40 / 41
40、氷の騎士ではなくて
しおりを挟む
ベルティーユからまた、茶会への誘いが届いた。母からは無理をして出席する必要はないと言われたが、イリスは大丈夫だと答えた。マリエットは娘の答えが意外だったようで、我慢しているのではないかと疑った。
「本当に大丈夫なの?」
「ええ、大丈夫よお母さま。もう十分すぎるほど休んだんですもの。それに、こうしたお付き合いが大事なのでしょう?」
「それはそう、だけれど……イリスのことだから、本当は怖いんじゃないかと思って」
面倒だとか、怖いという気持ちが全くないわけではなかったが、今はそれを上回る強い気持ちがイリスの胸の中にはあった。
「それは彼のおかげ?」
母の何かを見極めるような問いかけに、イリスは微笑んだ。母にはそれで伝わったようだった。
諦めたようにため息をついて、娘の顔を見つめた。そして困ったように笑みを浮かべた。何かを認め、許すように。
「――イリスさん。今回は大変だったようね」
今回の茶会はベルティーユとイリス、そしてアナベルの三人というごく少数のものだった。
彼女は気遣うような眼差しでイリスの体調を心配して、アナベルにも同じ優しさを向けた。
「コルディエ公爵夫人はお兄様にたいそうご執心なの。わたくしにも、会う度にお兄様のことをあれこれ聞いてきますのよ」
王太子の妹であり、年頃の女性を相手に見せる態度ではなかったとベルティーユは辟易とした口調で述べた。
「あの、差し出がましい質問ですが、夫人と王太子殿下は、その、そういう関係でしたの」
アナベルはずいぶんと思い切った質問をする。けれどイリスも同じように気になっていたことだった。
「いいえ。それはないわ」
けれどもベルティーユはきっぱりと否定した。
「兄は軽薄そうに見えますけれど、ああ見えて意外と相手のことはきちんと見極めて、節度ある態度を保っているはずです」
「……たしかに殿下なら、そっけない態度を取ることで、かえって興味を持たれることを見抜いている気がしますわ」
だから誰にでも接するような、失礼のない態度を心がけた。
「そうね。好きの反対は無関心。そっけなくされればされるほど、相手の心を手に入れたいと躍起になるかもしれませんわ」
もしかしてベルティーユもラファエルに対してそう思っているのだろうか。
イリスの胸の内を聴いたわけではないだろうが、王女はこちらを見て悪戯っぽく微笑んだ。
「わたくしなら、自分のことを好きでたまらない人と恋した方が楽しいと思うのだけれどね」
アナベルも同じだと相槌を打った。イリスは少々居心地が悪くなる。
「でもどちらにせよ、変わらなかったかもしれませんわ」
優しく接しても、同じように夫人はサミュエルに興味を持ってしまった。
「お兄様のいない所で、お兄様と仲良くなさっている女性に嫌味を言って牽制するから、傷つく女性がこれまでも少なからずいたの。イリスさんもアナベルさんも、怖い思いをなさったでしょう?」
「わたくしは大丈夫ですわ」
アナベルが本当にそう思っている様子で答えた。
「まぁ、本当?」
「ええ。さすがに扇子で叩かれそうになった時は怯みましたけれど、ラファエル様が守ってくれたので何もありませんでした」
「まぁラファエルが?」
一瞬ベルティーユは強く目を輝かせたが、すぐに立場を弁えたようで、きりっとした表情に戻した。
「それでも相手に手を上げるなんて……夫人も困ったものね」
「あの、コリンヌ嬢は大丈夫でしょうか」
夫人の姪であるコリンヌのことをイリスが聞くと、ベルティーユは顔を曇らせたまま答えた。
「ひどく落ち込んでいるそうよ。貴女たちにも謝りたいと零していらしたけれど、今は騒ぎになるからいけないと彼女のご両親が外出を控えるよう命じているの」
「公爵夫人も、そうなさっていますの?」
ベルティーユは肩を竦めた。
「ええ。さすがに夫であるコルディエ公爵から小言をもらったみたいね。しばらくの間は大人しくしているでしょうけれど……ほとぼりが冷めた頃にまたすぐ戻ってくるでしょう」
