9 / 45
スラム編
相談 後半
しおりを挟む
師匠の前でスラムの事で啖呵は切ったはいいものの、考えてみてもいい考えが浮かばなかった。僕に出来ることはせいぜい炊き出しをすることなんだけど、教会裏の畑なんてたかがしれている。拡張は当然していくけど、収穫はまだまだ先の話だ。
とはいえ、畑を拡張するのにもスラムの人の協力は必要だ。ガーフェ様にスラムの人達を農作業に動員してくれるといいんだけど。とりあえず、畑の拡張を第一歩とするのがいいだろう。
それには相談者が必要だ。農業と言えば、今や、ニッジの知恵が無くてはならない。
「ロラン。呼んだか?」
「実は畑を拡張するための相談をしたいんだ。出来れば、スラムの人達が食べれるくらいの面積にしたんだ」
ニッジは呆けたような顔をして、僕を眺めていた。
「ロラン。気でも狂ったか? このスラムに何人の人が住んでいると思っているんだ? 少なくとも一万人はいるんだぞ。その畑って……今の何倍だ? いや何十倍、何百倍だ。そんなの無理に決まっているだろ。一体誰がやるっていうんだ? 言っておくけど、孤児院の子供だけでは無理だからな」
「それについてはちょっと宛がある……というか、これから作ろうと思うんだ。一応、スラムの人達に手伝ってもらうつもりだ」
「で? その宛はどうやって作るんだ?」
僕がガーフェ様と行ったら、ため息をつかれた。妙にバカにした目線を向けられて、ちょっとイラッとした。
「ちょっと無謀じゃないか? 確かにガーフェ様が話しに加わってくれるなら、ロランの考えは筋が通っていると思う。でも、そもそもガーフェ様にどうやって会うんだよ」
それからニッジは永遠とガーフェ様の事を語られた。いい勉強になると思って、話を聞くことにした。ガーフェ……ここのスラムのトップになって、十年以上になるらしい。元は王都から流れてきた者で、近衛隊に所属していたエリートだった。なんで、スラムに流れ着いたかは誰も知らないらしいが、足に大きな怪我があるから、それが理由で近衛隊を解雇されてしまったからでは、というのが大方の見方だ。
ガーフェの特徴なんといっても、近衛隊上がりらしい恵まれた体だ。身長は二メートルを超え、誰もが威圧感を感じるほどの体格を持っている。剣術も得意だが、体術においては誰にも負けないというのだ。それだけでも、トップにふさわしいと思うが、さらに上乗せするような外見がある。
ガーフェには鬼という二つ名がついている。その理由はあった人であれば、誰でも分かる外見だ。顔は四角く、常に怒ったような表情をしている。さらに頭に角がついているからだそうだ。まさに鬼だ。
だが、外見は怖いのだが、スラムの人達には優しいらしい。王国から配給をしてもらっているのもガーフェがトップに就いてから始まった。皆はガーフェが交渉してくれたと思っている。それゆえにスラムからの信頼は篤く、部下はガーフェの熱狂的な信者となっているらしい。
聞いてみると僕はガーフェのことは何も知らなかったみたいだ。ニッジに相談したのは正解だったみたいだな。
「じゃあ、行ってみるか」
「話、聞いててのか? オレ達が行ってあってくれる訳無いだろ」
ニッジの話を聞いて、僕の態度が変わらなかったことに疑うような視線を送ってくる。ふふっ。ニッジは知らないのだ。僕にはガーフェ様から直接お呼びがかかっっていることを。さらに師匠が知り合いであることを。師匠は手下だなんて言っていたけど、師匠のことだから話半分に聞いておいたほうがいいだろう。
「まぁ、大丈夫だろう。それよりもニッジも準備してくれ」
「いやいやいや。オレも行くのか? 死ににいくようなものだぞ」
ニッジはガーフェ様のことを何だと思っているんだ? スラムの人達に優しいって言ってたじゃないか。
「違うんだよ。ロラン。実はガーフェ様には別の顔があるんだ」
情報の出し惜しみをするなんて、ニッジは駆け引き上手になったものだ。でも僕は頼んだりしないぞ。あまり興味が無さそうに、話をさり気なく促した。
