【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 このリアーヌの考えは殆ど合っていた。
 この村の住民たちは貴族に虐げられてきたという認識しか無く、その貴族がいなくなった今の生活こそが、住民たちにとっての守るべき生活となっていた。
 ーーつまり、領主などいない方が自分達は幸せになれるとすら考えていたのだ。



「ーーしかも、俺がこれからやることも、同じようなことなんだよねぇ……」

 一通り事情を説明し終わったゼクスは、深いため息と共にそんな言葉を吐き出した。
 その言葉を聞いてリアーヌはギョッと目を剥く。

「え、ひっど……」
「いや、あくまでも方法だけだよ⁉︎ 俺は適切価格で買い取って適切価格で売らせてもらうけどーーやること自体は前領主とまったく一緒、になると思ってる……」

 そう言いながらゼクスは困ったように肩をすくめた。

「やること自体……」
「ーー俺は男爵でここは俺の領土だから、こんなこと言うのはどうかと思うけど、やっぱり一番に考えるのはうちの商会の利益でさ? この村のフルーツが売れるなら商会で買い取りたいし、わざわざここまで買いに来るなら、この村で売れそうな商品を持って来させると思う……ーー言葉にしちゃうと、村の特産品を一手に買い取って、こっちの商品を買わせようとしているーー……だろ?」
「……でも、前の人がひどい値段で買い取って、ひどい値段で売りつけてたなら、村の人たちだってすぐに「あ、前のヤツとは違うかも」ってなりませんかね?」
「どうだろう……ーーあのかたくなな感じを見ちゃうとね……こっちが善意でやっても悪意だと認識されちゃうんじゃないかな?」
「あー……」
「ーーそれに……」

 そこまで言ってゼクスは言いにくそうに言葉を区切った。
 そして気まずそうに鼻をいじりながら言葉を続けた。

「ーー実家に損をさせたくもない……というか、儲けられるなら儲けたいし……」
「それは……」

(その二つの願いが同時に叶うことは果たしてあるのでしょうか……?)

 リアーヌはゼクスの言葉に言葉を濁しながら「んー?」と曖昧な態度で首を傾げる。
 そんなリアーヌにクスリと笑ったゼクスは「んんー?」とその仕草を真似ながらリアーヌとは反対方向へ首を倒した。
   
 二人はそのままヘラリ……と笑い合うと、ふー……と息を吐きながら背中の後ろに手をつき、のけぞるように空を仰見ながらかすかに感じる潮風に目を細めた。

 そよそよとほんのり涼しい風を楽しみつつ、新緑のいい匂いを胸いっぱいに吸い込みながらリアーヌはこの村について考えていた。
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