神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
1,813 / 1,955

リクの考えを伝える決意

しおりを挟む


 帝国が利用した魔物は、俺も冒険者として散々魔物討伐をしてきたから、あまり言えないかもしれないけど……多くの人を犠牲にして、なんとも思っていないらしいあのクズ皇帝が治める帝国には、絶対に負けられない。

 もしアテトリア王国が占領されれば、姉さんを始めこれまで関わって来た多くの人達、優しくしてくれた人達などもどうなるかわからないからね。
 そう自分の中で考え、言い訳のようにつらつらと並べているけど……結局のところ、あのクズ皇帝、そして帝国の思い通りにさせたくない、という自分の想いが強くなっているからだ。
 色々あったけど、帝国が引き起こす事件や魔物と戦っていくうちに、だんだんと強くなっていった想いでもある。
 特に、ブハギムノングやルジナウムあたりから、少しずつ募っていったと言ってもいいだろう。

「……」
「リク、どうしたのだ?」

 急に押し黙った俺に対して、姉さんから声をかけられる
 口調は女王様モードのままだけど、俺を見る気遣うような視線は部屋にいるリラックスモードになった姉さんに近い。
 
「も、申し訳ありませんリク様! わ、私が失礼な事を申してしまったばかりに!」

 続いて、先程姉さんに窘(たしな)められた大臣さんが、慌てて立ち上がり謝罪。
 俺が黙り込んでいるのを、何か気に障ったと勘違いしちゃったらしい。
 ただ、自分の考えに没頭していただけなんだけど……ちょっと申し訳ない事をしてしまったね。

「あ、いえそう言うわけじゃないんです……ちょっと、考えていた事がありまして」
「考えていた事? ここで話せる事か?」

 大臣さんはホッとして着席したけど、姉さんは女王様モードからリラックスモードに近い声音になっている。
 ユノやロジーナなど、大っぴらに話せるか微妙な事もあるし、そういった事を考えての事だろう。
 多分、何かあるなら部屋で聞くと言外に伝えようとしてくれているのかもしれない。
 けどまぁ、別に隠す事でもないし誰に聞かれて困るわけでもない……いやまぁ、いるかどうかわからないけど、帝国側のスパイなんかには聞かれたくはないかな?

「大丈夫です。なんというか、私自身の決意や決心と言いますか」

 ここで話していて、それなりに自分の事を「私」と言うのに少しだけ慣れたなぁ。
 まだ少しだけ、口に出す時に変な感覚があるけど。

「決意や決心? 参戦に迷いがあるのか?」

 そういえば姉さんは、個人としては俺に戦争の参加をして欲しくない、と言っていたっけ。
 だから、今更決意だとか決心って言われて、俺が悩んでいると思ったのかもしれない。

「いえ参戦に関しては間違いなく。覚悟もしています。それとは別で、なんと言いますか……アマリーラさん、リネルトさん。さっき王城に戻る前に言った事ですけど、皆にはまた後で。まずはここで話をしておこうと思います」
「リク様がお考えになられたのでしたら、私はそれに従うのみです」
「私も同じくですぅ」
「ありがとうございます。――えっと……陛下。ここからは私自身、まだまとまっていない事もあって、多少言葉が乱れるかもしれませんが、お許し下さい」
「……構わん。そもそもリクはこの国を何度も救っている英雄だ。国への貢献という意味ではこの場の誰よりもしている。なんなら、丁寧な言葉遣いすら必要ないくらいだ。リクはそれをしないだろうがな」

 アマリーラさん達に声をかけ、返答を聞いて頷きつつ姉さん達に伝える事を決める。
 そんな俺に、陛下と呼ばれたからか女王様モードで受け答えする姉さん……最後に少しだけ、リラックスモードで仕方ない子ね、見たいに言われている気がしたけど、それはともかく。
 一応、できるだけ丁寧な言葉遣いをするのは目上の人達が相手だから、というのもあるけど一種の線引きみたいなものでもある。
 まぁそこは今関係ないけど。

「それでは……まず、すみません先に聞きますけど……皆さんは今回の戦争、帝国との戦争ですが、色々と想定していると思います。率直に、どちらが勝つと思いますか? いえ、アテトリア王国が勝つ、としか言えない立場なのだから、そうじゃなくて……そうですね、どれだけの戦いになるか、被害の大きさなどはどう考えていますか?」

 俺の決意や決心を、と言っておきながら質問をするのはどうかと思うけど、一応確認しておきたかった。

「ふむ、戦争被害の想定か。そうだな……」

 俺からの視線と質問を受けて、姉さんが考えつつチラリと宰相さんを見る。

「現状で想定するのは難しいのですが……帝国がどれほどの魔物を使うか、また他にも隠している何かがあるのか、などがありますし。ですが、我が国と帝国。国の大きさから想定するのであれば、一割から二割と言ったところでしょうか。魔物など、帝国の企みを考えなければとなりますが……こちらに負ける要素はありません」

 単純に、これまでの帝国であればという事か。
 アテトリア王国軍と帝国軍とが衝突するだけであれば、兵士の損耗、それから戦場になる場所にもよるけど、物資などの消費、作物や一般の人への被害など、それぞれか全部ひっくるめて一割から二割が想定されると。
 アテトリア王国は広い国土と豊かな土地で、人口も含めて帝国と比べても大国と言って差し支えないらしいからね。
 国力の差は歴然と言ったところだろう。

 だからこそ、帝国側は魔物を利用するなどの手段でそれを覆そうとしているとも考えられるけど。
 ともかく、その一割から二割の被害が戦争でと考えるなら、かなり少ないと言える。
 もちろんないに越した事はないし、漠然と俺が考えるよりは少なかった。

「ただ、リク様もご存じの通り帝国は魔物を使います。人間を爆発させるなどの、国としてだけでなく人としての禁忌すら犯しており、それを含めて考えると現状では……」

 続けて、宰相さんが魔物なども含めて考えうる可能性を勘案して出したのは、三割から四割という被害予想。
 五、六割を越えれば、どちらも引かない総力戦とかでない限りほぼ敗北と言っていい状況だろうから、かなり苦しい戦いになると想定しているようだ。
 魔物に人間爆弾、さらに改良された魔物……再生の高いワイバーンみたいな魔物が、他にもたくさんいるとしたら脅威だからね。
 何をしてくるかわからない恐怖もあるけど、とにかく少なくない被害がでるのは既に想定されているという事だ。

 確か、前線部隊の五割を失えば全滅に近い扱いと、どこかで聞いた事がある。
 姉さんが女王になっているからっていうのもあるのかもしれないけど、聞いてみるとその考え方は、アテトリア王国でも近い認識として周知されているらしい。
 つまり、想定している被害の最大で四割以上が実際に損なわれた場合、半壊以上みたいなものだろう。
 それだけ、帝国との戦争が想定を超える何かが来る可能性を予想され、厳しいものになると考えられている事でもある。

 あくまでも、勝つ事を前提とした予想ではあるけど。
 もしこちらの想像以上の何かが帝国にあって、負ける可能性というのもないとは言えない。
 レッタさんはもう核はないと言っていたけど、ヒュドラーとかレムレースの例があるからね。
 その物じゃなくても、匹敵する魔物が投入される可能性もあるわけだし――。

しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ

天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。 彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。 「お前はもういらない」 ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。 だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。 ――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。 一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。 生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!? 彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。 そして、レインはまだ知らない。 夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、 「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」 「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」 と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。 そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。 理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。 王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー! HOT男性49位(2025年9月3日0時47分) →37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル
ファンタジー
 異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!  主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。  亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。  召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。  そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。  それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。  過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。 ――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。  カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

処理中です...