転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
748 / 1,191
第二十九章 新しい町を作ろう!

九百四十四話 さっそく作業を始めます

しおりを挟む
 翌日、さっそく町を作る現場に向かいます。
 といっても、スラちゃんが現地まで行って僕たちをゲートで迎えにくる算段です。
 初日なのでミカエルたちは参加できないけど、リズたちとグロスターのおじいさまは現地確認に行きます。
 護衛として、ポニさんたちもついてきます。
 ドラちゃんはどうしようかと思ったけど、今日はミカエルたちも屋敷にいるのでお留守番です。
 代わりに、やる気満々のポッキーがついてきます。

 シュッ。

「あっ、スラちゃんが帰ってきた!」
「じゃあ、現地に行こうか」

 辺境伯様の合図で、僕たちはスラちゃんのゲートを潜りました。
 以前、国境の町に行く際に通った街道沿いに到着しました。

「わあ、周りは原っぱでなにもないね」
「川があるけど、森は少し離れているよ」

 リズとエレノアが周囲を見渡しているけど、原っぱと川しかない所です。
 でも、森を切り開く必要はないので、その点は楽かもしれません。

「ここを拠点にして、町と畑を作る計画だ。あと、この先にある村も拡張するぞ」
「あっ、帝国に行くときにご飯を食べた村だ!」

 計画は二段構えで、領都寄りの土地に新たな町を作るのと、既存ある村の拡張です。
 国境の町も住宅街の整備を進めるけど、これは申請を出さなくても大丈夫みたいです。
 もちろん、住宅整備事業の報告もしています。

「じゃあ、基点になる場所を決めて、地面を平らにした方が良いですね」
「うむ、そうだね。測量担当のものを連れてきているから、少し待ってくれ」

 カチャカチャと、何かの器具を使って測量している人たちがいます。
 前世でも通りの測量をしていた人がいたけど、この世界でもやっていることは一緒なんだね。
 その間に、空間魔法が使える僕、スラちゃん、ポッキーが他の人たちを呼び寄せます。
 ちなみに、見学も兼ねてナッシュさんとローリーさんも来ています。
 そして、三十分後、基点の場所が決まりました。

「お館様、こちらに代官邸を置くことになります。四方に大通りを作りますが、街道に通じる通りは広めにします」
「ふむ、計画通りだな。じゃあ、次の作業を行うとするか」

 辺境伯様の確認も終わったので、次は僕とスラちゃんが作業を行います。
 最初に、護衛の兵に町の四方が分かる位置に立って貰いました。

「じゃあ、スラちゃんやるよ!」
「リズもお手伝いする!」

 僕が声をかけると、スラちゃんは僕の横で触手をフリフリとしています。
 リズとプリンは、僕とスラちゃんへの魔力供給係ですね。
 ではでは、さっそく始めましょう。

 シュイン、シュイン、シュイン。
 ズゴゴゴゴゴ!

「おお、なんという魔法なのだろうか」
「流石はアレク君たちだ。双翼の天使様というだけあるね」

 僕とスラちゃんの土魔法を、合体魔法を使って周囲に広げていきます。
 目印があるから分かりやすいし、普段通っている街道の土の硬さも分かります。
 グロスターのおじいさまと辺境伯様がとても驚いていたけど、このくらいなら全然問題ありません。
 ついでに、四方に伸びる道の目安も付けてあります。
 五分もかからずに、僕たちは地面をならし終えました。

「ふう、こんな感じです。平らにして、地面も硬くしています」
「問題なさそうだね。じゃあ、休憩にしようか」

 作業を始めてまだ一時間経っていないけど、作業工程を確認する為に休憩を入れることになりました。
 でも、周囲になにもない平らなところなので、休めるところを作ります。

 シュッ、ドサッ。

「わあ、スラちゃんがお家を出したよ!」
「何かに使えるかもって、競売に出されていた家を買ってアイテムボックスに入れていたんだって」

 エレノアは大興奮しているけど、大人は呆気に取られていた。
 スラちゃんの財力なら、家を千個買っても余裕でしょう。
 さり気なく、ポッキーが悔しがっていたけど。
 さっそく、二階建ての家の中に入ります。

「ふむ、寝具にテーブルに魔導具も完備している。町作りの拠点としても使えるな」
「スラちゃんが、使ってオッケーだって」
「では、ありがたく使わせて貰おう」

 住む分には全く問題ないので、スラちゃんの好意で拠点として使うことになった。
 作業員が寝泊まりする場所も必要だよね。

「前に仮設住宅を土魔法で作ったんですけど、作業員の宿泊施設に使えそうです」
「例の災害のあったところで作ったものだね。護衛の宿泊施設にも使えそうだ」

 ということで、場所を指定してもらって土魔法で宿泊施設を作ることにしました。
 不要になったら取り壊せばいいし、扱いもとても簡単です。
 そんな中、グロスターのおじいさまは逐一王城に報告をしていました。
 そして、ローリーさんがみんなにお茶を淹れてくれます。
 ちょっと休憩しましょう。
しおりを挟む
感想 287

あなたにおすすめの小説

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※短編です。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4800文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)

ラララキヲ
ファンタジー
 乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。  ……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。  でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。 ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」  『見えない何か』に襲われるヒロインは──── ※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※ ※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※ ◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。

突然伯爵令嬢になってお姉様が出来ました!え、家の義父もお姉様の婚約者もクズしかいなくない??

シャチ
ファンタジー
母の再婚で伯爵令嬢になってしまったアリアは、とっても素敵なお姉様が出来たのに、実の母も含めて、家族がクズ過ぎるし、素敵なお姉様の婚約者すらとんでもない人物。 何とかお姉様を救わなくては! 日曜学校で文字書き計算を習っていたアリアは、お仕事を手伝いながらお姉様を何とか手助けする! 小説家になろうで日間総合1位を取れました~ 転載防止のためにこちらでも投稿します。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます

今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。 しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。 王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。 そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。 一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。 ※「小説家になろう」「カクヨム」から転載 ※3/8~ 改稿中

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。