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マザス監獄はリヨン駅近くのマザス通りにあった監獄だが、駅近くということで目立ち、来年の祭典をひかえて街の光景を汚すということで取り壊されたとコンスタンスも聞いたことがある。
(刑務所も娼婦も、街の汚れとなるものは皆厄介だから消えて欲しいっていうことなのね)
苦い想いがコンスタンスの胸にわく。こんな身の上になるまえなら、自分も汚いものは消せ、という考えに賛同していたろうか。
「でも……、そうか。たしかに父親に会いたくなったのかもしれない。父親とは二度と会いたくないと言っていたけれど、やっぱり恋しくなったのかも……。リジュロンの父親がどこにいるのか警察に行って訊いてみるよ。もしかしたら植民地へ送られてしまったのかもしれないけれど、確かめてみる。リジュロンもそれを知るために警察に行ったのかも」
あんなことがあった後で警察に行くとは思えないが、それしか父親の行方を知る方法がなければ行くしかないかもしれない。
「ありがとう。とにかく警察に行って訊いてみてくるよ」
来たときは青ざめていた肌を紅潮させ、クレオはあわただしく挨拶を述べて去っていく。
行動力にあふれた人だと、つくづくコンスタンスはクレオを羨ましく思った。
クレオの足先は常にしっかりと目的地へと向かっているのだ。そんなことを羨んでから、すぐコンスタンスは以前にもそんなことを思っていた自分を思い出した。
(そうだわ……わたしはあのときリジュロンのことも羨んでいたんだわ)
迷うことなく自分の向かう道へと足を進めるリジュロンを羨み、妬ましくさえ思っていた。
だが、ほんの二年前、そんな恐ろしい地獄を、あの清純そのもののような薄青の瞳に映していたとは。いや、血に汚れてもリジュロンは変わることなく清純だった。世を恨むことも運命を呪うこともせず、正しくまっすぐな道を選びつづけたのだから。
コンスタンスは誰もいない家のなか、椅子に座ってぼんやりそんなことを考えていた。そして奇妙な胸騒ぎを覚えた。
リジュロンが無事クレオを会っていることを祈りながらその日は過ごした。
(刑務所も娼婦も、街の汚れとなるものは皆厄介だから消えて欲しいっていうことなのね)
苦い想いがコンスタンスの胸にわく。こんな身の上になるまえなら、自分も汚いものは消せ、という考えに賛同していたろうか。
「でも……、そうか。たしかに父親に会いたくなったのかもしれない。父親とは二度と会いたくないと言っていたけれど、やっぱり恋しくなったのかも……。リジュロンの父親がどこにいるのか警察に行って訊いてみるよ。もしかしたら植民地へ送られてしまったのかもしれないけれど、確かめてみる。リジュロンもそれを知るために警察に行ったのかも」
あんなことがあった後で警察に行くとは思えないが、それしか父親の行方を知る方法がなければ行くしかないかもしれない。
「ありがとう。とにかく警察に行って訊いてみてくるよ」
来たときは青ざめていた肌を紅潮させ、クレオはあわただしく挨拶を述べて去っていく。
行動力にあふれた人だと、つくづくコンスタンスはクレオを羨ましく思った。
クレオの足先は常にしっかりと目的地へと向かっているのだ。そんなことを羨んでから、すぐコンスタンスは以前にもそんなことを思っていた自分を思い出した。
(そうだわ……わたしはあのときリジュロンのことも羨んでいたんだわ)
迷うことなく自分の向かう道へと足を進めるリジュロンを羨み、妬ましくさえ思っていた。
だが、ほんの二年前、そんな恐ろしい地獄を、あの清純そのもののような薄青の瞳に映していたとは。いや、血に汚れてもリジュロンは変わることなく清純だった。世を恨むことも運命を呪うこともせず、正しくまっすぐな道を選びつづけたのだから。
コンスタンスは誰もいない家のなか、椅子に座ってぼんやりそんなことを考えていた。そして奇妙な胸騒ぎを覚えた。
リジュロンが無事クレオを会っていることを祈りながらその日は過ごした。
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