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首に絡む白い腕
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その日、父親は出張で家にいなかった。
2年前母親が他界し、昼間は家政婦がいるものの夜は俺と父親の2人だけだったのだが、父親には半年前から付き合い始めた恋人がいるためたまに『出張』と言って外泊することもあった。
今は独り身なのだし正直に恋人がいると言ってもらっても俺は全然大丈夫だったが、変に気まじめな父親は思春期の息子を気遣っているらしかった。
誤解のないよう言っておくが、父親と俺の仲は良かった。
まじめな父は母が生きている頃から仕事一筋で浮気なんてしたこともなかったし、母が病気になってからは仕事の合間を縫って看病もしていた。
母が亡くなった時には、人目もはばからず大粒の涙を流していたのだ。
そんな父親を尊敬していたし、独り身になったのだから俺のことなど気にせず自由に生きればいいと思っていた。
その夜、俺の部屋を遠慮がちにノックする音が。
もちろん、誰だかはわかっている。
「陽向、どうした?」
声をかけると静かに扉が開き、陽向が不安げな瞳を覗かせた。
「きょおくん・・・・一緒に寝ていい?」
「しょうがねえな、ほら、おいで」
陽向は、よくこうして俺の部屋に来る。
俺と同じ一人っ子だった陽向は、いつも父親と一緒に寝ていたんだとか。
父一人子一人で、父親も陽向のことが可愛くて仕方なかったのだろうと思っていた。
この日に、まさかあんなことが起きるなんて、夢にも思わなかったんだ・・・・
「きょおくん」
「ん?」
「・・・・きょおくんは、小坂くんのこと好きなの?」
「小坂?まあ・・・そうだな。お人好しで、無邪気で、嘘が無いから本当に信頼できるやつだよ」
「・・・・大好きなんだね」
「あのなぁ、変な言い方するなって。俺とあいつは友達!」
「ほんと?」
「あたりまえだろ!いくら仲が良くたって気持ちわりいだろ?」
「・・・俺は、きょおくんが好きだよ」
「は?」
「きょおくんは?俺のこと、好き?」
「ええ?・・・お前、何言ってんだよ」
まっすぐに俺を見つめる陽向の大きな瞳に、胸がざわつく。
間近に迫るその透き通るような白い肌に、頭がくらくらする。
「きょおくん・・・・俺のこと、嫌い・・・?」
「いや、そんなわけないだろ!?お前のことは、好きだよ。好きだけど―――」
「うれしい、きょおくん」
陽向が、本当に嬉しそうに柔らかく微笑んだ。
それはまさに、天使の笑顔。
もちろん、好きなのは本当だ。
こんなに可愛い弟はいない。
友達から聞く生意気で喧嘩ばかりしている弟なんかとは比べ物にならないくらい、うちの陽向はかわいいと思っていた。
だけど、その気持ちは弟に対するもののはずで―――
「・・・きょおくん・・・」
陽向の白くて細い腕が、俺の首に絡められる。
「陽向・・・?」
「俺を・・・・抱いて・・・・?」
「な・・なに・・・ッ」
次の瞬間、俺の唇に陽向の唇が重なった。
やわらかく、微かに湿ったその唇は甘く―――
俺の頭は、一瞬で真っ白になった・・・・・。
2年前母親が他界し、昼間は家政婦がいるものの夜は俺と父親の2人だけだったのだが、父親には半年前から付き合い始めた恋人がいるためたまに『出張』と言って外泊することもあった。
今は独り身なのだし正直に恋人がいると言ってもらっても俺は全然大丈夫だったが、変に気まじめな父親は思春期の息子を気遣っているらしかった。
誤解のないよう言っておくが、父親と俺の仲は良かった。
まじめな父は母が生きている頃から仕事一筋で浮気なんてしたこともなかったし、母が病気になってからは仕事の合間を縫って看病もしていた。
母が亡くなった時には、人目もはばからず大粒の涙を流していたのだ。
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その夜、俺の部屋を遠慮がちにノックする音が。
もちろん、誰だかはわかっている。
「陽向、どうした?」
声をかけると静かに扉が開き、陽向が不安げな瞳を覗かせた。
「きょおくん・・・・一緒に寝ていい?」
「しょうがねえな、ほら、おいで」
陽向は、よくこうして俺の部屋に来る。
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父一人子一人で、父親も陽向のことが可愛くて仕方なかったのだろうと思っていた。
この日に、まさかあんなことが起きるなんて、夢にも思わなかったんだ・・・・
「きょおくん」
「ん?」
「・・・・きょおくんは、小坂くんのこと好きなの?」
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「ほんと?」
「あたりまえだろ!いくら仲が良くたって気持ちわりいだろ?」
「・・・俺は、きょおくんが好きだよ」
「は?」
「きょおくんは?俺のこと、好き?」
「ええ?・・・お前、何言ってんだよ」
まっすぐに俺を見つめる陽向の大きな瞳に、胸がざわつく。
間近に迫るその透き通るような白い肌に、頭がくらくらする。
「きょおくん・・・・俺のこと、嫌い・・・?」
「いや、そんなわけないだろ!?お前のことは、好きだよ。好きだけど―――」
「うれしい、きょおくん」
陽向が、本当に嬉しそうに柔らかく微笑んだ。
それはまさに、天使の笑顔。
もちろん、好きなのは本当だ。
こんなに可愛い弟はいない。
友達から聞く生意気で喧嘩ばかりしている弟なんかとは比べ物にならないくらい、うちの陽向はかわいいと思っていた。
だけど、その気持ちは弟に対するもののはずで―――
「・・・きょおくん・・・」
陽向の白くて細い腕が、俺の首に絡められる。
「陽向・・・?」
「俺を・・・・抱いて・・・・?」
「な・・なに・・・ッ」
次の瞬間、俺の唇に陽向の唇が重なった。
やわらかく、微かに湿ったその唇は甘く―――
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