21 / 28
21、噂
しおりを挟む
「マリアは、歌劇を観るのは初めてか?」
二人は王都の劇場に足を運んでいた。
「いいえ。伯爵家にいた頃何度か観たことがありますわ」
ヒルデが見つかる前は、ヨゼフィーネに頻繁に連れて行ってもらった。彼女は悲恋もののラブストーリーを好んでいた。今日観たのは様々な苦難に直面するが最後にはハッピーエンドを迎える物語だった。
「そうか。辺境伯の城でもたまにアマチュアの俳優を呼んで劇が開かれることがあったんだが、やはり今日観たようなのとは違うな」
「王都へ来た時、誰かに誘われたりしませんでしたの?」
劇は二の次で、大事な取り引きなどをボックス席で内密に交わしたり……なんて場面を小説で読んだことのあるマリアはつい想像してしまう。
別に男性でなくても、女性に誘われることもあるだろう。
ジークハルトは背も高くて体格もいい。王都で見かける線の細い貴公子と比べると大変男らしく、結婚した夫人たちから人気がありそうだと思った。
自分で勝手に想像してモヤモヤするマリアに、ジークハルトはないなとあっさり否定した。
「王宮でやり取りするのがほとんどで、終わるとすぐにこちらの屋敷に帰っていた。たまに飲みに行くこともあったが、それも下町の飲み屋がほとんどで……いや、そういえば、以前一度だけ、ヘリベルトと共に来た時に、ぜひ観ましょうと誘われたことがあったな」
「ヘリベルトが? 少し意外……いえ、でも、何だか彼の雰囲気に合っていますわね」
涼やかな眼差しが知的な感じを思わせて、芸術方面の造詣が深いのも納得できる気がした。
「ラウルもけっこう乗り気だったな。まぁ、あいつの場合は、舞台女優の方を見たがっていたが」
それは難なく想像できるとマリアが深く頷けば、ジークハルトは笑った。
「そういうわけで確か二人と一緒に観に行ったはずなんだが……正直、俺はあまりこういったことに詳しくなくてだな……観た内容も覚えていない始末だ。たぶん途中、寝ていたんだな」
「では今日も、もしかして寝てしまいそうでした?」
からかうように言うと、ジークハルトはいやと顔を寄せた。
「マリアが夢中になって観る横顔を見ていたから全く眠くならなかった」
マリアの耳が赤くなるとジークハルトが笑ったので、彼女は恨みがましい目で見る。
でもこういったやり取りも楽しくて、最後には笑みを返すのだった。
「帰りにどこか寄ろう。この前行ったレストランに行くか?」
「そうですわね……」
「ねぇ、あの噂、お聞きになった?」
ふと、夫人たちの話が耳に飛び込んできた。
「あの? ……ああ。アロイス殿下と妃殿下の三角関係ね」
(妃殿下……ヒルデのこと?)
三角関係、と面白がるように言われた単語に引っかかりを覚える。
夫人たちは周りに聞こえるほどの音量で構わず話し続けた。
「何でもお相手は子爵家のお坊ちゃんだとか」
「まぁ。ずいぶん身分差があるのね」
「結婚前からの付き合いではないかしら。そうでなくてはあんなに頻繁に登城しないわ」
「妃殿下も、わざと用事を作って席を外しているそうだけれど、ばればれよね」
聞き耳を立てていたマリアはその人物が誰であるか見当がついた。
だがまさか、という思いであった。
「相手は、あなたの元婚約者か?」
胸に思い描いていた人物をジークハルトに耳元でずばりと言い当てられ、マリアは顔を上げた。
少しばつの悪い思いがしたが、素直に頷く。
「ええ、恐らくエルヴィン・フレーベルのことだと思いますわ」
マリアがエルヴィンの名前を告げると、ジークハルトは苦々しい顔をした。
フレーベル子爵の息子である彼は、マリアの元婚約者であり、ヒルデに想いを寄せていた。ヒルデもまた、エルヴィンのことを愛していた。
しかしアロイスから熱烈に求婚されて、エルヴィンへの気持ちも薄れたと思っていたのだが……。
(本当は、エルヴィンのことが忘れられなかったのかしら)
それとも結婚生活を送るうちに心境に変化が訪れたのか……。
「王子の伴侶と関係しているとはな……」
ジークハルトがいつになく厳しい顔をして呟く。
(そういえばジークハルト様は、エルヴィンがわたしの婚約者だったこと、ご存知だったのね)
身代わりに嫁ぐことを知っていたくらいだし、調べていてもおかしくない。
それはともかくとして、今はヒルデのことだ。
(伯爵たちはこのことを知っているのかしら?)
一度会いたい、と手紙を寄越したのも、もしかするとマリアからヒルデにエルヴィンのことを諦めるよう口添えを頼むつもりなのかもしれない。
ヒルデの心情がどういったものかはまだわからないが、このまま噂が広まるのはよくない。
そう思ったマリアは屋敷へ帰ると、伯爵夫妻にジークハルトと共に挨拶しに訪れたいと手紙を出した。いきなりヒルデたちのことを尋ねるのは不躾だと思い、まずは里帰りの挨拶、夫となったジークハルトを紹介するという体だった。
(家に帰るのに前もって連絡するって、本当は変なのかも)
伯爵家はマリアの実家なので、別にいきなり訪ねても……何ならこちらへ帰ってきてすぐにでも顔を見せるのが普通だったかもしれないが、マリアには何となく遠慮があってできなかった。
彼らも特に急いで帰るよう使いを寄越すこともなかった。そして実際、手紙の返信にはマリア一人で会いに来てほしいと書かれていた。
(カリウス閣下には内密でお話したいことがあります、か。いったい何かしら)
ジークハルトと訪れていたら出直すよう勧められたかもしれないので、とりあえず予め確かめておいてよかった。
(でも、一人で……)
マリアはできればジークハルトと一緒に行きたかったが、二人の意向に背くような真似はできなかったので、ジークハルトがまた所要で留守にする日に出かけることにした。
「奥様。旦那様には、本当にお伝えしないでよろしいのですか?」
いつになく心配した様子でベルタに問われて、マリアは頷く。
「帰ってきてから、きちんとお伝えするわ」
「でも……」
「心配することなんて何もないわ。わたしはただ実家に帰るだけですもの」
騙すようで心苦しかったが、事前に伝えれば恐らくジークハルトは自分も一緒に行くと言い、マリアが一人で行くことに反対しただろう。
「それに久しぶりにお父様たちと家族水入らずでゆっくりとお話ししたいの。だから、一人で行かせて?」
そう言われれば、ベルタも付き添いを申し出ることはできなかった。
マリアは心の中で謝りながら、馬車に乗って伯爵家へ向かう。
◇
「まぁまぁ、マリア! よく来てくれたわねぇ!」
久しぶりに会ったせいか、ヨゼフィーネは興奮した様子で出迎えてくれた。
「マリア、よく来てくれた」
夫人の後ろから伯爵が微笑む姿も目に入る。
「ご無沙汰しております、お母様、お父様。すぐにお伺いできずごめんなさい」
「いや、いいんだ。辺境伯の領地から王都まで遠いからね、お前も疲れただろう。それに、こちらもいろいろあってね……」
マリアがそれはヒルデのことではないかと口を開きかけたが、その前にヨゼフィーネが「そんな話より!」と明るい口調で遮った。
「私たちの大事な娘が帰ってきてくれたのよ! こんなところで話さないで、中で話しましょう。さ、マリア。あなたが好きなお菓子も用意しているの」
ヨゼフィーネはマリアを居間へ案内すると、長椅子に座らせてメイドに茶を用意させた。
そして伯爵と共に向かいに座って、改めてマリアの顔を見られたことを喜び、やや唐突にマリアが幼かった頃のことを語り出す。
「マリアと出会った時のことは、今でもよく覚えているわ。あなたの髪の色はヒルデと同じで、顔立ちもどこか似ている気がして……あの子が帰ってきてくれたと思った。私たちの娘になってくれたのも、本当に嬉しかったのよ。私が幼いあなたを連れて街の劇場や店によく行ったこと、覚えている? あなたは良い子で、私が何か買ってあげると言っても、何もいらないと断っていたの。ヒルデはあれが欲しいこれが欲しいと言うのに……」
「お母様には、日頃からもう十分いただいていましたから」
「ええ、ええ。わかっていますよ。あなたが私たちを気遣える優しい子だということは……そんなあなたを遠くへ嫁がせてしまって、本当に申し訳ないことをしてしまったと、後悔していたの」
ヨゼフィーネは泣きそうな表情をしてマリアのそばへやってくると、隣に座って手を取った。
「ねぇ、マリア。辺境伯家での生活は大変でしょう? あちらは王都のように娯楽が豊富ではないし、隣国からの脅威にも怯えて生活しなくてはいけない。だからね、もしあなたが苦労しているのならば、閣下と離縁して私たちのもとへ戻っていらっしゃい」
二人は王都の劇場に足を運んでいた。
「いいえ。伯爵家にいた頃何度か観たことがありますわ」
ヒルデが見つかる前は、ヨゼフィーネに頻繁に連れて行ってもらった。彼女は悲恋もののラブストーリーを好んでいた。今日観たのは様々な苦難に直面するが最後にはハッピーエンドを迎える物語だった。
「そうか。辺境伯の城でもたまにアマチュアの俳優を呼んで劇が開かれることがあったんだが、やはり今日観たようなのとは違うな」
「王都へ来た時、誰かに誘われたりしませんでしたの?」
劇は二の次で、大事な取り引きなどをボックス席で内密に交わしたり……なんて場面を小説で読んだことのあるマリアはつい想像してしまう。
別に男性でなくても、女性に誘われることもあるだろう。
ジークハルトは背も高くて体格もいい。王都で見かける線の細い貴公子と比べると大変男らしく、結婚した夫人たちから人気がありそうだと思った。
自分で勝手に想像してモヤモヤするマリアに、ジークハルトはないなとあっさり否定した。
「王宮でやり取りするのがほとんどで、終わるとすぐにこちらの屋敷に帰っていた。たまに飲みに行くこともあったが、それも下町の飲み屋がほとんどで……いや、そういえば、以前一度だけ、ヘリベルトと共に来た時に、ぜひ観ましょうと誘われたことがあったな」
「ヘリベルトが? 少し意外……いえ、でも、何だか彼の雰囲気に合っていますわね」
涼やかな眼差しが知的な感じを思わせて、芸術方面の造詣が深いのも納得できる気がした。
「ラウルもけっこう乗り気だったな。まぁ、あいつの場合は、舞台女優の方を見たがっていたが」
それは難なく想像できるとマリアが深く頷けば、ジークハルトは笑った。
「そういうわけで確か二人と一緒に観に行ったはずなんだが……正直、俺はあまりこういったことに詳しくなくてだな……観た内容も覚えていない始末だ。たぶん途中、寝ていたんだな」
「では今日も、もしかして寝てしまいそうでした?」
からかうように言うと、ジークハルトはいやと顔を寄せた。
「マリアが夢中になって観る横顔を見ていたから全く眠くならなかった」
マリアの耳が赤くなるとジークハルトが笑ったので、彼女は恨みがましい目で見る。
でもこういったやり取りも楽しくて、最後には笑みを返すのだった。
「帰りにどこか寄ろう。この前行ったレストランに行くか?」
「そうですわね……」
「ねぇ、あの噂、お聞きになった?」
ふと、夫人たちの話が耳に飛び込んできた。
「あの? ……ああ。アロイス殿下と妃殿下の三角関係ね」
(妃殿下……ヒルデのこと?)
三角関係、と面白がるように言われた単語に引っかかりを覚える。
夫人たちは周りに聞こえるほどの音量で構わず話し続けた。
「何でもお相手は子爵家のお坊ちゃんだとか」
「まぁ。ずいぶん身分差があるのね」
「結婚前からの付き合いではないかしら。そうでなくてはあんなに頻繁に登城しないわ」
「妃殿下も、わざと用事を作って席を外しているそうだけれど、ばればれよね」
聞き耳を立てていたマリアはその人物が誰であるか見当がついた。
だがまさか、という思いであった。
「相手は、あなたの元婚約者か?」
胸に思い描いていた人物をジークハルトに耳元でずばりと言い当てられ、マリアは顔を上げた。
少しばつの悪い思いがしたが、素直に頷く。
「ええ、恐らくエルヴィン・フレーベルのことだと思いますわ」
マリアがエルヴィンの名前を告げると、ジークハルトは苦々しい顔をした。
フレーベル子爵の息子である彼は、マリアの元婚約者であり、ヒルデに想いを寄せていた。ヒルデもまた、エルヴィンのことを愛していた。
しかしアロイスから熱烈に求婚されて、エルヴィンへの気持ちも薄れたと思っていたのだが……。
(本当は、エルヴィンのことが忘れられなかったのかしら)
それとも結婚生活を送るうちに心境に変化が訪れたのか……。
「王子の伴侶と関係しているとはな……」
ジークハルトがいつになく厳しい顔をして呟く。
(そういえばジークハルト様は、エルヴィンがわたしの婚約者だったこと、ご存知だったのね)
身代わりに嫁ぐことを知っていたくらいだし、調べていてもおかしくない。
それはともかくとして、今はヒルデのことだ。
(伯爵たちはこのことを知っているのかしら?)
一度会いたい、と手紙を寄越したのも、もしかするとマリアからヒルデにエルヴィンのことを諦めるよう口添えを頼むつもりなのかもしれない。
ヒルデの心情がどういったものかはまだわからないが、このまま噂が広まるのはよくない。
そう思ったマリアは屋敷へ帰ると、伯爵夫妻にジークハルトと共に挨拶しに訪れたいと手紙を出した。いきなりヒルデたちのことを尋ねるのは不躾だと思い、まずは里帰りの挨拶、夫となったジークハルトを紹介するという体だった。
(家に帰るのに前もって連絡するって、本当は変なのかも)
伯爵家はマリアの実家なので、別にいきなり訪ねても……何ならこちらへ帰ってきてすぐにでも顔を見せるのが普通だったかもしれないが、マリアには何となく遠慮があってできなかった。
彼らも特に急いで帰るよう使いを寄越すこともなかった。そして実際、手紙の返信にはマリア一人で会いに来てほしいと書かれていた。
(カリウス閣下には内密でお話したいことがあります、か。いったい何かしら)
ジークハルトと訪れていたら出直すよう勧められたかもしれないので、とりあえず予め確かめておいてよかった。
(でも、一人で……)
マリアはできればジークハルトと一緒に行きたかったが、二人の意向に背くような真似はできなかったので、ジークハルトがまた所要で留守にする日に出かけることにした。
「奥様。旦那様には、本当にお伝えしないでよろしいのですか?」
いつになく心配した様子でベルタに問われて、マリアは頷く。
「帰ってきてから、きちんとお伝えするわ」
「でも……」
「心配することなんて何もないわ。わたしはただ実家に帰るだけですもの」
騙すようで心苦しかったが、事前に伝えれば恐らくジークハルトは自分も一緒に行くと言い、マリアが一人で行くことに反対しただろう。
「それに久しぶりにお父様たちと家族水入らずでゆっくりとお話ししたいの。だから、一人で行かせて?」
そう言われれば、ベルタも付き添いを申し出ることはできなかった。
マリアは心の中で謝りながら、馬車に乗って伯爵家へ向かう。
◇
「まぁまぁ、マリア! よく来てくれたわねぇ!」
久しぶりに会ったせいか、ヨゼフィーネは興奮した様子で出迎えてくれた。
「マリア、よく来てくれた」
夫人の後ろから伯爵が微笑む姿も目に入る。
「ご無沙汰しております、お母様、お父様。すぐにお伺いできずごめんなさい」
「いや、いいんだ。辺境伯の領地から王都まで遠いからね、お前も疲れただろう。それに、こちらもいろいろあってね……」
マリアがそれはヒルデのことではないかと口を開きかけたが、その前にヨゼフィーネが「そんな話より!」と明るい口調で遮った。
「私たちの大事な娘が帰ってきてくれたのよ! こんなところで話さないで、中で話しましょう。さ、マリア。あなたが好きなお菓子も用意しているの」
ヨゼフィーネはマリアを居間へ案内すると、長椅子に座らせてメイドに茶を用意させた。
そして伯爵と共に向かいに座って、改めてマリアの顔を見られたことを喜び、やや唐突にマリアが幼かった頃のことを語り出す。
「マリアと出会った時のことは、今でもよく覚えているわ。あなたの髪の色はヒルデと同じで、顔立ちもどこか似ている気がして……あの子が帰ってきてくれたと思った。私たちの娘になってくれたのも、本当に嬉しかったのよ。私が幼いあなたを連れて街の劇場や店によく行ったこと、覚えている? あなたは良い子で、私が何か買ってあげると言っても、何もいらないと断っていたの。ヒルデはあれが欲しいこれが欲しいと言うのに……」
「お母様には、日頃からもう十分いただいていましたから」
「ええ、ええ。わかっていますよ。あなたが私たちを気遣える優しい子だということは……そんなあなたを遠くへ嫁がせてしまって、本当に申し訳ないことをしてしまったと、後悔していたの」
ヨゼフィーネは泣きそうな表情をしてマリアのそばへやってくると、隣に座って手を取った。
「ねぇ、マリア。辺境伯家での生活は大変でしょう? あちらは王都のように娯楽が豊富ではないし、隣国からの脅威にも怯えて生活しなくてはいけない。だからね、もしあなたが苦労しているのならば、閣下と離縁して私たちのもとへ戻っていらっしゃい」
934
あなたにおすすめの小説
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました
音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。
____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。
だから私は決めている。
この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。
彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。
……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?
いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー
これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。
「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」
「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」
冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。
あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。
ショックで熱をだし寝込むこと1週間。
目覚めると夫がなぜか豹変していて…!?
「君から話し掛けてくれないのか?」
「もう君が隣にいないのは考えられない」
無口不器用夫×優しい鈍感妻
すれ違いから始まる両片思いストーリー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる