再会した御曹司は 最愛の秘書を独占溺愛する

猫とろ

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社長、秘書は順風満帆です!?

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なにもかも順調だった。
夜、眠る前ベッドの上でつらつらとこの三週間程のことを振り返っていた。

黄瀬さんの仲はもちろんだけど、先輩達から引き継ぎも順調。
社長のメディア対応は企画部が対応など新体制への移行も問題なく。
同じフロアの人達と顔見知りになり、人間関係も快適。

仕事は相変わらず忙しくはあったけど、やりがいを感じていた。まさに充実した毎日。

ほんの気がかりと言えば、赤井社長や不審な電話。
私と黄瀬さんがakaiクリニックのことを調べてみると。
どうやら上役の経営陣の一斉解雇などが起こっていたのが分かった。店舗縮小は加速し、経営戦略ではなく。経営危機ではないかと私達は感じた。

SNSでも従業員が給料未払いの遅れがあると不満を漏らしていたり。無料キャンペーンは誇大広告だと、利用客の不満のクチコミが目立ち。幾つものきな臭い投稿を目にした。

私がいたときはそんな予兆はなかった。ひょっとしたら、風前の灯。蝋燭が消える前の明るさだけを私は見ていたのかもしれない。
それは今になっては分からないことだし、akaiの内情を知っても私にはどうしようもない。

引き続き様子をみて警戒していくだけだと、黄瀬さんと意見が一致した。

で。それりよも個人的に重要なこと。
その黄瀬さんとは──。

「今日、車で送って貰ってキスしちゃった!」

えへへと、頬がゆるみ。お日様の香りがする枕に顔を埋めて足をバタバタさせてしまう。

たかがキスかも知れない。けれど好きな人からのキス。嬉しくて舞い上がってしまう。

──キスよりエッチなことは既にしてしまっているけど、それとは別!

「だって車の中で別れ際に、掠めるようにキスだなんて……!」

ドラマみたい。
黄瀬さんのキスの余韻を思い出して、胸がドキドキしてしまう。
今日は仕事が残業で家まで送って貰ったけど、キスして貰えるなら残業もいいかな、なんて……って、だめだめ。しっかりしなくちゃ。明後日は社長と他県へと出張がある。

枕から顔を上げて、ころんと横になればベッドサイドには先日、黄瀬さんと休日一緒に行ったガラスアート展のお土産があった。
黄瀬さんが選んでくれた、クリスタルガラスと淡水パールをあしらったバレッタ。

透明なガラスにパールの組み合わせは、朝露を集めたかのようにとても優美だ。

「出勤初日の葉っぱのことを覚えていてくれて、嬉しかった。デートも楽しかったな。そのあと見に行った映画も面白かったし」

黄瀬さんは私が不安に思っている、社会的立場や仕事に向かう姿勢など『何も問題ないよ』と言わんばかりに日々、スマートに私に接してくれていた。

公私混同はしない。
仕事中はあくまで上司と部下。社長と秘書。
でも仕事が終わったら相変わらず、黄瀬さんからの連絡があった。会えない日は必ず一言メッセージが来る。
会える日は食事の他にもドライブとか、カフェに寄ったりとか、二人の時間を日々大切に積み重ねていた。

そんな日々は高校生時代。本当は一緒に過ごせたかも知れない、失われた時間を補完するみたいだった。

その中で黄瀬さんの住まいは高級住宅地の一戸建てに住んでいて、もう一台車があるとか。
やはり裕福な家で、やっぱり社長だなぁとか思う場面もあったが、浪費家とかではなくてお金の使い方が先行投資。
一期一会のものに価値を感じて対価を支払う的な考え方がわかり、なんだか優雅だと思った。

お金持ちや社長の彼女に相応しい、私ではなく。

黄瀬さんの横にいても萎縮することなく、同じ価値観を共有、理解して行きたいと思えるようになった。

きっと、それを黄瀬さんは歓迎してくれるはずだ。

「私自身、少しずつ自信が出てきたしね」

このまま行けば。
何もごとも問題なければ。
あと一週間ぐらいしたら。

「黄瀬さんのお家に行きたいですって、言ってみようかな……」

口に出すと凄く照れ臭くなってしまった。
しかもホテルでの艶やかな黄瀬さんを思い出してしまい、また枕に顔を埋めて足をバタバタさせてしまうのだった。
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