転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

第三十二章 新入生

千百三十一話 湖に移動して着替えます

「ドラちゃん、おまたせー！」
「グァー」

　ケイマン男爵家の屋敷の庭に出ると、ドラちゃんが欠伸をしながら僕たちを出迎えてくれました。
　庭の隅で猫のように丸まっているみたいだけど、勿論飛竜なので体は大きいです。
　それでも、ドラちゃんはとても大人しいので屋敷の使用人も微笑ましく見ていました。
　先ずは、湖の畔にあるケイマン男爵家のコテージに移動して、水着に着替えます。
　僕がコテージにゲートを繋げると、みんな我先にとコテージに向かいました。
　最後尾のドラちゃんがゲートを通過したところで、僕もゲートを通過しました。

「皆様、お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
「「「はーい！」」」

　コテージには使用人が控えていて、直ぐに僕たちをコテージの中に案内してくれました。
　それぞれに割り当てられた部屋に行って、さっそく水着に着替えます。

「ふんふんふーん！」
「リズは流石に大きくなったんだから、エレノアたちと着替えるんだよ」
「えー！」

　バタン。

　リズが当たり前のように僕のいる部屋で着替えようとしたので、部屋から追い出しました。
　一緒の部屋で着替えているミカエルたちが不思議そうな表情で僕のことを見上げていたけど、リズは未だに僕が隣にいても平気で着替えるんだよね。
　侍従のお姉さんもリズに注意しているけど、そろそろリズには恥じらいってものを持って欲しいです。

「ぶー、お兄ちゃんの側じゃなきゃ着替えないよ！」
「あの、そういう問題じゃないんだけど……」

　ミカエルたちの着替えを終えて部屋の外に出ると、リズがぷりぷりしながら僕に文句を言っていた。
　何故かエレノアまでリズの横でぷりぷりとしているけど、サンディやレシステンシアさんが二人を宥めている辺り、リズとエレノアは女性陣からも何か言われたみたいですね。

「リズちゃんもエレノアもアレク君のことが大好きなのは分かるけど、それでアレク君を困らせちゃ駄目よ。一応未成年の令嬢なのだから、その辺の分別はつけないとね」
「「はーい……」」

　ティナおばあさまも苦笑しているけど、リズとエレノアに注意してくれて助かった。
　リズとエレノアも、渋々といった感じでティナおばあさまの話を聞いていた。
　今までずっと一緒にいたから、この辺の気持ちの切り替えが難しいのかもね。

「とりあえず、お説教は終わったな。じゃあ、湖に行って遊ぶぞ。ドラちゃんが、まだかってずーっとこっちを覗いているぞ」
「「「あっ！」」」

　ジンさんの苦笑を聞いた僕たちが湖に面している大きな窓を見ると、ドラちゃんが「まだ―？」って表情で覗き込んでいた。
　すると、ミカエル達が急いでコテージから外に出て行った。
　僕たちもミカエル達の後に続いてコテージの外に出ると、既にドラちゃんは湖にぷかぷかと浮いて気持ちよさそうにしていました。
　ドラちゃんの背中にはポッキーを始めとしたマジカルラットたちが乗っていて、こちらも気持ちよさそうにしていますね。
　レイカちゃんの従魔の雲さんもドラちゃんの直ぐ側をふよふよと浮いているので、万が一ドラちゃんの背中からマジカルラットたちが落ちても大丈夫です。

「じゃあ、みんなも湖に入る？」
「「「入る―！」」」

　ミカエル達に話しかけると、当たり前って感じで湖畔でばちゃばちゃと水かけを始めました。
　リズとエレノアもミカエルたちに混じって水浴びをしているし、ホッと一安心です。