【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「せっかく出来た友達にまで俺とのこと説明してないとか、ちょっとヒドイんじゃないかなぁ?」
「ーーラッフィナート様とのこと……?」

 リアーヌがゼクスを止めようと口を開く前に、ビアンカがゼクスの言葉に反応した。
 その声にギクリと肩をすくめるリアーヌ。
 ビアンカはその反応だけで、リアーヌが何かを隠していることを察知して、ニッコリと綺麗な微笑みをリアーヌに向けた。

(あっ……ごまかす間もなく速攻でバレた……)

 ゼクスとの婚約は破棄の可能性が高いと予想していたリアーヌは出来ることなら家族以外の誰にも伝えずに円満な婚約破棄ができれば……と、ビアンカにも説明することを躊躇ちゅうちょしていたのだ。

(ーー誰にもバレなければ婚約破棄も簡単になって、私が断罪されるーーなんて未来がくる可能性がグッと下がると思ってたんだけど……こんな形でバラされるんだったら、さっさと説明しておくんだった……)

「えっと……あのね?」

ビアンカに向かい、かけるべき言葉を必死に探すリアーヌ。
 そんなリアーヌを揶揄うように肩に手を回したゼクスは、その顔を覗き込みながら口を開いた。

「そんなに照れることないのにー」

 その顔の良さにドギマギしつつも、ニマニマと楽しそうに笑っているゼクスを睨みつけるリアーヌ。

「ーーリアーヌ?」

 文句の一つでも言ってやろうと口を開きかけたリアーヌの耳に、ビアンカのよく通る声が聞こえてきた。
 その一言だけでリアーヌはビクリと体を震わせると直立不動になり「なんでしょうか……?」と恐る恐るたずねた。

「ーーさっさと話しなさい?」
「……うぃ」

 圧の強い笑顔を浮かべたビアンカの言葉に身を縮こまらせたリアーヌが返事をするーーそんな光景をゼクスは満足そうに眺めていた。

 この婚約にあまり乗り気ではなかったゼクスの心に小さな変化が起こったのは昨日のことだった。

 毒にも薬にもならないだろうと感じていた婚約者。
 少し話してみればその独特な考え方やものの捉え方を好ましいと感じている自分がいた。
 家に有利に働く婚約者なのだから大切にしようとは思っていたがーーもっと色々な話が聞きたくなった。
 この娘の瞳を通して見たこの国、この世界を、自分も見てみたくなってしまったのだ。

 ーーそしてゼクスはもう一つ重要なことに気がついていた。

(多分リアーヌ……俺との婚約、あんまり乗り気じゃないっぽいんだよねぇ……)

 そしてリアーヌだけではなくボスハウト家までもーー

 だからこそゼクスはビアンカを巻き込んだ。

 ーーこんなにもビアンカの怒りを煽るような方法になってしまった原因をゼクス本人も正確には把握していなかったが、あのなんでもビアンカに相談していたリアーヌが、今回はそれをせず、黙って婚約破棄のタイミングを伺っているという事実がたまらなく不愉快だったからなのかもしれないーー
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