どんな見苦しい態度で振る舞おうが、彼女は公爵家の人間であり、高貴な人間であった。
「コリンヌ嬢のような被害者が今後出てくるかもわからないから、お兄様もさっさと婚約者を決めるべきなのよ」
「そう簡単に決めていい話ではないだろう、ベルティーユ」
声の方を見ればサミュエルが悪戯した子どもを叱るように妹を見ていた。ラファエルも、サミュエルの背後で他の騎士たちと一緒に控えていた。
「あら、お兄様。今日はお忙しいはずではなかったんですか」
「休憩だ。それに二人に謝らなければならないと思ってな」
サミュエルは真っ直ぐイリスとアナベルの前へ来ると、サッと床へ跪いた。
「怖い思いをさせてしまって、申し訳なかった」
一国の王子が膝をついて許しを請う姿にイリスもアナベルもぎょっとした。おそらく後方に控えている騎士たちも同じだろう。
サミュエルを止めようとして――けれど彼はその前に素早く立ち上がった。ほんのわずかな時間の、意表を突いたからこそできた謝罪であった。
「お兄様。人の上に立つ者が軽々しく謝ってはいけないのではなくて?」
ベルティーユがわざとそんなふうに言った。
「大切な友人を危険に晒してしまったんだ。友人として謝っただけさ」
サミュエルはそう返すと、困ったように視線を二人へ戻した。彼のそういった顔は初めて見たかもしれない。
「私が軽率に誘ってしまって夫人に誤解を与えてしまった。せめて最後まで見送るべきだった。本当にすまなかった」
イリスとアナベルは互いに顔を見合わせた。互いに困惑の色を目に浮かべていた。
「王太子殿下。決してあれは貴方のせいではありませんわ」
「ええ。貴方はただわたくしたちを友人として、ボックス席に招待して下さっただけです。二人きりならともかく、四人で、しかもラファエル様もいらっしゃった。詳しい事情をお聴きになろうともしなかった夫人の早とちりが、今回の騒動の発端ですわ」
いくらサミュエルが王子というやんごとなき身分の人間であろうと、友達と観劇さえ楽しめないというのはあんまりだ。だからそこまで気にする必要はない、とイリスもアナベルも思った。
「……そうか。そう言ってもらえると、助かる」
「お二人の寛大な慈悲に感謝しなくてはね、お兄様」
「おまえは私にまだ何か言いたそうだな」
サミュエルがベルティーユの隣に腰を下ろすと、彼女は不満を隠そうともせず言い放った。
「ええ。普段あんなに男女関係に気をつけろとおっしゃるお兄様が、お二人に迷惑かけたのよ」
「そうだな。反省している」
何も言えないというように彼は深くため息をついた。
「わたくしも一緒に連れて行って下されば、こんなことにはならなかったわ。内緒でこっそり出かけた罰ね」
「なんだ。結局不満はそこか?」
「違うわ。そりゃ、オペラも観たかったけれど……」
そう言ってちらりとイリスの方を見るベルティーユ。
「お二人がせっかくデートしているところ、この目で見たかったわ!」
結局そこに行きつくらしい。
反応に困っているイリスとアナベルに、サミュエルがコホンとわざとらしく咳払いした。
「ベルティーユ。そういうのを何と言うか知っているか? 野次馬というんだ」
「だって! あのラファエルがオペラを観るなんて!」
信じられない、と彼女は公爵夫人と同じことを言った。
「ラファエルだって歌劇くらい観たっていいだろう」
それに、とサミュエルは口元に笑みを浮かべた。
「あいつは意外とロマンティストらしい」
なぁ、とアナベルの方へ同意を求めると、彼女は「ええ」と何かを思い出すように微笑んだ。
「噂とは、ずいぶんと違う方でしたわ」
「そうだな。私も彼とは付き合いが長い方だが、まだまだ知らない面がたくさんあるらしい」
二人の言葉にベルティーユはますます興味が惹かれたようだ。
「勿体ぶらないで、きちんと教えて」
サミュエルは妹のお願いに「そうだな……」と言いつつ、イリスへと視線をやった。
そして一つの謎かけを出すように、問いかけた。
