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1、不安
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「とても綺麗だ、マリア」
白いヴェール越しに精悍な顔つきをした男――ジークハルト・カリウスが琥珀色の目を細めて言った。花嫁を褒める言葉に、マリアの心臓が跳ねる。
(あなたも、とても素敵です)
暗めの赤い髪に黒の燕尾服のような正装――辺境伯である彼が長としてまとめている騎士団の制服は、とてもよく似合っていた。
隣に立つ自分が気後れしてしまうほどに。
彼は綺麗だと言ってくれたが、本当に変ではないだろうか。
(ううん。大丈夫。メイドや夫人たちも、とても褒めてくださったもの)
それに、と思う。
『あなたはヒルデに似てとても可愛いから、きっと辺境伯様も気に入ってくださるはずよ』
『ああ。ヒルデに似ているから、きっと大丈夫だ』
ストロベリーブロンドの長い髪、ぱっちりとした青い瞳、小さな鼻に、ふっくらとした赤い唇は、マリアを孤児院から引き取って育ててくれたリーデル伯爵夫妻からすると、実の娘であるヒルデに似て大変可愛いらしい容姿と言えるそうだ。
だからこの結婚も上手くいくはずだと信じて疑わず、彼らはマリアを王都から送り出した。
マリアも、育ててもらった今までの恩を返したい。二人の期待に応えたいと思っていた。
でも、いざ花婿となるジークハルトを前にして、神父の唱える夫婦の誓いを耳にして、罪悪感に襲われた。
(わたしで、いいのかな)
本当なら、今ここにいるのはマリアではなく、ヒルデだった。
それなのに……。
「――では、誓いの口づけをなさってください」
白いヴェールを持ち上げられて、ジークハルトに不安そうな表情を見られる。
このままでは本当に夫婦になってしまう。彼を騙したまま……。
そう思ったマリアはとっさに彼の手に触れていた。
「マリア。あなたを絶対に幸せにする」
花嫁の不安を取り除くような、優しく力強い言葉に、マリアは目を見開く。
気がつけば、触れた手をぎゅっと握りしめられて、マリアはジークハルトに口づけされていた。
白いヴェール越しに精悍な顔つきをした男――ジークハルト・カリウスが琥珀色の目を細めて言った。花嫁を褒める言葉に、マリアの心臓が跳ねる。
(あなたも、とても素敵です)
暗めの赤い髪に黒の燕尾服のような正装――辺境伯である彼が長としてまとめている騎士団の制服は、とてもよく似合っていた。
隣に立つ自分が気後れしてしまうほどに。
彼は綺麗だと言ってくれたが、本当に変ではないだろうか。
(ううん。大丈夫。メイドや夫人たちも、とても褒めてくださったもの)
それに、と思う。
『あなたはヒルデに似てとても可愛いから、きっと辺境伯様も気に入ってくださるはずよ』
『ああ。ヒルデに似ているから、きっと大丈夫だ』
ストロベリーブロンドの長い髪、ぱっちりとした青い瞳、小さな鼻に、ふっくらとした赤い唇は、マリアを孤児院から引き取って育ててくれたリーデル伯爵夫妻からすると、実の娘であるヒルデに似て大変可愛いらしい容姿と言えるそうだ。
だからこの結婚も上手くいくはずだと信じて疑わず、彼らはマリアを王都から送り出した。
マリアも、育ててもらった今までの恩を返したい。二人の期待に応えたいと思っていた。
でも、いざ花婿となるジークハルトを前にして、神父の唱える夫婦の誓いを耳にして、罪悪感に襲われた。
(わたしで、いいのかな)
本当なら、今ここにいるのはマリアではなく、ヒルデだった。
それなのに……。
「――では、誓いの口づけをなさってください」
白いヴェールを持ち上げられて、ジークハルトに不安そうな表情を見られる。
このままでは本当に夫婦になってしまう。彼を騙したまま……。
そう思ったマリアはとっさに彼の手に触れていた。
「マリア。あなたを絶対に幸せにする」
花嫁の不安を取り除くような、優しく力強い言葉に、マリアは目を見開く。
気がつけば、触れた手をぎゅっと握りしめられて、マリアはジークハルトに口づけされていた。
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