【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「えっとーーコピーしたのは……確かベルグング男爵家のラルフ様とおっしゃったと……」
「ーーパラディール家に近しいお家柄の方々ですね……?」

 ヴァルムはそう言いながら使用人たちと目配せし合い、すぐさま確認作業や根回しに移れるよう、視線だけで指示を出していく。

 リアーヌの問題が解決するわけではなかったが、今回の件の後ろにパラディール家がいると分かっただけでも大きな収穫だと思えていた。

「はい。 あの、ビアンカからのお誘いで、断りにくいというか……いつも良くしてもらってるからお返しというか……」

(私のビアンカ先生を責めないでください!
私のマナー授業は先生の存在で成り立っていると言っても過言ではありませんっ‼︎)

「ーー分かっておりますとも。 相手がパラディールでは、ジェネラーレ家のお嬢様が拒める相手ではないでしょう……」

 優しい微笑みを浮かべながらリアーヌに向かいコクリと頷いてみせるヴァルム。
 しかしその発言からヴァルムがパラディールを“味方ではない”と位置付けたことは明確であり、そしてこの認識は全使用人たちの間で共有されることになった。

「正直、なんで出来たのかも分からないけど……でも実際出来てて……」
「さぞや驚かれたことでしょう……」

 リアーヌを気づかうように、眉を下げながらいうヴァルム。

 彼の中では、リアーヌはフィリップの陰謀により、他人のギフトをコピーする様に仕向けられてしまった被害者なのだと、決定していた。
 ーーそしてその推測は、そこまで事実無根と言うわけでもなかった。
 本人たちは半信半疑、うまくいけば儲けもの程度の考え程度の“お遊び”だったが、ビアンカを使い、リアーヌにそう仕向けたことは間違いなかった。

「分かんねーのに出来たのかよ?」

 ザームの呆れを含んだ言葉に、リアーヌは拗ねたように少し口を尖らせながら小さく数回頷く。

「だから、ビアンカはみんなに手伝ってもらってどうすればギフトのコピーが出来るのかちゃんと調べた方がいいって……だから私にみんなのギフトコピーさせてくれないかな……?」

 リアーヌは家族の顔をチラチラと見回しながら言う。

「ーーそれは構わないけど……そんなことして大丈夫なの?」

 リエンヌが顔を顰めながら尋ね返した。
 トラブル回避のためとは言え、娘の身体に負担になるようなことならば、許可を出したくはないようだった。

「大丈夫にしたいからコピーする方法が知りたいの」

 母が乗り気ではないのだと気がついたリアーヌは訴えるように言葉を重ねる。
 しかしリエンヌが口を開くよりも先に言葉を発した人物が一人ーー

「ーー父さんのでいいなら好きに使え。 だが、なにか問題が起こったら、ちゃんと言うんだぞ?」
「父さん……」

 サージュの言葉にリエンヌは抗議の声を上げようと息を大きく吸い込むが、その息が言葉になるよりも早く、サージュがリエンヌを見つめて大きく頷いた。
 その仕草を見たリエンヌは今出そうと思っていた声を無理やり飲み込むと、スゥーッとゆっくりと息を吐き出すのだった。
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