「イリス嬢。きみにとってラファエルは、どういう存在だ?」
「ラファエルは……」
「氷の騎士、と言われているがどう思う?」
冷たくて、誰にも心を開かない男。好きな相手にだって、冷淡な態度をとって突き放す男。そんなふうにラファエルは思われて、「氷の騎士」と呼ばれていた。
(でもわたしにとっては……)
「氷って言うより、太陽のような騎士だとわたしは思います」
顔を上げ、ラファエルの方を見つめる。彼は後ろに手を組み、周囲に視線を向けていた。主君を守るための視線が、一瞬だけイリスと交差する。けれどそれもすぐに別の場所へ向けられる。
職務に忠実で、真面目な男。
「誰かを守るためならきっと彼は自分の評価など気にせず守るでしょう。危害が加えられそうになったら、身を挺して庇うはずです」
冷たくなんかない。強くて、優しい人だ。
「わたしは彼と一緒にいると、頑張ろうって思えるんです」
イリスのために騎士の道を選んでくれたラファエル。途中面倒くさくなっただろうに、欠かさず送られてきた手紙。そこにはいつもイリスを気遣う言葉が綴られていた。
離れていてもずっとずっと、彼は自分のことを想っていてくれて、一緒になる道を思い描いてくれていた。
ラファエルの想いを知って、イリスは胸が熱くなった。
「彼といると、不安な気持ちも、寂しい気持ちも、どこかへ消えてしまうんです。だから……」
「氷の騎士ではなく、太陽の騎士というわけだ」
サミュエルの言葉にイリスは「ええ」と微笑んだ。その笑みはとても美しく、三人の目に映ったのだった。
「本当に大丈夫なの?」
「ええ、大丈夫よお母さま。もう十分すぎるほど休んだんですもの。それに、こうしたお付き合いが大事なのでしょう?」
「それはそう、だけれど……イリスのことだから、本当は怖いんじゃないかと思って」
面倒だとか、怖いという気持ちが全くないわけではなかったが、今はそれを上回る強い気持ちがイリスの胸の中にはあった。
「それは彼のおかげ?」
母の何かを見極めるような問いかけに、イリスは微笑んだ。母にはそれで伝わったようだった。
諦めたようにため息をついて、娘の顔を見つめた。そして困ったように笑みを浮かべた。何かを認め、許すように。
「――イリスさん。今回は大変だったようね」
今回の茶会はベルティーユとイリス、そしてアナベルの三人というごく少数のものだった。
彼女は気遣うような眼差しでイリスの体調を心配して、アナベルにも同じ優しさを向けた。
「コルディエ公爵夫人はお兄様にたいそうご執心なの。わたくしにも、会う度にお兄様のことをあれこれ聞いてきますのよ」
王太子の妹であり、年頃の女性を相手に見せる態度ではなかったとベルティーユは辟易とした口調で述べた。
「あの、差し出がましい質問ですが、夫人と王太子殿下は、その、そういう関係でしたの」
アナベルはずいぶんと思い切った質問をする。けれどイリスも同じように気になっていたことだった。
「いいえ。それはないわ」
けれどもベルティーユはきっぱりと否定した。
「兄は軽薄そうに見えますけれど、ああ見えて意外と相手のことはきちんと見極めて、節度ある態度を保っているはずです」
「……たしかに殿下なら、そっけない態度を取ることで、かえって興味を持たれることを見抜いている気がしますわ」
だから誰にでも接するような、失礼のない態度を心がけた。
「そうね。好きの反対は無関心。そっけなくされればされるほど、相手の心を手に入れたいと躍起になるかもしれませんわ」
もしかしてベルティーユもラファエルに対してそう思っているのだろうか。
イリスの胸の内を聴いたわけではないだろうが、王女はこちらを見て悪戯っぽく微笑んだ。
「わたくしなら、自分のことを好きでたまらない人と恋した方が楽しいと思うのだけれどね」
アナベルも同じだと相槌を打った。イリスは少々居心地が悪くなる。
「でもどちらにせよ、変わらなかったかもしれませんわ」
優しく接しても、同じように夫人はサミュエルに興味を持ってしまった。
「お兄様のいない所で、お兄様と仲良くなさっている女性に嫌味を言って牽制するから、傷つく女性がこれまでも少なからずいたの。イリスさんもアナベルさんも、怖い思いをなさったでしょう?」
「わたくしは大丈夫ですわ」
アナベルが本当にそう思っている様子で答えた。
「まぁ、本当?」
「ええ。さすがに扇子で叩かれそうになった時は怯みましたけれど、ラファエル様が守ってくれたので何もありませんでした」
「まぁラファエルが?」
一瞬ベルティーユは強く目を輝かせたが、すぐに立場を弁えたようで、きりっとした表情に戻した。
「それでも相手に手を上げるなんて……夫人も困ったものね」
「あの、コリンヌ嬢は大丈夫でしょうか」
夫人の姪であるコリンヌのことをイリスが聞くと、ベルティーユは顔を曇らせたまま答えた。
「ひどく落ち込んでいるそうよ。貴女たちにも謝りたいと零していらしたけれど、今は騒ぎになるからいけないと彼女のご両親が外出を控えるよう命じているの」
「公爵夫人も、そうなさっていますの?」
ベルティーユは肩を竦めた。
「ええ。さすがに夫であるコルディエ公爵から小言をもらったみたいね。しばらくの間は大人しくしているでしょうけれど……ほとぼりが冷めた頃にまたすぐ戻ってくるでしょう」
どんな見苦しい態度で振る舞おうが、彼女は公爵家の人間であり、高貴な人間であった。
「コリンヌ嬢のような被害者が今後出てくるかもわからないから、お兄様もさっさと婚約者を決めるべきなのよ」
「そう簡単に決めていい話ではないだろう、ベルティーユ」
声の方を見ればサミュエルが悪戯した子どもを叱るように妹を見ていた。ラファエルも、サミュエルの背後で他の騎士たちと一緒に控えていた。
「あら、お兄様。今日はお忙しいはずではなかったんですか」
「休憩だ。それに二人に謝らなければならないと思ってな」
サミュエルは真っ直ぐイリスとアナベルの前へ来ると、サッと床へ跪いた。
「怖い思いをさせてしまって、申し訳なかった」
一国の王子が膝をついて許しを請う姿にイリスもアナベルもぎょっとした。おそらく後方に控えている騎士たちも同じだろう。
サミュエルを止めようとして――けれど彼はその前に素早く立ち上がった。ほんのわずかな時間の、意表を突いたからこそできた謝罪であった。
「お兄様。人の上に立つ者が軽々しく謝ってはいけないのではなくて?」
ベルティーユがわざとそんなふうに言った。
「大切な友人を危険に晒してしまったんだ。友人として謝っただけさ」
サミュエルはそう返すと、困ったように視線を二人へ戻した。彼のそういった顔は初めて見たかもしれない。
「私が軽率に誘ってしまって夫人に誤解を与えてしまった。せめて最後まで見送るべきだった。本当にすまなかった」
イリスとアナベルは互いに顔を見合わせた。互いに困惑の色を目に浮かべていた。
「王太子殿下。決してあれは貴方のせいではありませんわ」
「ええ。貴方はただわたくしたちを友人として、ボックス席に招待して下さっただけです。二人きりならともかく、四人で、しかもラファエル様もいらっしゃった。詳しい事情をお聴きになろうともしなかった夫人の早とちりが、今回の騒動の発端ですわ」
いくらサミュエルが王子というやんごとなき身分の人間であろうと、友達と観劇さえ楽しめないというのはあんまりだ。だからそこまで気にする必要はない、とイリスもアナベルも思った。
「……そうか。そう言ってもらえると、助かる」
「お二人の寛大な慈悲に感謝しなくてはね、お兄様」
「おまえは私にまだ何か言いたそうだな」
サミュエルがベルティーユの隣に腰を下ろすと、彼女は不満を隠そうともせず言い放った。
「ええ。普段あんなに男女関係に気をつけろとおっしゃるお兄様が、お二人に迷惑かけたのよ」
「そうだな。反省している」
何も言えないというように彼は深くため息をついた。
「わたくしも一緒に連れて行って下されば、こんなことにはならなかったわ。内緒でこっそり出かけた罰ね」
