いなくなった伯爵令嬢の代わりとして育てられました。本物が見つかって今度は彼女の婚約者だった辺境伯様に嫁ぎます。

りつ

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26、愛しい人*

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 馬車が屋敷へ着くと、ジークハルトはマリアを抱えて中へ入ろうとするので、彼女は自分で歩けると告げた。彼は本当に歩けるかと確かめて、マリアの言葉に従った。

 しかし自分で言い出したものの、マリアは途中でふらついて、結局ジークハルトに抱き上げられて寝室へ連れて行かれる。

「苦しいだろう。今、ドレスを脱がすから」

 床に下ろされて、ドレスの留め具に手を伸ばされる。
 いつもならばメイドに任せることも、今夜はジークハルトが行おうとしていた。

「ジーク、ハルト様……」

 彼はドレスが傷まないよう慎重に脱がしていく。幾重にも重なった布地を剥がしていき、マリアは気の遠くなるような感覚で息を吐き続けた。

 だがコルセットを外された時にもう我慢できず、振り向いて自分からジークハルトに口づけしていた。

「ん、ぅ……」
「はぁ、マリア……」

 ジークハルトの頬に手を添えて何度も唇を触れ合わせていたマリアは、名残惜しそうに顔を離し、後ろを向いた。背後には大きな鏡台があり、物欲しげな顔をして待つ女の顔が映っている。

「ください、ジークハルト様」
「もう、我慢できないか」

 羞恥に耐えながら、こくりと小さく頷く。

 馬車に乗り込んですぐジークハルトはマリアの口を塞いだが、それだけだった。背中や太股を撫でるだけで、決して繋がろうとはしなかった。

 マリアは馬車に揺られながらゆっくりと快感が下腹部に蓄積されていき、今はもう苦しくてたまらなかった。寝台へ行く距離すら遠く感じる。だから……。

「ジークハルト様、きて、ください……」

 身体を覆う最後の一枚の布を自らたくし上げ、マリアはお尻をジークハルトの方に向けた。自分がとんでもなく恥ずかしいことをしている自覚はあるが、彼が欲しかった。

 前を寛げたジークハルトはマリアの白い臀部を撫でると、鏡の中の彼女を見つめたまま一気に貫いた。

「あぁっ――……」

 待ち望んでいたものをようやく与えられた。目も眩むような快感に襲われて、マリアは挿入だけで極まってしまった。

「っ……マリア、もういったのか……」
「あ、ごめ、ごめんなさ、い」

 彼の服装は一切乱れていないのに、自分はドレスを脱いだ裸同然の姿で、あっという間に欲に溺れてしまっている。恥ずかしい。

 ジークハルトの体温を背中に感じ、顎を掬われて振り向かされると、優しく口づけされた。

「謝らなくていい。俺のもので、何度も気持ちよくなってくれ」

 言いながら、ジークハルトは腰を引いてゆっくり押しつけてくる。硬くて長さもある熱杭に蜜壁を擦られて、マリアは蕩けるような快感にびくびくと全身を震わせる。背中に落ちてくる口づけの感触も、たまらなかった。

「マリア、可愛いよ」

 マリアは耳を赤くして、たっぷりと濡れた蜜襞でさらに彼を狂おしげに包み込んだ。

「はぁ、中が吸いついてくる……俺の言葉にも健気に反応して、本当にあなたは可愛い……」

 ジークハルトはマリアがもっと悶えるようにか、耳元で甘く囁く。

 マリアは目をきゅっと瞑り、今自分の中を余すところなく満たす雄を強く感じた。

 ジークハルトはマリア、と何度も名前を呟きながら、浅いところから深いところまで、マリアが気持ちいいと思うところを優しく、時に強く突いて擦ってくる。

「マリア、今夜のあなたはとても綺麗だった……他の男たちがみなあなたを見る度、俺は嫉妬で彼らの目を潰してやりたいとすら思った」

 ジークハルトの嫉妬に滲んだ表情をマリアは鏡越しに見つめる。

 舞踏会に参加した服装だからだろうか。まるで王宮の一室で抱かれているような気がした。

 嫉妬に駆られたジークハルトに小部屋に連れて行かれて、いつにない強引さで性急に繋がる……そんなことを勝手に想像して、マリアは嫌ではない自分を思い描いていた。

 誰かが部屋にやってくるのではないかというスリルでいつもよりも濡れて、羞恥に悶えながらも激しく感じて乱れてしまうのだ。

「あの男も、だ。……自分にこんな感情があるなんて、知らなかった……マリアがそうさせたんだ」
「ぁっ、そんな、んっ、だめ……っ」
「嫉妬する俺は嫌いか?」

 違う。嫌いではない。

(どんなジークハルト様でも、好き)

「そこ……」
「ここ?」
「ん、そこ……ぁっ、あぁ、んっ」

 マリアはもっと欲しいと自分からお尻をジークハルトにぶつけていた。

「んっ、いい……すごく……ぁ、きもちいい、もっと――……」
「あぁ、マリア……っ」

 ジークハルトはマリアの尻たぶを掴むと、抽挿を速めた。ぱんぱんと肌がぶつかり合い、喉奥から勝手にでる嬌声にジークハルトの荒々しい息遣いが重なる。

 だらしない表情を鏡に容赦なく映し出されて、目を潤ませながらマリアはジークハルトを何気なく見る。彼の琥珀色の瞳も獣のような獰猛さを帯びてマリアを射貫いた時。

「っ――……」

 声も出せぬまま、マリアは鏡の中のジークハルトを見つめて絶頂に上りつめた。
 ジークハルトも呻き声を上げて熱い飛沫を放つ。

「はぁ……はぁ……んっ」

 最奥に切っ先を当てたままたっぷりと子種を注がれて、マリアはそのまままた達してしまいそうになる。ジークハルトに後ろからきつく抱きしめられると、腰や尻を震わせて、掠れた甘い声を上げた。

「マリア、まだ、欲しい」

 まるでまだ逃がさないというような抱擁にも、彼の熱を孕んだ言葉にも、マリアはもう逆らえない。自分も彼が欲しい。もっと愛してほしい。

(好き、大好き、ジークハルト様……)

 自分のことを好いてくれる彼が愛おしい。

 今までずっとヒルデの代わりとして望まれて、ヒルデが見つかってからは彼女のためになるよう生きてきた。みんな、マリアを通してヒルデを見ていたし、本当のマリアを見てくれなかった。マリアも仕方がないことだと諦めていた。

 でもジークハルトは違う。初めてマリアだけを見てくれた。マリアを愛してくれた。

 こんなにも幸福な気持ちになれることを、マリアは生まれて初めて知った。

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