46 / 1,038
46
しおりを挟む
「……ーーギフトを持っているのはボスハウト子爵かな? それともーー?」
ビアンカの質問の意図を正確に読み取ったフィリップは、そんな馬鹿な……という若干の疑いを含んだ眼差しを笑顔で隠しながら、探るようにリアーヌにたずねる。
「全員ですよ?」
「⁉︎」
フィリップの顔が驚愕に染まったのは、リアーヌがあっさりと答えたことに対してだったのか、両親共にギフト持ち、という事実に対してだったのかーー
「ーー確かリアーヌ嬢には弟君がおられたと記憶しておりますが……」
リアーヌがなぜこんなにも情報をポロポロと吐き出し続けのか、未だに理解に苦しんでいるパトリックだったが、もはや少々ヤケになりつつ次の質問を投げかける。
「あー弟が一番凄い……ですかね? 【身体強化】ってギフトで、力使ってれば超人になれちゃいますよ」
「ーーなる、ほどぉ……?」
リアーヌの答えにパトリックは頭を抱えたくなる衝動を抑え込みながら相槌を打った。
リアーヌが子爵家のご令嬢であるならば、その弟であるザームは子爵家の嫡男ーー時期ボスハウト子爵ということになる。
そんな人物のギフトをその名前、そして効果までをも、なんの対価もなしに聞いてしまった場合に起こる問題など、想像すらつかなかったためだ。
そしてこの思いは同じ席に着いていたフィリップといえども同じであり、最悪の場合、友人たちのギフトを使い無理矢理に聞き出したーーなどという不名誉な噂が出た場合の対策案すら、かすかに痛みを感じる頭の中で組み立て始めていた。
ビアンカだけは(どうせ(二人のギフトを教えてもらったんだから、私もお返しに教えよー)程度の考えしか持っていないんでしょうね……)などと考えながら、窓の外に見える青い空を眺めていた。
ーーそしてそれは正しい認識であった。
「あー……ええと……ーーそうだ、ラルフたちのギフトを見てみませんか?」
しばらくの間、気まずい沈黙が訪れたお茶会の席ーーその空気を無理矢理に変えようと、パトリックはわざとらしいほどに明るい声で言った。
少々強引な話題変換に、ビアンカはこれからの話題こそが今回の本題なのだとすぐに察した。
「ギフトを、ですか?」
「ええ、見事なものなんですよ!」
話を振られたラルフとイザークは、なにかを押し込めるかのようにゴクリとツバを飲み込むと、リアーヌに向かってニコリと笑ってみせる。
「見せていただけるなら……見てみたい、です?」
リアーヌはラルフの反応やビアンカからの指導が入らないか? を確認するように視線を動かしながら、探るように答えた。
「そこまで大したものではありませんがーーでは……」
そう言いながらフィリップと目配せをしあったラルフは、リアーヌによく見えるように手のひらを差し出すと、スッと目を細めた。
するとすぐさまその手のひらの上に小さな氷の粒のようなものが出現した。
その粒はラルフの手のひらの上でくるくると回りながら大きくなっていきながら形を変えていきーーあっという間に精巧なクリスタル細工の如き輝きを放つ、氷の花がそこに咲いていたのだった。
「うわぁ……綺麗……」
「素晴らしいですわ……」
目の前に出来上がった氷の花に簡単の声を上げるリアーヌとビアンカ。
「触ってもいいですか?」
「構いませんが濡れてしまいますよ?」
「少しだけ……」
リアーヌは懇願するような眼差しでラルフにたずねた。
そんな子供のようなリアーヌの態度に、ラルフは毒気を抜かれたかのようにふっ……と小さく笑うと「どうぞ」と短く答えた。
「おー……ひゃっこい! 本物だ‼︎」
「……ちゃんとした言葉でお話しなさいな」
ビアンカが少々罰が悪そうにリアーヌの言葉遣いを嗜める。
氷の花に視線を奪われてしまったビアンカは、リアーヌの言葉を止めることに初めて出遅れたようだった。
「あ……とても冷たいですわ」
「もう……」
リアーヌたちはそう言い合いながらスクスクと微笑み合うと、再び氷の花に視線を移しじっくりと眺めるのだった。
ビアンカの質問の意図を正確に読み取ったフィリップは、そんな馬鹿な……という若干の疑いを含んだ眼差しを笑顔で隠しながら、探るようにリアーヌにたずねる。
「全員ですよ?」
「⁉︎」
フィリップの顔が驚愕に染まったのは、リアーヌがあっさりと答えたことに対してだったのか、両親共にギフト持ち、という事実に対してだったのかーー
「ーー確かリアーヌ嬢には弟君がおられたと記憶しておりますが……」