「なんだ。結局不満はそこか?」
「違うわ。そりゃ、オペラも観たかったけれど……」
そう言ってちらりとイリスの方を見るベルティーユ。
「お二人がせっかくデートしているところ、この目で見たかったわ!」
結局そこに行きつくらしい。
反応に困っているイリスとアナベルに、サミュエルがコホンとわざとらしく咳払いした。
「ベルティーユ。そういうのを何と言うか知っているか? 野次馬というんだ」
「だって! あのラファエルがオペラを観るなんて!」
信じられない、と彼女は公爵夫人と同じことを言った。
「ラファエルだって歌劇くらい観たっていいだろう」
それに、とサミュエルは口元に笑みを浮かべた。
「あいつは意外とロマンティストらしい」
なぁ、とアナベルの方へ同意を求めると、彼女は「ええ」と何かを思い出すように微笑んだ。
「噂とは、ずいぶんと違う方でしたわ」
「そうだな。私も彼とは付き合いが長い方だが、まだまだ知らない面がたくさんあるらしい」
二人の言葉にベルティーユはますます興味が惹かれたようだ。
「勿体ぶらないで、きちんと教えて」
サミュエルは妹のお願いに「そうだな……」と言いつつ、イリスへと視線をやった。
そして一つの謎かけを出すように、問いかけた。
「イリス嬢。きみにとってラファエルは、どういう存在だ?」
「ラファエルは……」
「氷の騎士、と言われているがどう思う?」
冷たくて、誰にも心を開かない男。好きな相手にだって、冷淡な態度をとって突き放す男。そんなふうにラファエルは思われて、「氷の騎士」と呼ばれていた。
(でもわたしにとっては……)
「氷って言うより、太陽のような騎士だとわたしは思います」
顔を上げ、ラファエルの方を見つめる。彼は後ろに手を組み、周囲に視線を向けていた。主君を守るための視線が、一瞬だけイリスと交差する。けれどそれもすぐに別の場所へ向けられる。
職務に忠実で、真面目な男。
「誰かを守るためならきっと彼は自分の評価など気にせず守るでしょう。危害が加えられそうになったら、身を挺して庇うはずです」
冷たくなんかない。強くて、優しい人だ。
「わたしは彼と一緒にいると、頑張ろうって思えるんです」
イリスのために騎士の道を選んでくれたラファエル。途中面倒くさくなっただろうに、欠かさず送られてきた手紙。そこにはいつもイリスを気遣う言葉が綴られていた。
離れていてもずっとずっと、彼は自分のことを想っていてくれて、一緒になる道を思い描いてくれていた。
ラファエルの想いを知って、イリスは胸が熱くなった。
「彼といると、不安な気持ちも、寂しい気持ちも、どこかへ消えてしまうんです。だから……」
「氷の騎士ではなく、太陽の騎士というわけだ」
サミュエルの言葉にイリスは「ええ」と微笑んだ。その笑みはとても美しく、三人の目に映ったのだった。
88
あなたにおすすめの小説
優しすぎる王太子に妃は現れない
七宮叶歌
恋愛
『優しすぎる王太子』リュシアンは国民から慕われる一方、貴族からは優柔不断と見られていた。
没落しかけた伯爵家の令嬢エレナは、家を救うため王太子妃選定会に挑み、彼の心を射止めようと決意する。
だが、選定会の裏には思わぬ陰謀が渦巻いていた。翻弄されながらも、エレナは自分の想いを貫けるのか。
国が繁栄する時、青い鳥が現れる――そんな伝承のあるフェラデル国で、優しすぎる王太子と没落令嬢の行く末を、青い鳥は見守っている。
このたび、あこがれ騎士さまの妻になりました。
若松だんご
恋愛
「リリー。アナタ、結婚なさい」
それは、ある日突然、おつかえする王妃さまからくだされた命令。
まるで、「そこの髪飾りと取って」とか、「窓を開けてちょうだい」みたいなノリで発せられた。
お相手は、王妃さまのかつての乳兄弟で護衛騎士、エディル・ロードリックさま。
わたしのあこがれの騎士さま。
だけど、ちょっと待って!! 結婚だなんて、いくらなんでもそれはイキナリすぎるっ!!
