11 / 51
僕の野望
しおりを挟む
「陽向くん、今日家に来る?」
給食を隣同士で食べながら、俺は陽向くんの様子を伺った。
そんなにおいしいとも思えない給食を、黙々と食べる陽向くんはすごく可愛い。
「え、今日?」
「うん。何か用事ある?」
「ううん、ないけど・・・でも一応きょおくんに聞いてみなくちゃ。これ食べ終わったら、高等部に行ってくる。雄介も一緒に行く?」
「うん」
俺は笑顔で頷いたけれど。
―――また『きょおくん』か。
陽向くんの、血の繋がらないお兄さんの京さん。
まだ一緒に暮らし始めて間もないっていう話なのに、陽向くんは京さんのことが大好きだ。
確かにかっこいいし爽やかでおまけに生徒会長。
中等部でも彼に憧れてる生徒はたくさんいる。
あんなに何でも出来て人望もあるなんて出来過ぎだ。
きっとあの人には裏の顔があるに違いないと思うのは、俺がひねくれてるからだろうか。
陽向くんが同じクラスに転入してきた日から、モノクロだった俺の学校生活が突然キラキラと輝きだしたのだ。
一目惚れなんて、本当にあるんだってびっくりした。
しかも相手は自分と同じ男なのに。
そんなことが一切気にならないほど陽向くんは誰よりも可愛くて、きれいだった。
「お、どこ行くんだ?」
廊下に出ると、ちょうどこちらへ歩いてきた島田先生と会った。
「高等部。ちょっと、きょおくんに用事があるの」
陽向くんが応えると、島田先生の眉間に微かにしわが寄ったのを俺は見逃さなかった。
「―――そっか。次の授業に遅れるなよ?」
「はーい。雄介、早くいこう」
「うん」
すれ違ってからそっと後ろを振り返ると、島田先生が立ち止まって陽向くんの方を振り返りじっと見つめていた。
その目はいつも見ているのんきで穏やかな島田先生とは全く違う人みたいだった。
熱っぽくて・・・・なんだかせつなくなるような、そんな目をしてた・・・・。
「あれ、ひなちゃんと雄介じゃん!なに、どうしたの?」
京さんのクラスに行くと、すぐに龍太さんが気付いて出て来てくれた。
「きょおくんは?」
「今、先生に呼ばれて職員室行ってるよ。もうすぐ帰ってくるんじゃないかな」
そう応える龍太さんの後ろで、クラスメイト達がざわざわしている。
「え、なに?中等部の子?かっわいいね~」
数人の女の子たちが寄って来て俺たちをじろじろと見る。
「京ちゃんの弟と、俺の友達。可愛いでしょ?」
「え、水沢くんに弟さんなんていたの?初耳!超可愛い!女の子みたいね~。名前なんて言うの?」
1人の女の子が陽向くんに顔を近づけそう聞いた時―――
「―――陽向」
後ろから聞こえてきた低い声に、女の子たちの表情が強張る。
「あ、きょおくん!」
「どうした?」
京さんの、陽向くんに向ける笑顔は相変わらず優しいものだったけど。
「あのね、今日雄介の家に遊びに行ってもいいかな」
「あー・・・ゲームしに行きたいんだっけ・・・。雄介くん、いいの?」
「僕は、全然大丈夫です。うちの家族も全然大丈夫ですよ」
「そっか。じゃあいいよ。でもあんまり遅くなっちゃダメだぞ。あ~・・・帰る頃、電話しろよ。迎えに行くから」
「あ・・・それなら、僕が駅まで送っていきますから」
「え、いいの?雄介」
「うん」
「・・・・じゃあ、うちの方の駅まで俺が迎えに行く」
陽向くんの家の近くの駅と、俺の家の近くの駅は2駅離れていた。
自転車なら20分くらいだけど、歩くと結構かかってしまう。
「わかった。じゃあ、もう行くね、きょおくん」
「ああ、気をつけてな」
「うん!」
笑顔で手を振り、京さんに背を向ける陽向くん。
俺はまた、ちらりと振り返ってみた。
その時の京さんの顔は思わず震えるほど怖かった。
さっきだって、陽向くんは気付かなかったみたいだけど陽向くんに顔を近づけた女子を睨む顔は無表情ですげえ怖かったんだから。
あんな顔で睨まれて、あんな低い声出されたら絶対怖いよ。
俺のことだって陽向くんが『行きたい』って言うからいいって言ってくれたけど、本当は絶対に面白くないと思ってるんだ。
だけど、俺もそこは気付かない振りをする。
だって陽向くんが好きだもん。
今はただの友達だけど、そのうちきっと陽向くんの『特別』になってやる。
そんな野望を胸に、俺は少し前を歩く陽向くんをじっと見つめたのだった・・・・・。
給食を隣同士で食べながら、俺は陽向くんの様子を伺った。
そんなにおいしいとも思えない給食を、黙々と食べる陽向くんはすごく可愛い。
「え、今日?」
「うん。何か用事ある?」
「ううん、ないけど・・・でも一応きょおくんに聞いてみなくちゃ。これ食べ終わったら、高等部に行ってくる。雄介も一緒に行く?」
「うん」
俺は笑顔で頷いたけれど。
―――また『きょおくん』か。
陽向くんの、血の繋がらないお兄さんの京さん。
まだ一緒に暮らし始めて間もないっていう話なのに、陽向くんは京さんのことが大好きだ。
確かにかっこいいし爽やかでおまけに生徒会長。
中等部でも彼に憧れてる生徒はたくさんいる。
あんなに何でも出来て人望もあるなんて出来過ぎだ。
きっとあの人には裏の顔があるに違いないと思うのは、俺がひねくれてるからだろうか。
陽向くんが同じクラスに転入してきた日から、モノクロだった俺の学校生活が突然キラキラと輝きだしたのだ。
一目惚れなんて、本当にあるんだってびっくりした。
しかも相手は自分と同じ男なのに。
そんなことが一切気にならないほど陽向くんは誰よりも可愛くて、きれいだった。
「お、どこ行くんだ?」
廊下に出ると、ちょうどこちらへ歩いてきた島田先生と会った。
「高等部。ちょっと、きょおくんに用事があるの」
陽向くんが応えると、島田先生の眉間に微かにしわが寄ったのを俺は見逃さなかった。
「―――そっか。次の授業に遅れるなよ?」
「はーい。雄介、早くいこう」
「うん」
すれ違ってからそっと後ろを振り返ると、島田先生が立ち止まって陽向くんの方を振り返りじっと見つめていた。
その目はいつも見ているのんきで穏やかな島田先生とは全く違う人みたいだった。
熱っぽくて・・・・なんだかせつなくなるような、そんな目をしてた・・・・。
「あれ、ひなちゃんと雄介じゃん!なに、どうしたの?」
京さんのクラスに行くと、すぐに龍太さんが気付いて出て来てくれた。
「きょおくんは?」
「今、先生に呼ばれて職員室行ってるよ。もうすぐ帰ってくるんじゃないかな」
そう応える龍太さんの後ろで、クラスメイト達がざわざわしている。
「え、なに?中等部の子?かっわいいね~」
数人の女の子たちが寄って来て俺たちをじろじろと見る。
「京ちゃんの弟と、俺の友達。可愛いでしょ?」
「え、水沢くんに弟さんなんていたの?初耳!超可愛い!女の子みたいね~。名前なんて言うの?」
1人の女の子が陽向くんに顔を近づけそう聞いた時―――
「―――陽向」
後ろから聞こえてきた低い声に、女の子たちの表情が強張る。
「あ、きょおくん!」
「どうした?」
京さんの、陽向くんに向ける笑顔は相変わらず優しいものだったけど。
「あのね、今日雄介の家に遊びに行ってもいいかな」
「あー・・・ゲームしに行きたいんだっけ・・・。雄介くん、いいの?」
「僕は、全然大丈夫です。うちの家族も全然大丈夫ですよ」
「そっか。じゃあいいよ。でもあんまり遅くなっちゃダメだぞ。あ~・・・帰る頃、電話しろよ。迎えに行くから」
「あ・・・それなら、僕が駅まで送っていきますから」
「え、いいの?雄介」
「うん」
「・・・・じゃあ、うちの方の駅まで俺が迎えに行く」
陽向くんの家の近くの駅と、俺の家の近くの駅は2駅離れていた。
自転車なら20分くらいだけど、歩くと結構かかってしまう。
「わかった。じゃあ、もう行くね、きょおくん」
「ああ、気をつけてな」
「うん!」
笑顔で手を振り、京さんに背を向ける陽向くん。
俺はまた、ちらりと振り返ってみた。
その時の京さんの顔は思わず震えるほど怖かった。
さっきだって、陽向くんは気付かなかったみたいだけど陽向くんに顔を近づけた女子を睨む顔は無表情ですげえ怖かったんだから。
あんな顔で睨まれて、あんな低い声出されたら絶対怖いよ。
俺のことだって陽向くんが『行きたい』って言うからいいって言ってくれたけど、本当は絶対に面白くないと思ってるんだ。
だけど、俺もそこは気付かない振りをする。
だって陽向くんが好きだもん。
今はただの友達だけど、そのうちきっと陽向くんの『特別』になってやる。
そんな野望を胸に、俺は少し前を歩く陽向くんをじっと見つめたのだった・・・・・。
1
あなたにおすすめの小説
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
息の合うゲーム友達とリア凸した結果プロポーズされました。
ふわりんしず。
BL
“じゃあ会ってみる?今度の日曜日”
ゲーム内で1番気の合う相棒に突然誘われた。リアルで会ったことはなく、
ただゲーム中にボイスを付けて遊ぶ仲だった
一瞬の葛藤とほんの少しのワクワク。
結局俺が選んだのは、
“いいね!あそぼーよ”
もし人生の分岐点があるのなら、きっとこと時だったのかもしれないと
後から思うのだった。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
異世界で孵化したので全力で推しを守ります
のぶしげ
BL
ある日、聞いていたシチュエーションCDの世界に転生してしまった主人公。推しの幼少期に出会い、魔王化へのルートを回避して健やかな成長をサポートしよう!と奮闘していく異世界転生BL 執着最強×人外美人BL
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる