーさんなどお店の人達に迎えられた。
 ソフィーやフィネさんもいるね。
 テーブルの上には手が付けられていない料理が大量に置かれているので、俺達が来るのを待ってくれていたんだろう。
 今日は夕食を獅子亭で食べるとは言っていなかったけど、来ると予想していみたいだね。

 もし俺達かこちらに来なかったら……と待ってくれていた人達に挨拶をしながら聞くと、ソフィーが「食べられる場所にいるのなら、こちらに来るのは当然だからな」と言っていた。
 まぁ、確かに料理が美味しいからできるだけ獅子亭で食べたいという気持ちもわかるけど。
 ソフィーは以前本人も言っていたように、獅子亭のファンだからだろうね。
 なんいせよ、俺達のための料理を用意してくれて、それが無駄にならなかったんだからいいか。

「ソフィー達から聞いているが、無事に行方不明の冒険者は見つかったようだな」
「はい。戻ってこなかった理由……というか、戻れなくなった原因はともかく、森に留まろうとした理由もわからなくもなかったです。まぁ、何事もなくとまでは言えませんでしたけど」

 休憩しておしゃべりに夢中になって気付いたら、日が落ちていた……だからね。
 そこはもうちょっと気を付けて欲しかったと思うけど、それからは無理をせず闇雲に森から出ようとしなかったのは悪くない判断だったと思う。
 結局、ラミアウネに二人程襲われてしまって危険だったから、正解とは言えないのかもしれないけどそれは結果論だからね。

 五人の女性冒険者さん達は、戻って来てから捜索にあたってくれた冒険者さん達や、冒険者ギルドの職員さん達に捕まって、色々と言われていたみたいだけど……心配させてしまったんだから、甘んじて受けておいて欲しい。
 ちなみに、ソフィーやフィネさんも捜索してくれていたんだけど、リーバーがワイバーンを連れに一旦戻った時に発見されたとわかって安心し、先に獅子亭へと戻ったみたいだね。

「まぁ、こういう大規模依頼……複数の冒険者パーティが参加する依頼では、必ず逸脱した奴が出るもんだ。それが五人……パーティ一つだけだったか。それで済んだのは少ない方だろう」

 テーブルにつき、皆で一斉に食べ始めながらマックスさんが言う。
 冒険者は、それぞれのやり方みたいなのもあって、パーティ単位でも少人数の行動が多い。
 我が強いというのか……とにかくまとまらずに、いくら注意していても問題が起こるのが通常だとマックスさんは言っていた。
 それが今回の女性冒険者が戻って来ないというだけで済んだのは、センテでの事があって、俺も参加するから、ある程度統率が取れていたんだろう、というのがマックスさんの見方みたいだ。

「リクは、少し注意しておいた方がいいだろうな」
「俺がですか?」
「あぁ。クランを作るんだろう? それなら、複数のパーティをまとめる立場になるわけだ。今回のように、大規模依頼を受ける事もあるだろうし、クランを作る目的が目的だからな……俺はこれまでクランに入った事はないし、この国は比較的冒険者がやりやすく、国の兵士との連携もあるから必要はなかったんだが。ただ、クランを率いている冒険者は見た事があるからな……」
「中々、大変そうですね……」

 もちろん、マックスさんに言われなくてもクランを、多くの冒険者さん達をまとめるのが簡単だとは思っていなかったけど。
 それでも今回の事があって、複数の冒険者、複数のパーティをまとめる事が大変なのだと実感できた。
 帝国とのいざこざがなかったとしても、クラン所属のパーティに依頼を割り振る事だってあるみたいだし、それで不相応な依頼を受けさせて大きな被害を受けるなんて事は、絶対に避けたいからね。
 なんて考えつつ、個性も当然あって訓練で統率された動きをする事を重視する兵士とは違う、冒険者さん達の扱いなどなどをマックスさんやマリーさんから聞きながら、食事を進めた。

「あ、そうだ。森の中でモニカさんとも話したんですけど……って、昨日も言いましたが、お弁当についてちょっと……」
「ふむ、その話か……」

 食事の終わり際、どうしても俺としては諦めきれない街の外での美味しい食事について、マックスさん達に話す。
 やっぱり、美味しい食事というのは心も体も元気にしてくれるからね。
 とはいえ、昨日既に獅子亭でお弁当販売をするという提案に対し、マックスさんは難色を示していたので、強引にやってもらうなんて事は考えていない。
 それはあくまでも提案として、もしかしたらお昼の獅子亭の混雑が多少改善されるかも? という意見でとどめておく。

 本題は、俺が作るつもりのクランで所属してくれた冒険者さん達……一番は俺やモニカさん達にだけど、皆の食事を充実させるためだ。
 クランに食堂を作って、お弁当も作ってもらえればってわけだね。
 それらの話を、マックスさんのみならず獅子亭にいる皆、マリーさんやリリーフラワーの人達にも話した。
 リリーフラワーのこだわりを持つ魔法担当らしい、ミームさんだけは「干し肉は絶対」とか呟いていたけど……ま、まぁ、需要があるならというか日持ちする食べ物として干し肉を用意するのは、悪くはないかもね。

「成る程な……冒険者ギルドと似たような事をするわけか。規模はまだわからんが、リクが作るのなら小さな冒険者ギルドくらいにはなりそうだ」
「さすがにそこまでは……でも、所属してもらうんですから、少しくらいは特典のようなものがあってもいいのかなって」

 クランの総人数はまだ決めていないけど、多すぎる人数は管理もできなくて俺が把握するのも難しくなってくる。
 選別した少数精鋭とかにするつもりもないけど、ある程度上限人数は設けるつもりだ。
 そしてその中で、クランに作った食堂では所属している人に安く食事してもらう、またお弁当も安く提供するようにと考えている。
 これは、冒険者ギルドでもやっている事だね。

 冒険者ギルドは支部でもある程度の規模になれば、その建物内で食事が提供される。
 ブハギムノングのように、冒険者がそもそもほとんどいないような場所などにはないみたいだけども。
 実は誰でも利用して食べられるらしいんだけど、質より量が優先されるメニューが多い事と冒険者登録をしている人には割引されるから、もっぱら利用者は冒険者だ。
 それと似たような事……というか同じような事をしようってわけだね。

「それでまぁ、安く食べられるとしてもできれば美味しい物を食べたいじゃないですか?」
「まぁ、それはそうだな。おそらくリクのクランに所属する冒険者は、一定以上のランクだろうから、安くても美味いとはいいがたい物を好んで食べたりはしないだろう」

 目的が目的だから、最低限Cランク以上ってところだろうけど、ちゃんとお金の管理ができている冒険者さんなら、ギルドの格安料理を食べなくても暮らしていける。
 まぁ、装備にお金をかけたり、浪費したりすれば別だし、そういう人は多いみたいだけどそれはともかく。
 安くて美味しい物を提供すれば、それはクランに所属する特典になるんじゃないかって考えたわけだ――。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

処理中です...