「アナタたちならお似合いだと思うんだけど?」
そう思うのは、王妃さまだけですよ、絶対。
「試しに、二人で暮らしなさい。これは命令です」
なーんて、王妃さまの命令で、エディルさまの妻(仮)になったわたし。
あこがれの騎士さまと一つ屋根の下だなんてっ!!
わたし、どうなっちゃうのっ!? 妻(仮)ライフ、ドキドキしすぎで心臓がもたないっ!!
【完結】私たち白い結婚だったので、離婚してください
楠結衣
恋愛
田舎の薬屋に生まれたエリサは、薬草が大好き。薬草を摘みに出掛けると、怪我をした一匹の子犬を助ける。子犬だと思っていたら、領主の息子の狼獣人ヒューゴだった。
ヒューゴとエリサは、一緒に薬草採取に出掛ける日々を送る。そんなある日、魔王復活の知らせが世界を駆け抜け、神託によりヒューゴが勇者に選ばれることに。
ヒューゴが出立の日、エリサは自身の恋心に気づいてヒューゴに告白したところ二人は即結婚することに……!
「エリサを泣かせるなんて、絶対許さない」
「エリサ、愛してる!」
ちょっぴり鈍感で薬草を愛するヒロインが、一途で愛が重たい変態風味な勇者に溺愛されるお話です。
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
【完結】悪役令嬢は折られたフラグに気が付かない〜王子たちは悪役令嬢の平穏を守れるのか!?〜【全23話+おまけ2話】
早奈恵
恋愛
エドウィン王子から婚約破棄されて、修道院でいじめ抜かれて死んでしまう予知夢を見た公爵令嬢アデリアーナは、男爵令嬢のパナピーアに誘惑されてしまうはずの攻略対象者との出会いを邪魔して、予知夢を回避できるのか試そうとする。
婚約破棄への道を自分で潰すつもりなのに、現実は何だか予知夢の内容とどんどんかけ離れて、知らないうちに話が進んでいき……。
宰相インテリ子息、騎士団長の脳筋子息、実家を継ぐために養子になったわんこ系義弟、そして婚約者の王太子エドウィンが頑張る話。
*リハビリに短編を書く予定が中編くらいになってしまいましたが、すでにラストまで書き終えている完結確約作品です。全23話+おまけ2話、よろしくお願いします。
*短い期間ですがHOTランキング1位に到達した作品です。
望まぬ結婚をさせられた私のもとに、死んだはずの護衛騎士が帰ってきました~不遇令嬢が世界一幸せな花嫁になるまで
越智屋ノマ
恋愛
「君を愛することはない」で始まった不遇な結婚――。
国王の命令でクラーヴァル公爵家へと嫁いだ伯爵令嬢ヴィオラ。しかし夫のルシウスに愛されることはなく、毎日つらい仕打ちを受けていた。
孤独に耐えるヴィオラにとって唯一の救いは、護衛騎士エデン・アーヴィスと過ごした日々の思い出だった。エデンは強くて誠実で、いつもヴィオラを守ってくれた……でも、彼はもういない。この国を襲った『災禍の竜』と相打ちになって、3年前に戦死してしまったのだから。
ある日、参加した夜会の席でヴィオラは窮地に立たされる。その夜会は夫の愛人が主催するもので、夫と結託してヴィオラを陥れようとしていたのだ。誰に救いを求めることもできず、絶体絶命の彼女を救ったのは――?
(……私の体が、勝手に動いている!?)
「地獄で悔いろ、下郎が。このエデン・アーヴィスの目の黒いうちは、ヴィオラ様に指一本触れさせはしない!」
死んだはずのエデンの魂が、ヴィオラの体に乗り移っていた!?
――これは、望まぬ結婚をさせられた伯爵令嬢ヴィオラと、死んだはずの護衛騎士エデンのふしぎな恋の物語。理不尽な夫になんて、もう絶対に負けません!!
拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~
藤原ライラ
恋愛
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――
子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。
彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。
「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」
四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。
そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。
文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!?
じれじれ両片思いです。
※他サイトでも掲載しています。
イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる