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第1部 第12章
第3話 side.ユーリアナ 屋根上の偽装婚約者と義妹と
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追って、追いかけて。
旦那様たちがそんなことを繰り返しているうちに、陽は暮れ始めていた。
屋敷の廊下にある窓から見えるのは、山の影から見える僅かな陽の欠片だけ。
山脈の輪郭を象る光に目を細めながら、義妹君を探してひたすら上を目指す。
階段を上って、屋根裏まで上って、
「見つけた」
「……っ」
小窓から外に出た屋根の上で丸まっていた背中が、びくっと震える。
私が来たことは気づいたろうに、義妹君は膝を抱えたまま動こうとはせず、陽が沈む山々を見つめていた。
返事がないのを許可と受け取って、私も小窓から屋根に上がる。
山脈に囲まれ、屋根も高いからか強い風が吹いていた。
不安定な足場を気に留めつつ、なにも語らない義妹君の隣に腰掛ける。
「……どうしてここがわかったんですか?」
「私にも覚えがあるからね」
座る位置を調整しながら、幼少の頃を思い出して笑う。
「嫌なことがあって誰にも会いたくないとき、よく屋根に上がったものさ。屋敷から聞こえてくる私を探して慌てふためく声を愉しんでいたな」
「わたしは愉しんでません」
「まぁ、探す使用人たちがいないのであれば、愉しめないだろうね」
ようやく上げた義妹君の顔には『一緒にしないで』と書いてあった。
もちろん、そんなことは私も理解している。
こっちを見たね。
こういう駆け引きは兄妹揃って苦手なのだろう。
社交界にあまり出席していないという経験不足もあるだろうが、本質的に向いていない。
だからこそ、反応が素直で好感を持てるというのもあるのだけど。
「義妹君は、お兄さんが好きかい?」
「好きです」
即答されて目が点になる。
もう少し照れたり、恥ずかしがったりすると予想していただけに、その反応は意外だった。
訝しむように、義妹君が瞳を薄くする。
「訊いてきたのはユーリアナ様なのに、どうしてそんなに驚いているんですか?」
「そうハッキリと言葉にされると思っていなかったからね」
「家族を好きなのは当たり前です。恥ずかしいとかないと思いますよ?」
「……そうだね」
眩しいな。
小さく首を傾げて不思議そうにする義妹君の反応が、その言葉が嘘ではないのを教えてくれる。
そういえば、旦那様も妹のことは素直にかわいいと口にしていたな。
本来、家族というのはこういう距離感なのか、それともこの兄妹の仲がよすぎるのか。
公爵家なんて特異な環境で育った私には判断がつかない。
「念の為に尋ねるが、異性として好き、というわけではないのだろう?」
「そ、……そんなわけありませんっ!」
「どもったのが怪しいね」
「突然、そんな突拍子もないことを訊かれれば、誰だって驚きます!」
ふーっ、ふーっと息を荒くして、義妹君の顔が真っ赤になる。
図星を突かれて動揺している――というわけでもなさそうだ。
「旦那様が特殊な性癖を持っていなくてよかったよ」
「…………、」
私がそう言うと、義妹君がなんとも言えない複雑な表情を浮かべる。
「……特殊というのであれば、ユーリアナ様の方ではないですか?」
「私? どこがかな」
「ユーリアナ様は兄さんのことが好きですよね? 公爵家のご息女なのに」
私は一瞬、途方に暮れた。
彼女の言葉のどこに驚くべきか迷ったからだ。
じっと夕陽で煌めく琥珀の瞳に見つめられ、風が頬を撫でていく。
「知っていたのかい? 私が公爵家の人間だと」
「あとからお母さんに確認したら教えてくれました。ただ、初対面のときから家名を隠していて、上流階級の人なのかとは思っていました」
「勘がいいね」
「本気で隠す気もなかったですよね?」
それはそう。
最初からバレてもいいと思っていたし、あえて家名を名乗らなかったのはその方が面白そうだったからだ。
とはいえ、義妹君には初対面のときから怪しまれ、旦那様の母君は私のことを知っていたのだから、どこまで意味があったかは疑問だ。
旦那様のようにあとから知って驚愕する、くらいの反応は期待していたのだけどね。
なかなか上手くいかないものだ。
やれやれと肩をすくめて、腰を浮かせて屋根裏に戻ろうとすると、ドレスの裾をひしっと掴まれた。
「で、好きなんですよね?」
「義妹君もなかなか強引だね」
本気で逃げるつもりはなかったが、こうも真っ直ぐな目で尋ねられると私の口も重くなる。
浮かした腰を元に戻して、義妹君がさっきしていたように山脈に沈む夕陽を眺める。
「まぁ、そうだね、好きだよ」
するりとはいかなかったけど、旦那様への好意を肯定する。
「それは異性としてですか?」
「さっきの意趣返しかい?」
なかなかいい性格をしている。
私が異性として旦那様を好きか。
そのことを考えたのは1度や2度じゃない。
でも、結局答えは出ないまま、彼の実家まで追いかけている。
好きなものには執着する性質ではある。
でもそれが異性に対するものなのかは、私の中でまだ答えは出ていなかった。
「どうだろうね」
答えを濁したわけじゃない。
本当にわからなかった。
そんな私の言葉を聞いた義妹君は、下唇をこれでもかって持ち上げて、すぐにはぁとため息を零した。
「――私は兄さんに帰ってきてほしくて、賭けを受け入れました」
「そうなのかい?」
予想外で、けれど義妹君らしさを知らない私でも、彼女らしいと感じる理由だった。
私の確認に、こくりと頷いてみせる。
「兄さんが学園に通っているのは、傾いたリュウール子爵家を立て直すためです。その憂いがなくなれば、兄さんは帰ってきてくれると思っていました」
「学園に通っていた理由は、それだけではないと思うけどね」
旦那様はリュウール子爵の再興や、領地の復興を口にしていたが、学園に通う理由の中には常に妹に望まない結婚をさせないことがあった。
その妹が、自分が実家に帰ってくるために、望まない結婚をしかけたというのは皮肉めいている。
兄の心、妹知らず。
逆も然り。
互いが互いを想いあっているからこそのすれ違いだなと思っていると、義妹君が非常に不愉快そうな顔をしていた。
嫌いなものを食べたような、苦々しい表情。
「そういう、私は兄さんのことをわかってますという態度、嫌いです」
「ん、ふふっ、そう見えたかい?」
そんなつもりはなかったけど、言われてみればそう見えなくもない。
尋ね返すと、ますます義妹君の顔が渋くなる。
「ユーリアナ様は最初、偽装婚約を解消しないのは、わたしが兄さんを好きな理由と同じって言いましたけど」
「大好き、な」
「……そういうのいりません」
兄と似たことを言う。
くすっと笑みがこぼれる
「それ、間違ってますから。わたしが兄さんを好きなことに理由なんてありません。ただ好きなだけです」
「一緒にいて愉しいから、ではなく?」
「……それが兄さんを解放しない理由ですか?」
ジト目で私を見たあと、義妹君は立ち上がる。
「そろそろ行きます。兄さんに謝らないと」
「元気が出たのならよかった」
そう零すと、義妹君が物言いたげな目を向けてくる。
でも、結局なにも言うことはなく、そのまま小窓から屋根裏部屋に帰っていく。訊くだけ野暮と思ったのかもしれない。
私もことさら説明する気はなかった。
上手くいくといいね。
夜空に輝き始めた明星にそう願うと、義妹君が言葉を置いていく。
「わたしは兄さんに抱きしめられてもドキドキしません。妹ですから」
余計なお世話というには今、私が求めていた助言だった。
振り返ってみたけど、義妹君の姿はなく、開いた小窓から屋根裏部屋が見えるだけ。
ふっと息を吐き、夜の帳の下りた空を仰ぐ。
「認めてもらえたのか、それとも捻くれた感謝か」
