血のつながらない弟に誘惑されてしまいました。【完結】

まつも☆きらら

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真実

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階段から落ちた陽向は救急車で病院に運ばれ、俺も先生に事情を話し陽向と一緒に病院へと向かった。

陽向は脳震盪を起こしていたが、他には軽い打ち身くらいで骨などに異常はなかった。
父さんに連絡すると、運ばれた病院の院長とは知り合いだということで陽向は特別に個室へ連れていかれた。
陽向が目を覚ませば帰っていいと言われていたので少しの間のことだけれど‥‥。
陽向の顔色は良くなかったが、呼吸は落ち着いていた。

俺は眠っている陽向の顔をじっと見つめていた。
あどけないその顔は、いつものかわいい陽向だった。
学校であったことがまるで嘘のようだ・・・・。

扉が軽くノックされ、振り向くとそこには父さんが立っていた。

「父さん・・・・」
「脳震とうだって?何があったんだ?」
「・・・・ちょっと、出よう」

俺は椅子から立ち上がり父さんを促して廊下へ出た。

「学校で、階段から落ちたんだ」
「そうか・・・・。今日は学園祭だっただろ?お前、生徒会の方は大丈夫なのか?」
「ああ、先生にはちゃんと頼んできた」
「そうか・・・・」

父さんはほっと息を吐きだした。
俺は、どうしても父さんに聞いておきたいことがあった。

陽向が俺に知られたくないと思っているなら知らないままでいいと思っていた。
だけど―――

今日の陽向の様子を思い出す。

このままにしておいちゃいけない気がした。

陽向のためにも・・・・。

「―――父さん」
「なんだ?」
「陽向の父親のことを教えてほしい」

俺の言葉に、父さんはぎくりとした様子で目を見開いた。

「京・・・・そのことは今は―――」
「病気で亡くなったって言ってたよね?でも・・・本当は違うんじゃないの?」

父さんは俺から目をそらし、俯いた。

「頼むよ。知りたいんだ。そして・・・・陽向のことを助けたい」
「助けたい?」
「このままじゃ、陽向は壊れてしまいそうな気がするんだ。陽向と・・・・父親の関係を、父さんは知ってるんじゃないの・・・・?」

父さんの顔色がさっと変わる。
やっぱり・・・・。
どうして父さんが血縁でもない陽向を引き取ることになったのか。
それがずっと気になっていたんだ。
父さんは、俺に何か隠していると―――。

「・・・・・わかった。だが・・・・約束してくれ」
「何を?」
「すべてを知っても、陽向を弟として大事にしてやってくれ」

父さんが真剣な顔で俺を見た。

「わかった」

俺が頷くと、父さんは病室の前のベンチに座った。
それに合わせて俺も隣に座る。

「陽向の父親―――星野は、とてもまじめでよく働く男だった。頭も良くて部下からの信頼も厚く、多数の部下の中でも信頼できる男だった。だが・・・星野の妻が若い恋人を作り幼い陽向と星野を残して家を出て行ってしまってから、星野はおかしくなってしまったんだ」
「おかしく・・・・?」
「誰にも心を開かなくなってしまった。口数も減り、ただ黙々と仕事をするだけで笑顔も見せなくなった。ただ一つ、子供のことを話す時を除いては」
「・・・・・」
「だから、私も星野がなるべく子供と過ごす時間が作れるようにと残業をしないで帰れるような部署に異動させた。―――2年ほどすると、彼はまた以前のように部下たちから信頼される上司になって生き生きと働くようになった。だから、私は安心していたんだ。もう心配ないと―――」
「・・・違ったんだね」
「・・・・それから5年たったある日、星野が1週間会社を休んだんだ。陽向の体調が悪いため看病がしたいと。だがその後さらに1週間会社を休んだ。そんなに具合が悪いのかと思って、わたしは仕事の合間に星野の家にお見舞いに行ったんだ」

そこまで話すと、父さんは額に手を当てため息をついた。

そのあとの話を聞くのが怖かった。

それでも・・・・知らなきゃいけない。

そう思った。

「彼らの住むマンションに行ってインターホンを押したが、誰も出てこなかった。最初は病院にでも行っているのかと思った。だが―――帰ろうとしたとき、中から物音が聞こえたんだ。だから、もしかして陽向が一人でいて具合が悪くて出てこられないのかもしれない。それなら何とかしてやらないと・・・・そう思って玄関のドアに手をかけたら、鍵がかかってなかったんだ。それで、中へ入った。―――声をかけながら中に入り、物音がする部屋へ・・・・そこはたぶん陽向の部屋だったんだろうな。勉強机があって、その隣にベッドがあって・・・・そこで・・・・・星野は陽向を―――自分の息子を―――」

父さんが震える手で目を覆った。

「父さん・・・・」
「京・・・・お前は知っていたのか・・・・?陽向と父親の関係を・・・・」

父さんの言葉に俺は頷いた。

「陽向に・・・・聞いたんだ。陽向は、そのことが悪いことだと思ってなかった。あいつは、純粋に父親のことが好きで、父親の想いに応えたいと思ってたんだ」
「・・・・そうか・・・・・。私は驚いてその場に立ち尽くしたよ。星野も驚いて私を見た。真っ青な顔で・・・・・気付けば私はマンションを出て車で会社に戻っていた。どうしたらいいのかわからず―――きっと星野は妻を失ってからずっと苦しんでいたんだ。その苦しみから逃れるために自分の息子を―――だが、そのままでいいわけがない。何とか力になってやりたい。そう考えていた時だった。―――警察から、電話がかかってきたんだ」
「警察から?何が・・・・」
「・・・・・星野が、陽向と無理心中をはかったと―――」
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