178 / 1,190
第十八章 少し平和な日々
三百七十四話 ブリットのお試しお泊まり その二
しおりを挟む
午後は辺境伯領での炊き出しです。
今日はルーカスお兄様達は用事があって来れないので、僕達に加えてジンさんも参加します。
午前中勉強を手伝ってくれたルリアンさんの代わりにレイナさんも参加し、ジンさんの妹のルルーさんとレイナさんの妹のクラヴィーアさんも炊き出しに参加します。
ついでと言わんばかりに、ポニさん達も護衛として同行します。
「わあ、おうましゃん!」
「たかいね!」
ブリットは馬やポニーに乗るのが初めてなのか、ユキさんにミカエルと一緒に乗っています。
ミカエルは何回かポニさん達に乗っているので、自信満々に手綱を持っています。
一応、ユキさんはこっちの指示で動いているけどね。
「あら、ミカエルちゃん。可愛い女の子と一緒で良いわね」
「うん!」
商店街のおばちゃんが、ユキさんに乗っているミカエルとブリットに笑顔で声をかけています。
ミカエルとブリットの件は既に街中に広まっているので、微笑ましい顔でミカエルとブリットの事を見つめています。
既に街の住人として、受け入れられている感じだ。
順調に教会前に到着し、イザベラ様の号令の下で皆一斉に動き出します。
僕達も何回も炊き出しを行っているのでそれぞれの場所で作業するのだが、ここでトラブルが発生。
「私も調理にまわろうかな?」
「「「止めてくれ!」」」
「えー」
何故かレイナさんが、炊き出しの調理担当にまわろうと言い出したのだ。
あの、野菜をまな板ごとぶった斬るレイナさんが、です。
ジンさんに加えて、レイナさんの実家で散々レイナさんの破壊的な料理を見てきたクラヴィーアさんにルルーさん、挙句の果てには治療を受ける為に炊き出しの所にきていた多くの冒険者までもがレイナさんを止めていた。
周りからの懇願もあってか、流石にレイナさんも調理担当から外れていつもの列の整理に回っていた。
「しかし、クラヴィーアちゃんとルルーちゃんは、レイナとジンに何処となく似ているわよね」
「二人とも姉妹ではないのに、両方とも苦労性って所はありそうね」
「あはは……」
炊き出しに参加している商店街のおばちゃんが、列整理しながらちょっと項垂れるレイナさんを見てそしてクラヴィーアさんとルルーさんを見ていた。
確かに皆赤っぽい髪色をして外見は似ているけど、二人にとっては姉と義姉であるレイナさんの事で苦労している事はきっと同じなのだろう。
二人とも、おばちゃんから言われた苦労性の所は否定しなかった。
さてさて、今日の治療班にはミカエルとブリットも参加している。
二人ともやる気満々なので、ここでダメとは言えないよね。
二人の護衛にプリンもついているし、リズも隣にいるから大丈夫だと割り切ろう。
「いちゃちの、とでけ!」
「おお、すげー。本当に傷が治ったぞ。ミカエル、すげーな」
「えへへ」
いかつい顔をした冒険者が、小さなミカエルに治療をしてもらってかなり驚いていた。
この街の多くの冒険者はミカエルと顔見知りなので、ちょっと前まで赤ちゃんだったミカエルが回復魔法を使った事に驚いていた。
「はい、どうでちゅか?」
「おやまあ、すっかり良くなったよ。有難うね」
「えへへ」
一方のブリットも、年寄り陣に大人気だ。
小さなシスターさんが一生懸命に治療するのが、老人にとっては微笑ましい光景の様だ。
二人とも舌足らずな話し方で頑張っていて、うまくやっている様だ。
この街の住人は良い人が多いから、あまり心配はしていないんだけどね。
「ジンは子爵様になっても、やっている事は変わらないか」
「そりゃ急には変わらないぞ。コイツらの子守もあるし、冒険者も続けるというか更に頑張れと発破かけられた」
「ジン、誰に発破かけられた?」
「陛下と王妃様に、アリア様とティナ様だ。各国で活躍している冒険者は少ないってな」
「ははは、ちげえねえ」
ジンさんは炊き出しの料理を作りながら、顔馴染みの冒険者と話をしていた。
ジンさんは名誉貴族から世襲貴族になったとは言え今まで王族と辺境伯様のサポートをしていたから、これからもジンさんの職務は全く変わらない。
エドちゃんやルカちゃんにも気に入られているし、帝国の双子ちゃんや教皇国や共和国にもパイプがある。
そんな冒険者なんて、各国を探しても殆どいないよね。
こうして、殆どトラブルもなく炊き出しは終了。
「あーあ、久々に包丁持ちたかったな」
「レイナ、寝言は寝て言え」
「お姉様、まだ包丁持つには早いです」
「えっと、お義姉様も頑張れば、きっと、上手く、なる、はず、です」
「えー! 三人とも酷いよ、ちょっとは慰めてよ!」
「「「無理!」」」
「そんなー」
レイナさんの料理下手を慰める所かハッキリと無理という辺り、ジンさんとクラヴィーアさんとリリーさんは仲が良いと見ておこう。
僕も、レイナさんが調理担当になるのはまだ早いと思うな。
今日はルーカスお兄様達は用事があって来れないので、僕達に加えてジンさんも参加します。
午前中勉強を手伝ってくれたルリアンさんの代わりにレイナさんも参加し、ジンさんの妹のルルーさんとレイナさんの妹のクラヴィーアさんも炊き出しに参加します。
ついでと言わんばかりに、ポニさん達も護衛として同行します。
「わあ、おうましゃん!」
「たかいね!」
ブリットは馬やポニーに乗るのが初めてなのか、ユキさんにミカエルと一緒に乗っています。
ミカエルは何回かポニさん達に乗っているので、自信満々に手綱を持っています。
一応、ユキさんはこっちの指示で動いているけどね。
「あら、ミカエルちゃん。可愛い女の子と一緒で良いわね」
「うん!」
商店街のおばちゃんが、ユキさんに乗っているミカエルとブリットに笑顔で声をかけています。
ミカエルとブリットの件は既に街中に広まっているので、微笑ましい顔でミカエルとブリットの事を見つめています。
既に街の住人として、受け入れられている感じだ。
順調に教会前に到着し、イザベラ様の号令の下で皆一斉に動き出します。
僕達も何回も炊き出しを行っているのでそれぞれの場所で作業するのだが、ここでトラブルが発生。
「私も調理にまわろうかな?」
「「「止めてくれ!」」」
「えー」
何故かレイナさんが、炊き出しの調理担当にまわろうと言い出したのだ。
あの、野菜をまな板ごとぶった斬るレイナさんが、です。
ジンさんに加えて、レイナさんの実家で散々レイナさんの破壊的な料理を見てきたクラヴィーアさんにルルーさん、挙句の果てには治療を受ける為に炊き出しの所にきていた多くの冒険者までもがレイナさんを止めていた。
周りからの懇願もあってか、流石にレイナさんも調理担当から外れていつもの列の整理に回っていた。
「しかし、クラヴィーアちゃんとルルーちゃんは、レイナとジンに何処となく似ているわよね」
「二人とも姉妹ではないのに、両方とも苦労性って所はありそうね」
「あはは……」
炊き出しに参加している商店街のおばちゃんが、列整理しながらちょっと項垂れるレイナさんを見てそしてクラヴィーアさんとルルーさんを見ていた。
確かに皆赤っぽい髪色をして外見は似ているけど、二人にとっては姉と義姉であるレイナさんの事で苦労している事はきっと同じなのだろう。
二人とも、おばちゃんから言われた苦労性の所は否定しなかった。
さてさて、今日の治療班にはミカエルとブリットも参加している。
二人ともやる気満々なので、ここでダメとは言えないよね。
二人の護衛にプリンもついているし、リズも隣にいるから大丈夫だと割り切ろう。
「いちゃちの、とでけ!」
「おお、すげー。本当に傷が治ったぞ。ミカエル、すげーな」
「えへへ」
いかつい顔をした冒険者が、小さなミカエルに治療をしてもらってかなり驚いていた。
この街の多くの冒険者はミカエルと顔見知りなので、ちょっと前まで赤ちゃんだったミカエルが回復魔法を使った事に驚いていた。
「はい、どうでちゅか?」
「おやまあ、すっかり良くなったよ。有難うね」
「えへへ」
一方のブリットも、年寄り陣に大人気だ。
小さなシスターさんが一生懸命に治療するのが、老人にとっては微笑ましい光景の様だ。
二人とも舌足らずな話し方で頑張っていて、うまくやっている様だ。
この街の住人は良い人が多いから、あまり心配はしていないんだけどね。
「ジンは子爵様になっても、やっている事は変わらないか」
「そりゃ急には変わらないぞ。コイツらの子守もあるし、冒険者も続けるというか更に頑張れと発破かけられた」
「ジン、誰に発破かけられた?」
「陛下と王妃様に、アリア様とティナ様だ。各国で活躍している冒険者は少ないってな」
「ははは、ちげえねえ」
ジンさんは炊き出しの料理を作りながら、顔馴染みの冒険者と話をしていた。
ジンさんは名誉貴族から世襲貴族になったとは言え今まで王族と辺境伯様のサポートをしていたから、これからもジンさんの職務は全く変わらない。
エドちゃんやルカちゃんにも気に入られているし、帝国の双子ちゃんや教皇国や共和国にもパイプがある。
そんな冒険者なんて、各国を探しても殆どいないよね。
こうして、殆どトラブルもなく炊き出しは終了。
「あーあ、久々に包丁持ちたかったな」
「レイナ、寝言は寝て言え」
「お姉様、まだ包丁持つには早いです」
「えっと、お義姉様も頑張れば、きっと、上手く、なる、はず、です」
「えー! 三人とも酷いよ、ちょっとは慰めてよ!」
「「「無理!」」」
「そんなー」
レイナさんの料理下手を慰める所かハッキリと無理という辺り、ジンさんとクラヴィーアさんとリリーさんは仲が良いと見ておこう。
僕も、レイナさんが調理担当になるのはまだ早いと思うな。
583
あなたにおすすめの小説
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※短編です。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4800文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに対して、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。