転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
542 / 1,190
第二十五章 新たな脅威?

七百三十八話 ツンツン頭の屋敷を捜索

しおりを挟む
 パカパカパカ。
 パカパカパカ。

 軍の騎馬隊に馬車が、ツンツン頭の屋敷の前に大量に到着。
 門兵も屋敷の者も、突然現れた軍に完全にワタワタしているぞ。

 ガチャ。

「じゃあ、速やかに終わらせますか」
「そうですね。スラちゃん達は、門兵に捜索令状を見せたら屋敷に入っちゃってね」

 僕とルーカスお兄様は、お互いに見合って頷きました。
 僕も、早く終わらせて貴重な休日を堪能したいもんね。
 みんな馬車から降りた所で、未だにワタワタしている門兵の所に向かいます。
 そして、軍務卿が一枚の紙を門兵に突きつけました。

「軍務卿ケーヒル伯爵だ。闇組織処罰法違反で、これよりバレン子爵家へ家宅捜索を行う。速やかに開門せよ」
「「はっ、はぃぃ!」」

 シュッ。

 軍務卿の迫力に圧されて、門兵はあっさりと門を開けます。
 大勢の兵が屋敷になだれ込むのと同時に、いわゆるスラちゃん部隊が屋敷の中に潜入しました。
 これで捕縛した闇組織の構成員の部屋にスラちゃん達が向かったから、目的の九割は達成した事になりますね。
 僕たちも、兵に続いて屋敷の中に入ります。

「なっ、何だ貴様らは! ここを、誰の屋敷だと思っているのか?」
「帰れ! 国家権力の犬よ帰れ!」

 屋敷に入ると、激怒しているツンツン頭と全くそっくりの子どもが僕たちに悪態をついていました。
 うん、あの子どもが僕と同い年の子だね。
 今の内に接触していて良かった、どうやっても友達になれそうにもないぞ。
 それはリズ達も同じだったみたいで、完全に嫌っているみたいだ。
 そして、そんな悪態が止まらない二人に向けて、ルーカスお兄様が冷たい眼差しのまま話し始めた。

「では、二人とも闇組織との繋がりを認めるのか? この屋敷にいた者が、闇組織のアジトで拘束された。その者は、どうも二人に色々と話をしていた様だな」
「はっ、闇組織? あいつが?」
「えっ、えっ?」

 やっぱりというか、二人は自分達に接触していた者が闇組織の構成員だと思わなかったみたいだ。
 流石に二人とも闇組織の名前が出てきて、訳が分からない表情をしているぞ。

「家族を全員応接室に入れて、捜索が終わるまで監視をするように。家人も一箇所に集めて、家族と家人への聴取も行うように」
「「「はっ」」」
「がっ、くそ!」
「何をする!」

 ルーカスお兄様の指示で、二人は兵によって応接室に連れて行かれました。
 他の人も、空いている部屋に集められて聴取を受けます。
 その間に、僕たちは手分けして主要な部屋の捜索に当たります。

「あっ、お金の入った袋を発見したよ」
「こちらは手紙です。脱税っぽいです」
「これは闇組織の指示書です。馬鹿をもっと煽れって書いてあります」
「薬もあった。興奮剤っぽい」

 捕まった闇組織の構成員の部屋を調べると、次から次へと色々な物が出てきます。
 全部スラちゃんのアイテムボックスに入れて、証拠隠滅を防ぎます。
 そして、逐一王都郊外の軍駐屯地に証拠品を運んでいます。

「ジンさん、もしかしたらあのツンツン頭は興奮剤を定期的に飲まされていた可能性がありますね。なんせ、あの興奮具合ですから」
「いや、その可能性は低いな。興奮剤が使われた形跡がない」
「奴は元からあんな性格だ。ジンの言う通り、薬は使った可能性はないな」

 えっと、僕としてはジンさんと軍務卿の意見の方がビックリです。
 どう見ても、二人は薬を飲んでいるようにしか見えなかったよ。

「あっ、また何かあったよ。お金の袋だ」
「こっちにもお金の袋があったよ」
「また、お薬が出てきました」
「こっちも薬だ」

 それにしても、一体どれだけの証拠品が出てくるんだろうか。
 流石に僕もビックリです。

「でも、流石に家人の管理不行き届きでは処罰は出来ないですよね?」
「普通の犯罪なら難しいが、今回は闇組織だ。闇組織の構成員を雇用してはいけないと法律に明記しているから、今回は処罰対象になる」

 流石に当主交代とかにはならないけど、軍務卿曰く多額の罰金は免れないそうです。
 そんな事を思っていたら、急に宙が歪み始めました。
しおりを挟む
感想 287

あなたにおすすめの小説

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※短編です。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4800文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます

今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。 しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。 王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。 そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。 一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。 ※「小説家になろう」「カクヨム」から転載 ※3/8~ 改稿中

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた

菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに対して、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…? ※他サイトでも掲載しております。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。