どうあれ律儀だ。
でも、そうか。
抱きしめられてもドキドキしないのか。
胸に触れる。
――私はどうなのだろうね。
心の答えは、もうすぐそこに。
旦那様たちがそんなことを繰り返しているうちに、陽は暮れ始めていた。
屋敷の廊下にある窓から見えるのは、山の影から見える僅かな陽の欠片だけ。
山脈の輪郭を象る光に目を細めながら、義妹君を探してひたすら上を目指す。
階段を上って、屋根裏まで上って、
「見つけた」
「……っ」
小窓から外に出た屋根の上で丸まっていた背中が、びくっと震える。
私が来たことは気づいたろうに、義妹君は膝を抱えたまま動こうとはせず、陽が沈む山々を見つめていた。
返事がないのを許可と受け取って、私も小窓から屋根に上がる。
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不安定な足場を気に留めつつ、なにも語らない義妹君の隣に腰掛ける。
「……どうしてここがわかったんですか?」
「私にも覚えがあるからね」
座る位置を調整しながら、幼少の頃を思い出して笑う。
「嫌なことがあって誰にも会いたくないとき、よく屋根に上がったものさ。屋敷から聞こえてくる私を探して慌てふためく声を愉しんでいたな」
「わたしは愉しんでません」
「まぁ、探す使用人たちがいないのであれば、愉しめないだろうね」
ようやく上げた義妹君の顔には『一緒にしないで』と書いてあった。
もちろん、そんなことは私も理解している。
こっちを見たね。
こういう駆け引きは兄妹揃って苦手なのだろう。
社交界にあまり出席していないという経験不足もあるだろうが、本質的に向いていない。
だからこそ、反応が素直で好感を持てるというのもあるのだけど。
「義妹君は、お兄さんが好きかい?」
「好きです」
即答されて目が点になる。
もう少し照れたり、恥ずかしがったりすると予想していただけに、その反応は意外だった。
訝しむように、義妹君が瞳を薄くする。
「訊いてきたのはユーリアナ様なのに、どうしてそんなに驚いているんですか?」
「そうハッキリと言葉にされると思っていなかったからね」
「家族を好きなのは当たり前です。恥ずかしいとかないと思いますよ?」
「……そうだね」
眩しいな。
小さく首を傾げて不思議そうにする義妹君の反応が、その言葉が嘘ではないのを教えてくれる。
そういえば、旦那様も妹のことは素直にかわいいと口にしていたな。
本来、家族というのはこういう距離感なのか、それともこの兄妹の仲がよすぎるのか。
公爵家なんて特異な環境で育った私には判断がつかない。
「念の為に尋ねるが、異性として好き、というわけではないのだろう?」
「そ、……そんなわけありませんっ!」
「どもったのが怪しいね」
「突然、そんな突拍子もないことを訊かれれば、誰だって驚きます!」
ふーっ、ふーっと息を荒くして、義妹君の顔が真っ赤になる。
図星を突かれて動揺している――というわけでもなさそうだ。
「旦那様が特殊な性癖を持っていなくてよかったよ」
「…………、」
私がそう言うと、義妹君がなんとも言えない複雑な表情を浮かべる。
「……特殊というのであれば、ユーリアナ様の方ではないですか?」
「私? どこがかな」
「ユーリアナ様は兄さんのことが好きですよね? 公爵家のご息女なのに」
私は一瞬、途方に暮れた。
彼女の言葉のどこに驚くべきか迷ったからだ。
じっと夕陽で煌めく琥珀の瞳に見つめられ、風が頬を撫でていく。
「知っていたのかい? 私が公爵家の人間だと」
「あとからお母さんに確認したら教えてくれました。ただ、初対面のときから家名を隠していて、上流階級の人なのかとは思っていました」
「勘がいいね」
「本気で隠す気もなかったですよね?」
それはそう。
最初からバレてもいいと思っていたし、あえて家名を名乗らなかったのはその方が面白そうだったからだ。
とはいえ、義妹君には初対面のときから怪しまれ、旦那様の母君は私のことを知っていたのだから、どこまで意味があったかは疑問だ。
旦那様のようにあとから知って驚愕する、くらいの反応は期待していたのだけどね。
なかなか上手くいかないものだ。
やれやれと肩をすくめて、腰を浮かせて屋根裏に戻ろうとすると、ドレスの裾をひしっと掴まれた。
「で、好きなんですよね?」
「義妹君もなかなか強引だね」
本気で逃げるつもりはなかったが、こうも真っ直ぐな目で尋ねられると私の口も重くなる。
浮かした腰を元に戻して、義妹君がさっきしていたように山脈に沈む夕陽を眺める。
「まぁ、そうだね、好きだよ」
するりとはいかなかったけど、旦那様への好意を肯定する。
「それは異性としてですか?」
「さっきの意趣返しかい?」
なかなかいい性格をしている。
私が異性として旦那様を好きか。
そのことを考えたのは1度や2度じゃない。
でも、結局答えは出ないまま、彼の実家まで追いかけている。
好きなものには執着する性質ではある。
でもそれが異性に対するものなのかは、私の中でまだ答えは出ていなかった。
「どうだろうね」
答えを濁したわけじゃない。
本当にわからなかった。
そんな私の言葉を聞いた義妹君は、下唇をこれでもかって持ち上げて、すぐにはぁとため息を零した。
「――私は兄さんに帰ってきてほしくて、賭けを受け入れました」
「そうなのかい?」
予想外で、けれど義妹君らしさを知らない私でも、彼女らしいと感じる理由だった。
私の確認に、こくりと頷いてみせる。
「兄さんが学園に通っているのは、傾いたリュウール子爵家を立て直すためです。その憂いがなくなれば、兄さんは帰ってきてくれると思っていました」
「学園に通っていた理由は、それだけではないと思うけどね」
旦那様はリュウール子爵の再興や、領地の復興を口にしていたが、学園に通う理由の中には常に妹に望まない結婚をさせないことがあった。
その妹が、自分が実家に帰ってくるために、望まない結婚をしかけたというのは皮肉めいている。
兄の心、妹知らず。
逆も然り。
互いが互いを想いあっているからこそのすれ違いだなと思っていると、義妹君が非常に不愉快そうな顔をしていた。
嫌いなものを食べたような、苦々しい表情。
「そういう、私は兄さんのことをわかってますという態度、嫌いです」
「ん、ふふっ、そう見えたかい?」
そんなつもりはなかったけど、言われてみればそう見えなくもない。
尋ね返すと、ますます義妹君の顔が渋くなる。
「ユーリアナ様は最初、偽装婚約を解消しないのは、わたしが兄さんを好きな理由と同じって言いましたけど」
「大好き、な」
「……そういうのいりません」
兄と似たことを言う。
くすっと笑みがこぼれる
「それ、間違ってますから。わたしが兄さんを好きなことに理由なんてありません。ただ好きなだけです」
「一緒にいて愉しいから、ではなく?」
「……それが兄さんを解放しない理由ですか?」
ジト目で私を見たあと、義妹君は立ち上がる。
「そろそろ行きます。兄さんに謝らないと」
「元気が出たのならよかった」
そう零すと、義妹君が物言いたげな目を向けてくる。
でも、結局なにも言うことはなく、そのまま小窓から屋根裏部屋に帰っていく。訊くだけ野暮と思ったのかもしれない。
私もことさら説明する気はなかった。
上手くいくといいね。
夜空に輝き始めた明星にそう願うと、義妹君が言葉を置いていく。
「わたしは兄さんに抱きしめられてもドキドキしません。妹ですから」
余計なお世話というには今、私が求めていた助言だった。
振り返ってみたけど、義妹君の姿はなく、開いた小窓から屋根裏部屋が見えるだけ。
ふっと息を吐き、夜の帳の下りた空を仰ぐ。
「認めてもらえたのか、それとも捻くれた感謝か」
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