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「ーーお待ちいただけると言っていただけて嬉しいですわ」
ビアンカは小さく息を吐くと、リアーヌの発言を丸っと聞かなかった事にした。
「お安い誤用ですよー」
ゼクスもその方針を取るようだったが、わざとなのかその顔はニマニマと弧を描き、その瞳は愉快なものを見つめるようにリアーヌを眺めていた。
(ーー行ってきたら? のほうかなぁ……え、一緒に行くべきだった……⁇)
リアーヌは最後まで理解することは無かったが、通常、貴族階級の未婚女性が親族以外の男性と二人きりになることはあまり褒められた行為ではない。
その上、他人の目に付きやすいこの席で、生徒の中でも有名な部類に入るゼクスと、トラブルを抱えているリアーヌという組み合わせは、嫌がらせをしている者たちへの燃料供給にしかならないのだ。
ビアンカはそれを全て理解しているからこそ、購買部へ行くことをやめ、ゼクスは自分が巻き込まれることを嫌いビアンカの提案に乗ったのだった。
「ーー買いに行く時間が増えたんだからその分、早く終わらせなさい?」
作業を疎かにしながら、自分のやらかしについて考えているリアーヌに、ビアンカはとびきりの笑顔を浮かべ言った。
その美しい笑顔に震え上がったリアーヌはコクコクと何度も頷くのだった。
「ーー失礼。 もしお困りならばこちらをどうぞ」
リアーヌが作業を再開させ、そろそろ紙が無くなるという時、そんな声と共に目の前にスッと紙の束が差し出された。
作業をしていなかったゼクスは、その人物が近づいてきた段階で、面白くなさそうにこっそりとため息を吐き、作業をしていたリアーヌたちは、驚いてパッと顔を上げた。
そこに立っていたのは、青い髪に青い瞳を持ち、爽やかで優しそうな笑顔を浮かべたフィリップ・パラディールだった。
パラディール公爵家嫡男という肩書きを持つ、攻略対象者でもある。
(ーー今じゃない……絶対に今のタイミングじゃないっ! なんでこんな些細なトラブルに手を差し伸べてしまうん⁉︎ ーー……まさかこの男、色白美人のビアンカに良いところを見せようと……⁉︎ くっ……なんて邪まみれの善意! 婚約者持ちの分際でっ‼︎ )
「ーーまぁよろしいんですの?」
「もちろん」
「ありがとうございます!」
嬉しそうに感謝の言葉を伝えているビアンカに対し、リアーヌは心の中で(騙されないでっ! そいつの親切心は下心にまみれているんだからっ!)と叫んでいた。
「この程度、なんてことはありませんよ」
「おかげで助かりましたわ。 ラッフィナート殿にもご迷惑をお掛けしなくてすみそうですし」
「いやいやー。 迷惑なんかじゃありませんでしたよーーでもまぁ……ご親切にどうも?」
ビアンカは小さく息を吐くと、リアーヌの発言を丸っと聞かなかった事にした。
「お安い誤用ですよー」
ゼクスもその方針を取るようだったが、わざとなのかその顔はニマニマと弧を描き、その瞳は愉快なものを見つめるようにリアーヌを眺めていた。
(ーー行ってきたら? のほうかなぁ……え、一緒に行くべきだった……⁇)
リアーヌは最後まで理解することは無かったが、通常、貴族階級の未婚女性が親族以外の男性と二人きりになることはあまり褒められた行為ではない。
その上、他人の目に付きやすいこの席で、生徒の中でも有名な部類に入るゼクスと、トラブルを抱えているリアーヌという組み合わせは、嫌がらせをしている者たちへの燃料供給にしかならないのだ。
ビアンカはそれを全て理解しているからこそ、購買部へ行くことをやめ、ゼクスは自分が巻き込まれることを嫌いビアンカの提案に乗ったのだった。
「ーー買いに行く時間が増えたんだからその分、早く終わらせなさい?」
作業を疎かにしながら、自分のやらかしについて考えているリアーヌに、ビアンカはとびきりの笑顔を浮かべ言った。
その美しい笑顔に震え上がったリアーヌはコクコクと何度も頷くのだった。
「ーー失礼。 もしお困りならばこちらをどうぞ」
リアーヌが作業を再開させ、そろそろ紙が無くなるという時、そんな声と共に目の前にスッと紙の束が差し出された。
作業をしていなかったゼクスは、その人物が近づいてきた段階で、面白くなさそうにこっそりとため息を吐き、作業をしていたリアーヌたちは、驚いてパッと顔を上げた。
そこに立っていたのは、青い髪に青い瞳を持ち、爽やかで優しそうな笑顔を浮かべたフィリップ・パラディールだった。
パラディール公爵家嫡男という肩書きを持つ、攻略対象者でもある。
(ーー今じゃない……絶対に今のタイミングじゃないっ! なんでこんな些細なトラブルに手を差し伸べてしまうん⁉︎ ーー……まさかこの男、色白美人のビアンカに良いところを見せようと……⁉︎ くっ……なんて邪まみれの善意! 婚約者持ちの分際でっ‼︎ )
「ーーまぁよろしいんですの?」
「もちろん」
「ありがとうございます!」
嬉しそうに感謝の言葉を伝えているビアンカに対し、リアーヌは心の中で(騙されないでっ! そいつの親切心は下心にまみれているんだからっ!)と叫んでいた。
「この程度、なんてことはありませんよ」
「おかげで助かりましたわ。 ラッフィナート殿にもご迷惑をお掛けしなくてすみそうですし」
「いやいやー。 迷惑なんかじゃありませんでしたよーーでもまぁ……ご親切にどうも?」
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