血のつながらない弟に誘惑されてしまいました。【完結】

まつも☆きらら

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胸の痛み

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「陽向くん、大丈夫?」

保健室から出てきた陽向くんに声をかける。

「うん。心配かけてごめんね、雄介」
「・・・次、数学だけど、まだ休んでる?」
「ううん、もう行くよ。ちょっと寝れたし」
「でも、まだ顔色悪いよ?」
「座ってるだけなら大丈夫だよ。わかんないとこあったら、雄介に聞くから教えてね」

無邪気に笑う陽向くんに、ドキッとする。

「いいけど・・・・俺より、陽向くんのが頭いいし」
「そんなことないよ。あ・・・島田せんせ、ありがとうございました」

そう言って陽向くんがくるりと後ろを向き、中にいた島田先生に軽く頭を下げた。

「あ、いや・・・・気をつけてな」

島田先生が、なぜか心ここにあらずという感じで顔をひきつらせていた。
俺と目が合うとさっとそらされ、それが逆に引っかかる。
普段島田先生はひょうひょうとしていてあまり感情を表に出さない印象がある。
その島田先生の普段あまり見せない動揺した様子が気になった。



「・・・陽向くん、島田先生と何かあった?」

教室に戻りながら俺が聞くと、陽向くんは不思議そうに俺を見る。

「え?なんで?なにもないよ?俺ずっと寝てて・・・雄介がノックするまで気付かなかったから」
「そっか・・・・。陽向くん、まだ熱ありそうだね。本当に大丈夫?」
「あと1時間だもん、大丈夫」

陽向くんがそう言った時。

「陽向!!」

後ろから大きな声が聞こえ、俺たちは足を止めた。
振り向かなくても、誰だかわかる。

「きょおくん?どうしたの?」

後ろから走ってきたのは京さんだった。
陽向くんに駆け寄ると、その肩をぎゅうっと掴んだ。

「お前が、体育の時間に倒れたって聞いて・・・大丈夫なのか!?」
「え・・・誰から聞いたの?」
「そんなこといいから!具合は・・・・」

そう言って、京さんは陽向くんの額に手を触れた。

「―――熱、あるじゃん。いつから?もしかして朝から具合悪かったんじゃねえのか?」
「朝は・・・・元気だったよ。今も、別に平気―――」
「平気じゃねえだろ?・・・・島田先生は?」
「あ・・・・保健室にいるよ。俺についててくれたから」
「じゃ、行こう」

京さんが陽向くんの手を掴み、保健室の方へと戻っていく。

「え?きょおくん?」
「早退させてもらう」
「え・・・俺、平気だよ!?あと1時間だし、早退なんて―――」
「ダメだ!」

京さんの強い言い方に、陽向くんの体がびくりと震える。

「あ・・・悪い。でも、無理しちゃダメだ。俺も、一緒に帰るから」

その言葉に、陽向くんは黙ってこくりと頷いた。
京さんがほっとしたように微笑む。

「よし、行こう。―――雄介」
「あ、はい」
「悪い、教室から陽向の制服と荷物、持って来てもらえるか?」
「わかりました」
「雄介、ごめんね。ありがとう」
「ううん。明日、数学のノート見せるね」
「うん!」

京さんと陽向くんが保健室の扉を開けて入って行った。
俺は教室に向かって歩きながら、小さく溜息をついた。

陽向くんが帰ってしまうのは残念だけど、体調が悪いのは事実だし早く帰って休んだ方がいいと俺も思っていたから・・・・。
京さんが一緒に帰るというのが不満だけど。
まあ、血が繋がっていないとはいえ兄弟だから仕方ない。
陽向くんだって京さんが一緒なら安心だろう・・・・。
それでも。

俺の胸がきしむように痛むのは、止めようがなかった。
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