「実はな……スラムの若い人たちがガーフェ様の館に連れて行かれることがあるらしいんだ。そして、その人を見た人はいないっていうんだ。理由は分からないけど、消えたようにいなくなるらしいんだ。みんなはガーフェ様に牙を向いたやつが殺されているんじゃないかって話なんだ」
そんな噂があるのか……若干心配になってきたな。ニッジは僕の気持ちを変えさせて、ガーフェ様のもとに行かせないようにしているだろう。
「なんで、そこまでガーフェ様のところに行かせようとしないんだ? 行けば、スラムの人達に食べ物を与えることが出来るかも知れないんだぞ」
「オレだってそれくらい分かっている。でも、ロランには危険を冒してほしくないんだ。それに……孤児院を助けたいって言うのはオレも分かるけど、スラムの人達を助ける意味が分からない。ロランには何の得もないじゃないか」
……僕は何も言葉を返せなかった。その理由が僕にも分からなかったからだ。ただ、助けたい。そう思っただけではダメなのだろうか? 僕が無言でいると、ニッジがなぜか自分で自分の頬を殴った。
「ダメだな。オレはお前の騎士になろうとしたのに……お前の考えを一番に理解しないといけないのにな。ごめんな。ロランは好きなようにやってくれ。オレは……お前を絶対に守ってやる」
ふむ……とりあえず、こういう時は大人に相談だ。ニッジの気持ちは……ちょっと気持ち悪かった。
「……という訳なんです。僕は変なのでしょうか?」
マリアが目を閉じて、僕の話を静かに聞いていてくれた。あれ? 修道服の丈が少し短くなっている? なんか生足がより見えるようになってるな。足を組み直す度に気になってしまう。
「ふふっ。気になりますか? 修道服を全部洗濯してしまって、替えがないので、仕方なく昔のを出したんですよ。ちょっと短いですよね?」
いいえ。とてもいいと思います。僕は結構、大人の足が好きなのかも知れない。
「じゃあ、ロラン様と二人で会う時はこの格好にしましょうか……」
……お願いします!! でも、話を戻してほしい。僕としては結構真剣に悩んでいる問題なんだ。
「ちょっと悪ふざけが過ぎましたね。ロラン様が思い悩む必要はないと思いますよ」
えっ? 終わり。全然納得できないんですけど。
「目の前の人を助ける。これは非常に尊い精神から来るものです。人であるならば、皆が等しく持つべき心とも言えます。しかし、それですら人には難しいのです。ましてや、目の前にいない人を救うとなるのは、もはや人ではない精神を持たねばなりません。ロラン様は神より使わされた人だと思っています。ですから、その心は常に正しいのです。そして、助けたいと思う気持ちは当たり前なのです」
ん? 僕は人としてカウントされてないってこと? とりあえず、マリアはダメだ。いい話だと思うけど、理由を探しているのに思うままというのは……。しかたない。もう一人の大人に相談してみるか。
「……私に相談するとは……いい心がけだ。それで?」
「師匠の魔法薬は誰かを助けています。それは目の前にいない人です。師匠は神の使いなのですか?」
師匠は訳の分からないと言った表情をしていた。マリアの理屈ではそうなるはずだ。
「神の使いかは分からないが、女神のような美貌の持ち主であることには変わりはないな」
……今は冗談は言わないで欲しい。
「冗談? 私はいつも本気だぞ。まぁ、ちょっとはマシなことでも言ってやるか。魔法薬はなるほど、知らない人を救っているかも知れない。しかし、それはお前が思っている助けたいという気持ちとは大きく違っている」
どういうことだ? 助けるという気持ちに違いなんてあるんだろうか?
「私のはただの商売だ。助けることで対価をもらっている。私には錬金術という技術がある。そして魔法薬を錬金することが儲かる。それが偶々、誰かを助けているに過ぎない。分かるか?」
僕は首を傾げた。
「私は金儲けをするために結果として人助けをしている。人助けは目的ではないのだ。それに比べて、お前の純然たる思いは人助けを目的としている。そこに違いがある」
なるほど。言われてみれば……違うかも知れない。だったら、理由は?
「さあな。今は見つからなくとも、そのうち見つかるだろう。ただひとつ。お前のような考えをしている者を知っているぞ」
師匠が……まともだ……。
「何だ、その目は? 驚いたような顔をして。まぁいい。その者は……貴族と言われる連中だ。あいつらは民の幸せにさせることだけを考えている」
貴族が? 僕は貴族に会ったことがないから分からないけど、そういう人達だったら会ってみたい。話してみたいな。
「まぁ、そんなのはごく一部だけどな。それでもいることはいる。そういう者は必ず名を残す偉業を成し遂げるものだ。お前もその一人かも知れないな」
「師匠。僕は貴族じゃないですよ。ただのスラムの平民なんですから」
「前にも言ったと思うが、ロランは貴族の血を引いている。お前が望むのなら、きっと途は開けるはずだろう。全てはロラン次第だ」
師匠の最後の話は理解できなかったけど、なんとなくだけど、僕の気持ちは悪いわけではないみたいだ。理由だって、今探す必要もないし、思うように行動すればいいみたいだ。
「ところで、ガーフェのところに行ったのか?」
僕は首を振ると、師匠は隣の部屋から小包を持ってきて、渡してきた。
「これをガーフェに届けてくれ。それと……お前の名前は言うなよ。ガーフェが驚く様を見てみたいからな」
僕はとりあえず受け取り、師匠の悪い趣味には付き合わないと心に決めた。師匠の悪そうな顔の時は、大抵、碌な事がない。
「というわけで、ニッジ。ガーフェ様のところに行くぞ」
「本当にか?」
僕は強く頷いた。もはや悩みはない。スラムの人達をとりあえず腹一杯にする。その次のことは、その次に考えよう。まずは一歩進むために、ガーフェ様に協力を求めるんだ。
「ニッジ。頼りにしているぞ」
「ああ。もちろんだ」
僕はガーフェと出会い、大きく運命を動かすことになった。
この出会いは、僕の人生において大きな出来事になったのだった。
とはいえ、畑を拡張するのにもスラムの人の協力は必要だ。ガーフェ様にスラムの人達を農作業に動員してくれるといいんだけど。とりあえず、畑の拡張を第一歩とするのがいいだろう。
それには相談者が必要だ。農業と言えば、今や、ニッジの知恵が無くてはならない。
「ロラン。呼んだか?」
「実は畑を拡張するための相談をしたいんだ。出来れば、スラムの人達が食べれるくらいの面積にしたんだ」
ニッジは呆けたような顔をして、僕を眺めていた。
「ロラン。気でも狂ったか? このスラムに何人の人が住んでいると思っているんだ? 少なくとも一万人はいるんだぞ。その畑って……今の何倍だ? いや何十倍、何百倍だ。そんなの無理に決まっているだろ。一体誰がやるっていうんだ? 言っておくけど、孤児院の子供だけでは無理だからな」
「それについてはちょっと宛がある……というか、これから作ろうと思うんだ。一応、スラムの人達に手伝ってもらうつもりだ」
「で? その宛はどうやって作るんだ?」
僕がガーフェ様と行ったら、ため息をつかれた。妙にバカにした目線を向けられて、ちょっとイラッとした。
「ちょっと無謀じゃないか? 確かにガーフェ様が話しに加わってくれるなら、ロランの考えは筋が通っていると思う。でも、そもそもガーフェ様にどうやって会うんだよ」
それからニッジは永遠とガーフェ様の事を語られた。いい勉強になると思って、話を聞くことにした。ガーフェ……ここのスラムのトップになって、十年以上になるらしい。元は王都から流れてきた者で、近衛隊に所属していたエリートだった。なんで、スラムに流れ着いたかは誰も知らないらしいが、足に大きな怪我があるから、それが理由で近衛隊を解雇されてしまったからでは、というのが大方の見方だ。
ガーフェの特徴なんといっても、近衛隊上がりらしい恵まれた体だ。身長は二メートルを超え、誰もが威圧感を感じるほどの体格を持っている。剣術も得意だが、体術においては誰にも負けないというのだ。それだけでも、トップにふさわしいと思うが、さらに上乗せするような外見がある。
ガーフェには鬼という二つ名がついている。その理由はあった人であれば、誰でも分かる外見だ。顔は四角く、常に怒ったような表情をしている。さらに頭に角がついているからだそうだ。まさに鬼だ。
だが、外見は怖いのだが、スラムの人達には優しいらしい。王国から配給をしてもらっているのもガーフェがトップに就いてから始まった。皆はガーフェが交渉してくれたと思っている。それゆえにスラムからの信頼は篤く、部下はガーフェの熱狂的な信者となっているらしい。
聞いてみると僕はガーフェのことは何も知らなかったみたいだ。ニッジに相談したのは正解だったみたいだな。
「じゃあ、行ってみるか」
「話、聞いててのか? オレ達が行ってあってくれる訳無いだろ」
ニッジの話を聞いて、僕の態度が変わらなかったことに疑うような視線を送ってくる。ふふっ。ニッジは知らないのだ。僕にはガーフェ様から直接お呼びがかかっっていることを。さらに師匠が知り合いであることを。師匠は手下だなんて言っていたけど、師匠のことだから話半分に聞いておいたほうがいいだろう。
「まぁ、大丈夫だろう。それよりもニッジも準備してくれ」
「いやいやいや。オレも行くのか? 死ににいくようなものだぞ」
ニッジはガーフェ様のことを何だと思っているんだ? スラムの人達に優しいって言ってたじゃないか。
「違うんだよ。ロラン。実はガーフェ様には別の顔があるんだ」
情報の出し惜しみをするなんて、ニッジは駆け引き上手になったものだ。でも僕は頼んだりしないぞ。あまり興味が無さそうに、話をさり気なく促した。
「実はな……スラムの若い人たちがガーフェ様の館に連れて行かれることがあるらしいんだ。そして、その人を見た人はいないっていうんだ。理由は分からないけど、消えたようにいなくなるらしいんだ。みんなはガーフェ様に牙を向いたやつが殺されているんじゃないかって話なんだ」
そんな噂があるのか……若干心配になってきたな。ニッジは僕の気持ちを変えさせて、ガーフェ様のもとに行かせないようにしているだろう。
「なんで、そこまでガーフェ様のところに行かせようとしないんだ? 行けば、スラムの人達に食べ物を与えることが出来るかも知れないんだぞ」
「オレだってそれくらい分かっている。でも、ロランには危険を冒してほしくないんだ。それに……孤児院を助けたいって言うのはオレも分かるけど、スラムの人達を助ける意味が分からない。ロランには何の得もないじゃないか」
……僕は何も言葉を返せなかった。その理由が僕にも分からなかったからだ。ただ、助けたい。そう思っただけではダメなのだろうか? 僕が無言でいると、ニッジがなぜか自分で自分の頬を殴った。
「ダメだな。オレはお前の騎士になろうとしたのに……お前の考えを一番に理解しないといけないのにな。ごめんな。ロランは好きなようにやってくれ。オレは……お前を絶対に守ってやる」
ふむ……とりあえず、こういう時は大人に相談だ。ニッジの気持ちは……ちょっと気持ち悪かった。
「……という訳なんです。僕は変なのでしょうか?」
マリアが目を閉じて、僕の話を静かに聞いていてくれた。あれ? 修道服の丈が少し短くなっている? なんか生足がより見えるようになってるな。足を組み直す度に気になってしまう。
「ふふっ。気になりますか? 修道服を全部洗濯してしまって、替えがないので、仕方なく昔のを出したんですよ。ちょっと短いですよね?」
いいえ。とてもいいと思います。僕は結構、大人の足が好きなのかも知れない。
「じゃあ、ロラン様と二人で会う時はこの格好にしましょうか……」
……お願いします!! でも、話を戻してほしい。僕としては結構真剣に悩んでいる問題なんだ。
「ちょっと悪ふざけが過ぎましたね。ロラン様が思い悩む必要はないと思いますよ」
えっ? 終わり。全然納得できないんですけど。
「目の前の人を助ける。これは非常に尊い精神から来るものです。人であるならば、皆が等しく持つべき心とも言えます。しかし、それですら人には難しいのです。ましてや、目の前にいない人を救うとなるのは、もはや人ではない精神を持たねばなりません。ロラン様は神より使わされた人だと思っています。ですから、その心は常に正しいのです。そして、助けたいと思う気持ちは当たり前なのです」
ん? 僕は人としてカウントされてないってこと? とりあえず、マリアはダメだ。いい話だと思うけど、理由を探しているのに思うままというのは……。しかたない。もう一人の大人に相談してみるか。
「……私に相談するとは……いい心がけだ。それで?」
「師匠の魔法薬は誰かを助けています。それは目の前にいない人です。師匠は神の使いなのですか?」
師匠は訳の分からないと言った表情をしていた。マリアの理屈ではそうなるはずだ。
「神の使いかは分からないが、女神のような美貌の持ち主であることには変わりはないな」
……今は冗談は言わないで欲しい。
「冗談? 私はいつも本気だぞ。まぁ、ちょっとはマシなことでも言ってやるか。魔法薬はなるほど、知らない人を救っているかも知れない。しかし、それはお前が思っている助けたいという気持ちとは大きく違っている」
どういうことだ? 助けるという気持ちに違いなんてあるんだろうか?
「私のはただの商売だ。助けることで対価をもらっている。私には錬金術という技術がある。そして魔法薬を錬金することが儲かる。それが偶々、誰かを助けているに過ぎない。分かるか?」
僕は首を傾げた。
「私は金儲けをするために結果として人助けをしている。人助けは目的ではないのだ。それに比べて、お前の純然たる思いは人助けを目的としている。そこに違いがある」
なるほど。言われてみれば……違うかも知れない。だったら、理由は?
「さあな。今は見つからなくとも、そのうち見つかるだろう。ただひとつ。お前のような考えをしている者を知っているぞ」
師匠が……まともだ……。
「何だ、その目は? 驚いたような顔をして。まぁいい。その者は……貴族と言われる連中だ。あいつらは民の幸せにさせることだけを考えている」
貴族が? 僕は貴族に会ったことがないから分からないけど、そういう人達だったら会ってみたい。話してみたいな。
「まぁ、そんなのはごく一部だけどな。それでもいることはいる。そういう者は必ず名を残す偉業を成し遂げるものだ。お前もその一人かも知れないな」
「師匠。僕は貴族じゃないですよ。ただのスラムの平民なんですから」
「前にも言ったと思うが、ロランは貴族の血を引いている。お前が望むのなら、きっと途は開けるはずだろう。全てはロラン次第だ」
師匠の最後の話は理解できなかったけど、なんとなくだけど、僕の気持ちは悪いわけではないみたいだ。理由だって、今探す必要もないし、思うように行動すればいいみたいだ。
「ところで、ガーフェのところに行ったのか?」
僕は首を振ると、師匠は隣の部屋から小包を持ってきて、渡してきた。
「これをガーフェに届けてくれ。それと……お前の名前は言うなよ。ガーフェが驚く様を見てみたいからな」
僕はとりあえず受け取り、師匠の悪い趣味には付き合わないと心に決めた。師匠の悪そうな顔の時は、大抵、碌な事がない。
「というわけで、ニッジ。ガーフェ様のところに行くぞ」
「本当にか?」
僕は強く頷いた。もはや悩みはない。スラムの人達をとりあえず腹一杯にする。その次のことは、その次に考えよう。まずは一歩進むために、ガーフェ様に協力を求めるんだ。
「ニッジ。頼りにしているぞ」
「ああ。もちろんだ」
僕はガーフェと出会い、大きく運命を動かすことになった。
この出会いは、僕の人生において大きな出来事になったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる