きさらぎ駅

水野華奈

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香織の解放

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────────
─────


長い長い沈黙をひたすら守ってきたけど、私は訝しげな表情のまま彼を見据えた。


数人の鬼に何重もの鎖を外させる彼は、その微笑んでる人の良さそうな笑顔の奥に何を隠してるのだろう。


そんな疑問も浮かんでくる。


きっとろくな事じゃないのは必須で、きっと私が思うより遙かにろくな事は起きないと思う。


最早確信にも近いそれに、私は鬼達ではなく彼をまっすぐ睨み付けた。





「鎖……邪魔だろうから外してあげようと思ってるのに随分反抗的だね君は」





くつりと喉を鳴らして笑われる。


枷に囚われて一日も経ってないだろう。
経ってても恐らく半日……。


元々疲れてるから過労感は相変わらずだけど、私はそれでもなんとか気力を振り絞り冷静ではいられるから、長時間には満たないと思う。


そんな短時間の間にジャラジャラした鎖は外されることになった。


おかしな事だと思う。


此処、きさらぎに来てから常識的な事など何一つ無かったのだけど。


それでも今置かれてる不可思議な現状は理解している。



何かあったのだと────。



でなければ、人間だという理由で恐れておきながらこうも易々と鎖を外される理由がわからない。



だから私は鋭さを増して彼を睨みつける。





赤い瞳をした連中も恐いけど、何が恐いかって彼が一番怖い。





その純粋無垢さの笑顔を掲げて微笑みながら、その心中はきっとドロリとした物に違いないのだ。




彼は────────


鬼と違う。





「そのままジッとしててね?沙耶が君を捜してるから是非君と合流して貰いたい」


「…………………」


「君は沙耶の探し人だろ?」





にやりと笑う。

それに対して答えなかった。
嫌、答えられなかった。


答えてはいけない気がしたとかそんなんじゃない。


目の奥に見え隠れする深い深い漆黒の闇が恐ろしくて、ぞわりと鳥肌が全身を覆い、言葉を詰まらせた。


絶対的な恐怖とそして言い知れぬ威圧感で押し黙るしかなかった。


嫌な汗がつぅっと背筋を伝う。


身動きできない中で、近付けられた彼の漆黒の瞳を見続けた。



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感想 1

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