リアーヌがなぜこんなにも情報をポロポロと吐き出し続けのか、未だに理解に苦しんでいるパトリックだったが、もはや少々ヤケになりつつ次の質問を投げかける。
「あー弟が一番凄い……ですかね? 【身体強化】ってギフトで、力使ってれば超人になれちゃいますよ」
「ーーなる、ほどぉ……?」
リアーヌの答えにパトリックは頭を抱えたくなる衝動を抑え込みながら相槌を打った。
リアーヌが子爵家のご令嬢であるならば、その弟であるザームは子爵家の嫡男ーー時期ボスハウト子爵ということになる。
そんな人物のギフトをその名前、そして効果までをも、なんの対価もなしに聞いてしまった場合に起こる問題など、想像すらつかなかったためだ。
そしてこの思いは同じ席に着いていたフィリップといえども同じであり、最悪の場合、友人たちのギフトを使い無理矢理に聞き出したーーなどという不名誉な噂が出た場合の対策案すら、かすかに痛みを感じる頭の中で組み立て始めていた。
ビアンカだけは(どうせ(二人のギフトを教えてもらったんだから、私もお返しに教えよー)程度の考えしか持っていないんでしょうね……)などと考えながら、窓の外に見える青い空を眺めていた。
ーーそしてそれは正しい認識であった。
「あー……ええと……ーーそうだ、ラルフたちのギフトを見てみませんか?」
しばらくの間、気まずい沈黙が訪れたお茶会の席ーーその空気を無理矢理に変えようと、パトリックはわざとらしいほどに明るい声で言った。
少々強引な話題変換に、ビアンカはこれからの話題こそが今回の本題なのだとすぐに察した。
「ギフトを、ですか?」
「ええ、見事なものなんですよ!」
話を振られたラルフとイザークは、なにかを押し込めるかのようにゴクリとツバを飲み込むと、リアーヌに向かってニコリと笑ってみせる。
「見せていただけるなら……見てみたい、です?」
リアーヌはラルフの反応やビアンカからの指導が入らないか? を確認するように視線を動かしながら、探るように答えた。
「そこまで大したものではありませんがーーでは……」
そう言いながらフィリップと目配せをしあったラルフは、リアーヌによく見えるように手のひらを差し出すと、スッと目を細めた。
するとすぐさまその手のひらの上に小さな氷の粒のようなものが出現した。
その粒はラルフの手のひらの上でくるくると回りながら大きくなっていきながら形を変えていきーーあっという間に精巧なクリスタル細工の如き輝きを放つ、氷の花がそこに咲いていたのだった。
「うわぁ……綺麗……」
「素晴らしいですわ……」
目の前に出来上がった氷の花に簡単の声を上げるリアーヌとビアンカ。
「触ってもいいですか?」
「構いませんが濡れてしまいますよ?」
「少しだけ……」
リアーヌは懇願するような眼差しでラルフにたずねた。
そんな子供のようなリアーヌの態度に、ラルフは毒気を抜かれたかのようにふっ……と小さく笑うと「どうぞ」と短く答えた。
「おー……ひゃっこい! 本物だ‼︎」
「……ちゃんとした言葉でお話しなさいな」
ビアンカが少々罰が悪そうにリアーヌの言葉遣いを嗜める。
氷の花に視線を奪われてしまったビアンカは、リアーヌの言葉を止めることに初めて出遅れたようだった。
「あ……とても冷たいですわ」
「もう……」
リアーヌたちはそう言い合いながらスクスクと微笑み合うと、再び氷の花に視線を移しじっくりと眺めるのだった。
69
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
転生令嬢の涙 〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜
矢口愛留
恋愛
【タイトル変えました】
公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。
この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。
小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。
だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。
どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。
それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――?
*異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。
*「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
※他サイト様にも掲載中です
モブ令嬢は脳筋が嫌い
斯波@ジゼルの錬金飴③発売中
恋愛
イーディスは海のように真っ青な瞳を持つ少年、リガロに一瞬で心を奪われた。彼の婚約者になれるのが嬉しくて「祖父のようになりたい」と夢を語る彼を支えたいと思った。リガロと婚約者になってからの日々は夢のようだった。けれど彼はいつからか全く笑わなくなった。剣を振るい続ける彼を見守ることこそが自分の役目だと思っていたイーディスだったが、彼女の考えは前世の記憶を取り戻したことで一変する。※執筆中のため感想返信までお時間を頂くことがあります。また今後の展開に関わる感想や攻撃的な感想に関しましては返信や掲載を控えさせていただくことがあります。あらかじめご了承ください。
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。
さらさ
恋愛
これはゲームの中の世界だと気が付き、自分がヒロインを貶め、断罪され落ちぶれる悪役令嬢だと気がついた時、悪役令嬢にならないよう生きていこうと決める悪役令嬢が主人公の物語・・・の中のゲームで言うヒロイン(ギャフンされる側)に転生してしまった女の子のお話し。悪役令嬢とは関わらず平凡に暮らしたいだけなのに、何故か王子様が私を狙っています?
※更新について
不定期となります。
暖かく見守って頂ければ幸いです。
【完結】ど近眼悪役令嬢に転生しました。言っておきますが、眼鏡は顔の一部ですから!
As-me.com
恋愛
完結しました。
説明しよう。私ことアリアーティア・ローランスは超絶ど近眼の悪役令嬢である……。
気が付いたらファンタジー系ライトノベル≪君の瞳に恋したボク≫の悪役令嬢に転生していたアリアーティア。
原作悪役令嬢には、超絶ど近眼なのにそれを隠して奮闘していたがあらゆることが裏目に出てしまい最後はお約束のように酷い断罪をされる結末が待っていた。
えぇぇぇっ?!それって私の未来なの?!
腹黒最低王子の婚約者になるのも、訳ありヒロインをいじめた罪で死刑になるのも、絶体に嫌だ!
私の視力と明るい未来を守るため、瓶底眼鏡を離さないんだから!
眼鏡は顔の一部です!
※この話は短編≪ど近眼悪役令嬢に転生したので意地でも眼鏡を離さない!≫の連載版です。
基本のストーリーはそのままですが、後半が他サイトに掲載しているのとは少し違うバージョンになりますのでタイトルも変えてあります。
途中まで恋愛タグは迷子です。
目指せ、婚約破棄!〜庭師モブ子は推しの悪役令嬢のためハーブで援護します〜
森 湖春
恋愛
島国ヴィヴァルディには存在しないはずのサクラを見た瞬間、ペリーウィンクルは気付いてしまった。
この世界は、前世の自分がどハマりしていた箱庭系乙女ゲームで、自分がただのモブ子だということに。
しかし、前世は社畜、今世は望み通りのまったりライフをエンジョイしていた彼女は、ただ神に感謝しただけだった。
ところが、ひょんなことから同じく前世社畜の転生者である悪役令嬢と知り合ってしまう。
転生して尚、まったりできないでいる彼女がかわいそうで、つい手を貸すことにしたけれど──。
保護者みたいな妖精に甘やかされつつ、庭師モブ子はハーブを駆使してお嬢様の婚約破棄を目指します!
※感想を頂けるとすごく喜びます。執筆の励みになりますので、気楽にどうぞ。
※『小説家になろう』様にて先行して公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる