イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】

便葉

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He is コイビト??

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 木の実は、アバンクールヒルズTOKYOの正面玄関の前に立っている。
 実は、モナンジュで働く前までは、このビルの存在すら知らなかった。オーナー夫妻によれば、世界の富豪達がこのビルに集まっているらしい。なおさら、この間までの私には、全く縁のない世界だった…

「今日は土曜日だから夜でも人が多いな」

 木の実は緊張しながらジャスティンの後について行く。ジャスティンと同伴という事は、通りすがりの人達も木の実をセレブだと思うはずだ。そう考えるだけで、ウキウキ感が止まらない。

「今から行く店は、俺の会社の奴らにとってはたまり場みたいな所で、スタッフともすごく仲がいいんだ。
 ま、でも、今日は土曜日だから、会社の人間は来ないけど、スタッフの皆はきっと優しくしてくれると思うよ」

 ジャスティンは、エレベーターに乗り込むと54階のボタンを押した。

「イケメンエリート軍団の方々は、今日は来ないんだ…
 ちょっとだけ見たかった気もするけど」

 ジャスティンは木の実を見て笑った。

「会わなくていいんだったら会わない方がいいと思う。確かにイケメンでエリートな奴らだけど、かなりの変人だから」

 イケメンでエリートで変人??
 ヤバい、なおさら会いたいんですけど…

「着いたよ」

 木の実はエレベーターを降りた途端、子供の時に初めてディズニーランドを訪れた時の高揚感とワクワク感を思い出した。特に、エントランスは薄暗くてプラネタリウムのようで、スペースマウンテンの雰囲気によく似ている。

「ジャスティン、その扉を開けたら、ジェットコースターなんて事はないよね?」

「ジェットコースター??」

 ディズニーランドに行った事がないジャスティンにとって、木の実の言葉の意味がさっぱり分からない。 でも、分からないとしてもこういうシチュエーションには少しずつ慣れてきた気がする。

「いらっしゃいませ」

 重厚な扉の先から現れたのは、真っ黒いタキシードに身を包んだ正統派のイケメンだった。
 木の実はあまり顔をジロジロ見ないように気をつけながら、澄ました表情で軽く会釈をした。

「ジャスティン様、お席はどうなさいますか? 
 個室は今なら空いてますが、いつものカウンターの席でも大丈夫です」

 ジャスティンは木の実を横目で見て、狭い部屋よりもきっと広いメインスぺースの方が喜ぶだろうと考え、カウンターの席でお願いした。
 木の実はそのバーの雰囲気に圧倒されていた。店の中はやっぱり薄暗くまだプラネタリウムの中にいるようだ。そして、一面がガラス張りのせいで、東京の美しい夜景と店の雰囲気が一体化して見える。

「素敵…
 宇宙旅行をしてるみたい…」

 ジャスティンは目をキラキラさせながらバーを見回している木の実を見て、もっともっと色々な場所に連れて行ってあげたいと心から思った。

「よう、ジャス、来てくれたんだ」

 木の実が声がする方に顔を向けると、店の中央にある楕円形のカウンターテーブルの中で手を振るワイルド系イケメンと目が合った。

「木の実ちゃん、久しぶり」

 木の実は瞬時に頭の中をフル回転させた。

 誰? 
 知らない。
 どこかで会った? 
 会ってない。
 でも、木の実ちゃんって…… 
 え、もしかしたら、借金取りの中にこんなイケメンがいたのかもしれない…


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