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【ユーフィード視点】ボクの大切なお姉ちゃん
初めて会った時。すごく強くて、光り輝いてて、優しく包んでくれるような魔力を感じた。まるで夜空に浮かぶ月みたいだなって思ったのを憶えてる。
ボクらと全然違う、まるで人間みたいな姿のドラゴン。言葉もすっごく辿々しかった。
けど魔力と同じで優しくてキレイな彼女に、ボクは。
『ねぇパパ。どうしてリリアーナお姉ちゃんはあんまり家に来てくれないのかな?この前来てくれた時、もっと来てってお願いしても、困った顔されちゃったんだ。』
あれはボクが今よりずっと小さかった頃。まだ妹がママのお腹にもいなかった頃に、ボクはパパに聞いてみた。
リリアーナお姉ちゃんが住んでる家までは距離があって、ボク達から行くにはちょっと危ないところがあるみたい。だからいつも強いリリアーナお姉ちゃんのほうから来てくれるんだけど、5年に1回くらいしか来てくれない。
『今は子育て中だからなぁ。坊やにはまだわからないだろうけど、妊娠中や育児中の母親というのは例え同じ竜族でも、家族以外の者には神経質になるんだよ。リリアーナちゃんがあまり来ないのは、ママの事を気遣ってくれているんだ。』
『ボクが幼体だからいけないの?ボクがおっきくなったらお姉ちゃんと毎日会える?』
『毎日は難しいかもしれないね。けど、今よりいっぱい会えるようになるよ。さぁ坊や、その為にも良い子でお昼寝しようか。』
(おっきくなるだけじゃ駄目なんだ。でもお姉ちゃんに毎日会いたいな。……そうだ!成竜になったら、お姉ちゃんに番になってもらおう!番の儀式をして、正式な番になって、そしたら一緒に住める!!)
お姉ちゃんもボクのことを可愛いって、好きだって言ってくれてるもん。
成竜になるのに100年はかかるけど、ママのためにそれまで我慢するんだ!
────そう、思ってたのに。
『リリアーナお姉ちゃん!!来てくれたんだ!』
久しぶりに来てくれたお姉ちゃんはいつもよりずーっと優しい顔で微笑んでくれた。
「久しぶりですね、ユフィ―。元気にしてました?」
(……あれ?)
お姉ちゃんの言葉が、普通になってる?
「今日はね。ここと私の家とを結ぶ転移魔法陣を敷かせてもらおうと思ってきたんですよ。」
『てんいまほうじん??』
「はい。それを使えば例えユフィーでも危険なく、時間もかからずにお互いの家を行き来できるのです。セルヴィスの為に覚えたのですが、せっかくなので此方にも敷かせていただこうかと。」
『……だれ、セルヴィスって。』
「訳あって最近いっしょに住むようになった、人間の子供ですよ。」
なに、それ。ずるい、ずるいずるいずるいっ!!!
ボクだってリリアーナお姉ちゃんと一緒に暮らしたいのに!
そう言って駄々をこねたけど、その人間は両親がいなくて町にもまだ返せないから特別だって。一時的なものだって。ボクにはちゃんと両親がいるから駄目だって。
でもその人間は数年経ってもリリアーナお姉ちゃんと暮らし続けてた。お姉ちゃんのことが本当は好きなくせに、お姉ちゃんに酷い態度を取り続けてた。
なんで?なんでお姉ちゃんはそんな奴の面倒をみるの?人間なんて放っておけばいいじゃない!
わざわざそいつのために転移魔法陣を勉強してさ。ボクの為にはしてくれなかったのに!
そいつと毎日話すことで言葉が流暢になったって、寂しくないって。それならボクらと一緒に住めば良かったじゃないか!!ママが苛立つくらい!……うぅ~~っ。
聞けば聞く程ぜんぶが腹立つ人間。何度殺してやろうかと思っただろ?リリアーナお姉ちゃんが泣くからしないけど。
人間はちょっと小突いただけでも死ぬって聞いてたから、ひたすら言葉だけで攻撃するしかなくて、ますます腹が立つ。
極めつけはリリアーナお姉ちゃんが死んじゃったこと。そいつのせいで死んだって聞いて、この時ばかりは両親が力づくで止めてくれなきゃ本当に殺してた。
リリアーナお姉ちゃんを護れもしない役立たず。顔をみたら今度こそ殺しちゃうから、リリアーナお姉ちゃんの家に行くこともなくなった。
そして時が経って。ボクのことを憶えたまま転生したリリアーナお姉ちゃんと再会ができた!
あの人間のことも覚えてて、また一緒に暮らしてるって聞いた時はやっぱり腹が立ったけど。
アイツはお姉ちゃんがお姉ちゃんだって知らない。
お姉ちゃんに逢いたくても逢えないって、苦しんでるって簡単に想像できるから、すっごくいい気味。お姉ちゃんの今の言葉がわからないあいつはスライムの正体を知らないまま。このままずーっとリリアーナお姉ちゃんが帰ってきたことなんて知らずに苦しめばいいんだ!
あと10年くらいしたら、ボクも成竜になる。
そしたら、そうしたら。
今度こそ、リリアーナお姉ちゃんにボクの番になってって、ずっと一緒にいてってお願いしよう。そして今度こそボクがずーっとお姉ちゃんのことを護るんだ!!
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