1 / 1
①夢
しおりを挟む
なぜ、なぜ、こんなことに…!!
リーシャは声を出せない。魔法で封じられていて、言葉にすることができない。
わたしの肩を抱きよせている、王太子が手を挙げた。どんなにもがいでも、その腕から抜け出せない。
処刑人が、剣を構え、そして──。
「いやぁぁぁぁぁーーーーお姉さまーー!!!!!!」
誰よりも好きで、尊敬していて、憧れだった、姉の首が、落とされた瞬間。
魔法が解けたリーシャは、絶叫した。
「……っ!!」
あまりの衝撃で、飛び起きた。
心臓がうるさく騒いでいる。呼吸も、全力疾走したように乱れている。寝衣が汗ではりついて気持ち悪い。
はーーっと深い息をつく。
見慣れた寝台、室内は薄暗い。まだ、夜明け前。また、この時間。
そして。
「また…この夢…」
リーシャが5歳から見ている夢。もう、7年になる。
毎夜ではないが、忘れるなと言わんばかりに、必ず見ている夢。
初めて見たとき、当時の姿と違うのに、処刑されたのがなぜか姉のエリシアだという確信があって。
あまりに現実的だったので、飛び起きた足で、泣きながら姉の部屋まで走って行ったのだ。ただの夢だと、姉が首を落とされることなどあるわけがないと。
勢いよく開けた扉の向こう、寝台では何事もないかのように、姉はすやすやと寝息をたてていて。
よかったとわんわん泣くリーシャの声で、姉を起こしてしまったが、エリシアはただ頭を撫でて慰めてくれた。
その騒ぎで、父母も駆けつけてきたが、そのときにはリーシャは泣きつかれて眠ってしまっていたそうだ。
夢の内容は、あまりに恐ろしくて誰にも話していない。
口に出せば、実現してしまいそうで、怖くて、言えなかった。心配した父母や姉が聞いても、答えられなかった。
そもそも、なぜエリシアが処刑されるのだ?
夢の中で、リーシャはたぶん17歳、貴族が義務とされる学園を卒業する年だ。
それまでの経緯は不透明なのに、そういうある意味どうでもいいことはなぜか分かるのだ。
成長した姿を見たことがなくても、エリシアが姉だと確信できたように。
それに、わたしに馴れ馴れしく触れていたのが王太子だということも。
わたしは、姉が好きだ。
優しくて、何でも知っていて、努力していて、貴族として学ぶ姿勢を崩さず、凛とした姿のエリシアを、家族としてひとりの女性として、憧れている。
それだけでなく、王国屈指の魔力量で、魔法も着々と上達していると聞く。
尊敬する姉なのだ。
そんな姉の恥にならないよう、リーシャも必死に学んでいる。
父母はわたしに甘いが、姉のような完璧な淑女を目指しているので、むしろ厳しく指導してもらいたいと思っている。
唯一の不満と言えばそのくらいだ。
リーシャ現在12歳。
スウィントン侯爵家次女。この夢がただの悪夢でなく、予知夢なのではと思い至るのに時間はかからなかった。
それは、1つ年上の姉のエリシアが、立太子した第一王子と婚約が決まったと父から知らされたからだ。
リーシャは声を出せない。魔法で封じられていて、言葉にすることができない。
わたしの肩を抱きよせている、王太子が手を挙げた。どんなにもがいでも、その腕から抜け出せない。
処刑人が、剣を構え、そして──。
「いやぁぁぁぁぁーーーーお姉さまーー!!!!!!」
誰よりも好きで、尊敬していて、憧れだった、姉の首が、落とされた瞬間。
魔法が解けたリーシャは、絶叫した。
「……っ!!」
あまりの衝撃で、飛び起きた。
心臓がうるさく騒いでいる。呼吸も、全力疾走したように乱れている。寝衣が汗ではりついて気持ち悪い。
はーーっと深い息をつく。
見慣れた寝台、室内は薄暗い。まだ、夜明け前。また、この時間。
そして。
「また…この夢…」
リーシャが5歳から見ている夢。もう、7年になる。
毎夜ではないが、忘れるなと言わんばかりに、必ず見ている夢。
初めて見たとき、当時の姿と違うのに、処刑されたのがなぜか姉のエリシアだという確信があって。
あまりに現実的だったので、飛び起きた足で、泣きながら姉の部屋まで走って行ったのだ。ただの夢だと、姉が首を落とされることなどあるわけがないと。
勢いよく開けた扉の向こう、寝台では何事もないかのように、姉はすやすやと寝息をたてていて。
よかったとわんわん泣くリーシャの声で、姉を起こしてしまったが、エリシアはただ頭を撫でて慰めてくれた。
その騒ぎで、父母も駆けつけてきたが、そのときにはリーシャは泣きつかれて眠ってしまっていたそうだ。
夢の内容は、あまりに恐ろしくて誰にも話していない。
口に出せば、実現してしまいそうで、怖くて、言えなかった。心配した父母や姉が聞いても、答えられなかった。
そもそも、なぜエリシアが処刑されるのだ?
夢の中で、リーシャはたぶん17歳、貴族が義務とされる学園を卒業する年だ。
それまでの経緯は不透明なのに、そういうある意味どうでもいいことはなぜか分かるのだ。
成長した姿を見たことがなくても、エリシアが姉だと確信できたように。
それに、わたしに馴れ馴れしく触れていたのが王太子だということも。
わたしは、姉が好きだ。
優しくて、何でも知っていて、努力していて、貴族として学ぶ姿勢を崩さず、凛とした姿のエリシアを、家族としてひとりの女性として、憧れている。
それだけでなく、王国屈指の魔力量で、魔法も着々と上達していると聞く。
尊敬する姉なのだ。
そんな姉の恥にならないよう、リーシャも必死に学んでいる。
父母はわたしに甘いが、姉のような完璧な淑女を目指しているので、むしろ厳しく指導してもらいたいと思っている。
唯一の不満と言えばそのくらいだ。
リーシャ現在12歳。
スウィントン侯爵家次女。この夢がただの悪夢でなく、予知夢なのではと思い至るのに時間はかからなかった。
それは、1つ年上の姉のエリシアが、立太子した第一王子と婚約が決まったと父から知らされたからだ。
31
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
四季の聖女
篠月珪霞
恋愛
エスタシオン国には、四季を司る4人の聖女が存在する。大陸に季節をもたらし恙なく過ぎるよう、管理者としての役割を担っているが、聖女自体に特別な力はない。
選定は人によるものではなく、神の遺物と言われている腕輪が持ち主を選ぶ。複製不可能なその腕輪は、出自、身分、年齢、容姿は基準とならず、あくまでも当人の資質によって選ぶのだという。
四季を司る、4人の聖女の物語。
*最終的にはハピエンの予定でしたが、取り敢えず完結とします。
【本編完結】召喚? 誘拐の間違いでは?
篠月珪霞
恋愛
「…え」
まず聞こえたのは、成功だー!!といういくつもの歓声。それ以降は幾人もの声が混じりあい、何を言っているのか分からなかった。
私、白井瑠璃は、いつものように、出勤するために自宅のドアを開けただけだった。
いつものように、起床し、準備して、仕事が終われば帰宅し、そうした普通の、変わりない毎日を過ごすはずだった。
過去形になったこの日を、きっと忘れることはない。
一年だけの夫婦でも私は幸せでした。
クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。
フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。
フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。
更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。
私知らないから!
mery
恋愛
いきなり子爵令嬢に殿下と婚約を解消するように詰め寄られる。
いやいや、私の権限では決められませんし、直接殿下に言って下さい。
あ、殿下のドス黒いオーラが見える…。
私、しーらないっ!!!
公爵令嬢ルチアが幸せになる二つの方法
ごろごろみかん。
恋愛
公爵令嬢のルチアは、ある日知ってしまう。
婚約者のブライアンには、妻子がいた。彼は、ルチアの侍女に恋をしていたのだ。
ルチアは長年、婚約者に毒を飲ませられていた。近年の魔力低下は、そのせいだったのだ。
(私は、彼の幸せを邪魔する障害物に過ぎなかったのね)
魔力不足に陥った彼女の余命は、あと一年だという。
それを知った彼女は自身の幸せを探すことにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる