転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
226 / 1,190
第十九章 懐古派の砦編

四百二十二話 ブレイクランドの病院での治療

しおりを挟む
 翌日は砦の事に対応する為に改めて教皇国に行くのだが、同時にイヨの事を引き取る事にもなっている。
 王城にいるティナおばあさまを迎えに行くと、何故か騎士服をバッチリ着込んだエレノアの姿があった。

「今日は私も一緒についていきます」

 エレノアはやる気満々って感じだけど、絶対にイヨがどんな人かを見る為だろう。
 昨日僕は頑張ってエレノアにイヨの事について説明したけど、まだエレノアは納得していないみたいだ。
 エレノアの同行を断ると暴れそうだし、街は特に危険って事もないのでティナおばあさまの判断でエレノアも同行する事が決定です。
 その代わりに、近衛騎士の護衛が厳重になります。

「エレノアも女の子ね」
「そうね、可愛らしいわ」

 あの、レイナさんとカミラさん。
 エレノアは昔からこんな感じでしたよ。
 僕は思わずはぁって溜息をつきながら、教皇国にゲートを繋いで向かいます。

「前線からの報告では、予想以上に懐古派を押し込めている様です」
「そうなんですね」

 ブレイクランドの教会の応接室で、僕達はレリーフ枢機卿から懐古派がいる砦を巡る戦況を聞きます。
 思ったよりも懐古派を押し込めているので、僕達も一安心です。

「ただ、怪我人が多く出ているので、治療の手が不足しております。申し訳ありませんが、治療の手助けをして頂けると非常に助かります」
「ええ、良いですよ。幸いにして治癒魔法が使える人が多いですので、全く問題ありませんわ」
「ありがとうございます。可能でしたら、皇都から聖女様をお連れ頂けますか? 聖女様も、是非治療に参加したいそうです」

 僕達は王国でもたまに軍の病院で治療をしているし、ティナおばあさまの言う通り全く問題ない。
 カレン様も傷ついた兵を治療したいと思っているので、早速皇都からカレン様を連れてきてブレイクランドの病院へ向かいます。

「はい、痛みはどうですか?」
「良くなりました。聖女様、ありがとうございます」

 軍の病院に着いた僕達は、早速治療を開始します。
 わざわざ聖女様が前線に来て治療しているだけあって、治療を受けた兵は感激していた。
 ヒカリも、カレン様と一緒になって怪我をした兵の治療をしていきます。
 勿論、エレノアもスラちゃんとプリンもカミラさんも治療を行います。

「おばあちゃん、どのくらいまで治していーい?」
「折角だから、全力で治療しても良いでしょう」
「分かった!」

 沢山の人が怪我をしているので、僕達もティナおばあさまに許可を貰って全力で怪我した兵の治療にあたります。
 と、僕達が治療をする前にアレクサさんに頼んで、兵に注意してもらいます。

「えっと、これから双翼の天使様が全力で治療をしますが、治療結果はあまり公表しない様にして下さい」

 アレクサさん自身もなんでこんなアナウンスをするのか不思議に思っていましたが、僕達の治療結果を見て貰えば分かるはずです。
 先ずは、右腕を肘から先を切断してしまった兵の治療です。

「お兄ちゃん、オッケーだよ」
「よし、やってみよう」

 ぴかー!

「「「えっ?」」」

 僕とリズの合体魔法で、兵の失った腕が元に戻ります。
 治療を受けた兵は勿論の事、アレクサさんや他の人もかなり驚いています。

「リズ、魔力は大丈夫?」
「全然平気だよ。どんどんと治療しよう!」
「こ、これは。確かに治療結果を漏らす訳にはいけませんね」

 兵の失った腕を元に戻す程の治療をしてもピンピンとしている僕とリズを見て、アレクサさんは治療の結果と共に秘密を漏らさない様にしないとと思ったらしい。
 勿論、周りの兵も先程のアレクサさんの言葉の意味を理解した様だ。
 しかし、残念ながらもう一つ奇跡が起きてしまった。

 ぴかー!

「おお。足が、足が元に戻ってるぞ!」
「ははは、相変わらずこの聖剣はぶっ壊れ性能だなあ」
「ジ、ジン様の聖剣も物凄いですね」

 ジンさんの聖剣は聖属性なので、試しに治療ができないかと聖剣を発動したのだ。
 そうしたら、僕達の合体魔法とほぼ同じ位の治療効果が出たのだ。
 これにはアレクサさんもびっくりです。

「むー、ジンさんに負けないもん!」
「リズよ、治療は競争ではないぞ」

 ジンさんの聖剣にリズが対抗意識を出して、僕を引き連れて次々と兵を治療していった。
 実はスラちゃんとプリンの合体魔法もあってか、半日でほぼ全ての重傷者を治療出来た。
 そして、ブレイクランドの軍の病院では、双翼の天使様と導くもの様が奇跡を起こしたとされたのだった。
しおりを挟む
感想 287

あなたにおすすめの小説

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※短編です。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4800文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます

今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。 しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。 王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。 そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。 一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。 ※「小説家になろう」「カクヨム」から転載 ※3/8~ 改稿中

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

家の全仕事を請け負っていた私ですが「無能はいらない!」と追放されました。

水垣するめ
恋愛
主人公のミア・スコットは幼い頃から家の仕事をさせられていた。 兄と妹が優秀すぎたため、ミアは「無能」とレッテルが貼られていた。 しかし幼い頃から仕事を行ってきたミアは仕事の腕が鍛えられ、とても優秀になっていた。 それは公爵家の仕事を一人で回せるくらいに。 だが最初からミアを見下している両親や兄と妹はそれには気づかない。 そしてある日、とうとうミアを家から追い出してしまう。 自由になったミアは人生を謳歌し始める。 それと対象的に、ミアを追放したスコット家は仕事が回らなくなり没落していく……。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。