転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第三十三章 二年生

千三百三十四話 ちょっと怪しい依頼?

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 クレイモアさんの婚約という衝撃的なニュースがあったけど、結婚式をいつやるかは両家に決めてもらうことになります。
 なので、僕たち的には暫く待ちの状態になりました。
 入園試験の準備も終わり、生徒会活動もお休みです。
 これからは、畑のお世話以外は学園に登校する必要はありません。

「だからね、久々に思いっきり冒険者活動をするんだよ!」

 久々になにもないので、リズとスラちゃんは冒険者活動に情熱を燃やしていた。
 僕も、毎日はお仕事はないので、今日はたまたま一日フリーだった。
 残念ながら、王家の方々は夏休みを待っていたかのように公務が発生した。
 エレノアとかも、冒険者活動できなくてとても残念そうにしていた。
 その代わり、今度みんなでケイマン男爵領にある湖に遊びに行くことになった。
 ミカエルたちもお勉強で王城なので、本当に久々に僕たちだけの活動になった。
 先ずはということで、僕たちは辺境伯領の冒険者ギルドに向かった。

「うーん、ないねー」

 冒険者ギルドに着くと、リズはたくさんの依頼が張り出されている掲示板を眺めていた。
 依頼自体はたくさんあるんだけど、リズとスラちゃんはいったい何を探しているのだろうか。

「うーんとね、大きな魔物を倒す依頼がないか探しているんだよ」

 リズよ、流石にそんな大層な依頼は掲示板に載っているわけないよ。
 僕たちは、思わずガクリとしてしまった。

「ミー」
「うん? ミケちゃん、どうしたの?」

 すると、イヨの従魔的存在のミケちゃんが、何かの依頼を見つけたようだ。
 僕は、その依頼を手にとって確認した。

「えーっと、少し先にある村での害獣駆除だね。ブチイノシシの被害が出ているので、倒して欲しいみたいだ」
「おお、村人の為に頑張らないと!」

 リズとスラちゃんは、既にこの依頼を受けたつもりでいた。
 とはいえ、これだけじゃ情報がわからないので受付のお姉さんに話を聞いてみた。

「領都から馬車で一時間程にある村からの依頼です。どうも定期的に軍が訓練を兼ねて害獣駆除をしているそうですが、今年は被害が多いために依頼を出した模様です」

 おや?
 軍が定期的に害獣駆除をしているのなら、追加で依頼を出せば良い気がするよ。
 そもそも、この前軍に害獣駆除を依頼したのはいつなんだろうか。
 僕は気になって、辺境伯様に通信用魔導具で確認をした。
 すると、ビックリする結果が返ってきた。

「辺境伯様によると、軍が害獣駆除をしたのは一週間前だって。そして、この依頼が出されたのは五日前だよ」
「あれ? じゃあ、なんで害獣駆除の依頼が出ているのかな?」

 リズだけじゃなく、みんなも不思議そうに思い始めちゃいました。
 流石に受付のお姉さんも、どう対応していいか困惑しています。
 こういう時は偉い人に判断してもらおうということで、僕たちは冒険者ギルドの個室に移動することにしました。

「よくも、こんな依頼を見つけたな」
「確かに、とても微妙な依頼ですね」

 個室には、ギルドマスターとジェイド様も来てもらいました。
 二人とも、依頼内容と経緯を聞いて思わず苦笑いしていました。

「軍が適当に害獣駆除をしていた、本当にブチイノシシがたくさん発生していた、もしくはその他の理由なのか……」
「確かに、これでは判断しかねるね。一応、軍は規定数討伐して村に納品していたという記録がある」

 ジェイド様は、軍の対応結果を教えてくれた。
 辺境伯軍はとても真面目なことで有名だし、しかもこの日は国軍と合同で動いていたという。
 国軍側にもキチンと規定数討伐したという記録があり、軍が適当な害獣駆除をしていたという可能性はなくなります。

「となると、ブチイノシシが大量発生しているか、他に何かをしているということか。例えば、昔害獣駆除を装って犯罪組織が冒険者から金品を奪ったという記録があった。この依頼は確かに村人から出ているが、脅せば幾らでもどうにでもなる」

 ギルドマスターは、第三の可能性を示唆していた。
 実は、僕も同じことを考えていた。
 ブチイノシシ自体は倒すのは難しくなく、ある程度の実力があれば大丈夫です。
 逆を言えば、初心者ではなく経験を積んだ冒険者向けの依頼と言えます。
 そして、この間に当日対応した兵への聞き取りが行われ、辺境伯軍と国軍共にキチンと対応したことが裏付けられました。
 僕たちが出した結論は、以下になりました。

「依頼自体は、僕たちが受理します。僕たちと一緒に、辺境伯軍と国軍も村に向かって状況を確認することにします」
「どんな難事件でも、リズがズバッと解決しちゃうよ!」

 村で何かあって増員を手配するにしても、一時間近くかかってしまいます。
 それに、軍にとってもいい調査訓練になるそうです。
 ということで、僕たちは一旦屋敷に戻って準備を整えることにしました。
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