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忘れたはずの記憶
三
しおりを挟む老婆に連れて行かれたのは村だった。
集落と言っていいかも知れない。
それほどに大きくもない家と、自然ばかりの孤立した集落のように思えた。
村人達は一様に白い肌、真っ赤な瞳をしていた。
幼子から老人達まで、数人が掲げる松明が月夜に無数に煌めいた。
始めて見る光景が物珍しかったのを覚えてる。
ゆらゆらと揺れる無数の松明を都会でそうそう見られるモノじゃない。
落ち着きなくあたりを見渡す私。
向けられる眼差しは一様に殺意と好奇の目だったのを幼い私は知らない。
『子供だ…人間の子供だ』
『贄はあの男だけか……』
『子供は使えない』
ぼそぼそと話す人たちを余所に、老婆は私をある部屋へと通した。
木造の平屋。
見慣れないもので溢れた其処は、時代劇の一齣のようだった。
『祭りが行われるまで家から出るでない、わかったか?』
問われてコクリと頷く。
その時の老婆の顔は、部屋の隅に置かれた蝋燭もあり子供ながらにとても恐ろしかった。
頷いた私を見て、老婆はにんまりと満足そうに笑った。
『待っておれ』
一言言って部屋を後にしてしまった。
見知らぬ家に一人……。
それも慣れない暗がりで、私は何だか心細く、ソッと家の扉を開けたのだった。
闇にきらめく真っ赤な炎の松明。
真っ赤な瞳。
浮かび上がる白い肌。
独創的な…まるでファンタジーの中のような光景に目を輝かせた。
そんな中、私はどこから見ても異質なものだった。
私にとっては限り無く普通だ。
それなのに────
異質。
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10
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