転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

第三十章 入園前準備

千七話 再試験の筆記試験が終了です

　ということで、再試験になった人たちの対応を始めちゃいましょう。

「皆さん、おはようございます。副宰相のアレクサンダーです。本日は、筆記試験を行った後に実技試験を行います。不正行為のないように、精一杯日頃の努力を発揮して下さい」
「「「はい」」」

　受験者は元気に返事をしているけど、やる気満々だからティナおばあさまとカミラさんも思わずほっこりです。
　ここからは先生が諸注意を説明して、さっそく試験開始です。

「それでは、始め！」

　先生の合図で、一斉に試験開始です。
　先生に加えてティナおばあさまとカミラさんも巡回しているので、カンニングは難しいでしょう。
　そもそも、そういう人もいなさそうですけど。

「お前ら、追試験でカンニングとはいい度胸だな！」

　隣の部屋からカーセント公爵の怒鳴り声が聞こえてくるけど、特に気にしなくて良いでしょう。
　こちらの受験者は集中しているし、特に影響はなさそうです。

「それまで。問題用紙と解答用紙を回収しますので、手を膝の上に置いて下さい」

　こうして順調に予定時間が過ぎていき、筆記試験は無事に終了しました。
　もちろん、問題行為を起こした人はいません。
　ここから実技試験会場に移動するのに休憩を兼ねているのだけど、念の為に隣の部屋に向かおう。
　ティナおばあさまとカミラさんは僕にいってらっしゃいというけど、頑としてついてこなかった。
　不安になりつつ隣の部屋に行くと、燃え尽きている受験生と殺気を放っている皆さまの姿があった。
　既に席がバラバラになっているのを見ると、何があったか想像に難くない。
　でも、怖いけど確認のために念の為に聞いてみよう。

「あの、ニース侯爵、隣の部屋まで聞こえてくる声で何があったかを把握しましたけど、とりあえず試験は終わりましたか？」
「おお、終わったぞ。まあ、下手くそなカンニングなぞしおって。どうせ点数が低いのだから、堂々とやればよいのじゃ」

　ははは、机の上に問題集を置いて試験した方がいいって、どれだけダメダメなのでしょうか。
　といっても、問題になっているのは例のぽっちゃり君とその一派みたいだけど。
　後のものも試験結果は散々だったみたいだけど、それは何とも言えません。

「この後は実技試験だ。今日は特別に、元軍務卿の儂が見てやろう！」
「「「ヒィィィ……」」」

　どうやら受験生の散々な態度に、カーセント公爵の怒りに火が着いたみたいです。
　もちろん不正防止に学園の木剣を使うけど、その前にまともに打ち込めるのかと思ってしまいます。
　何はともあれ、実技試験会場でもある魔法訓練場に向かいました。
　すると、この人も待っていました。

「やあ、待っていたよ。僭越ながら、僕も相手をしよう」
「ふふふ、おじい様だけにいいところを取られるわけにはいきませんわ」
「「「あっ……」」」

　現生徒会長のルーカスお兄様と、副会長のアイビー様が、騎士服に着替えてやる気満々で待っていました。
　再試験の受験生はともかくとして、追試験の受験生は表情を青くしていた。
　ではでは、待っている人もいるので説明を始めましょう。

「では、この後実技試験を始めます。木剣は、不正防止の為に全て学園のものを使用します。魔法が得意な人は、剣技終了後に行いますので申し出て下さい。なお、追試験者は剣技と魔法の両方を行います」

　ある意味、学園の温情といえましょう。
　追試験者はどちらが得意か分からないので、強制的に両方やらせるというそうです。
　ともあれ、最初に準備運動を行います。

「あれ？　あなた怪我をしているわね。アレク君、治療してくれるかしら」

　再試験受験生の中には、頑張りすぎて怪我をしている人もいました。
　ティナおばあさまとカミラさんが直ぐに見抜いたので、僕も直ぐに治療をします。
　万全な状態で試験に臨んで欲しいですね。

「何だお前ら、体が硬すぎるぞ！　何も運動していない証拠だぞ！」
「「「はあはあ……」」」

　対して、追試験者をみていたカーセント公爵が、遂に往年の鬼軍曹モードに突入しました。
　準備運動でヒーヒー言っている受験生をみて、色々なものが限界にきたのでしょう。
　この後の展開が、とっても怖いことになりそうです。