【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 急に楽しそうな表情を浮かべ、グッと拳を握りしめたゼクスに、リアーヌは口を窄めると手に負えない……とばかりに肩をすくめる。
 そしてそのまま空を眺めつつ、ゼクスの耳に届くかどうか分からない言葉を独り言のように口に出した。

「私はここのフルーツ美味しいと思いますけどねー」

 その瞬間、ゼクスの瞳がバッとリアーヌを捉えた。
 そして商人らしいギラギラとした目つきでリアーヌの言葉に答える。

「美味しいのは分かってるよ? でもさ日持ちしないっていうか……どうしたって期限があるだろ?」
「あー……」

 リアーヌはゼクスの言おうとしていることを的確に理解して、うめき声のような返事を返しながら大きく頷いた。

 ギフトに頼り気味なこの世界は、冷蔵庫や冷凍庫が存在していない。
 氷を買ってものを冷やすか、ギフトでものを冷やすかしかないこの世界では、生鮮食品の鮮度を保つのは至難の業だった。
 そしてそれを逆手に取り野菜や果物を値切りまくる母を間近で見ていたリアーヌには、その事実を嫌というほど知っていたのだ。

(……全部買うなら半額! とかいう条件で買うもんだから、その日からしばらくの間ほうれん草のターン! とかよくあったもんなぁ……ーー果物は嬉しかったけど……)

「ーーここが俺の領地だっていうなら、ラッフィナート男爵家としての俺の収入って税金しかないんだよ」

 ゼクスが少し申し訳なさそうにリアーヌから視線を外しながらそう言った。

「え? あーそう、だと思います……?」

 ゼクスの態度が引っかかったリアーヌだったが、それを口に出すことは無く、いきなりの変わった話題について、軽く目を見開いながら首を傾げ、曖昧に答えた。

「領主だって慈善事業じゃないんだから儲けが出ないとやってられないだろ?」
「……かも?」

(……場合によっては慈善事業そのものでなくてはならない場合があるとは思いますが……ーーまぁ、なんの旨味も無いなら、領主でいる意味なんてほとんどないんだろうな……)

 やはり曖昧に答えるリアーヌに、ゼクスは困ったように苦笑いを浮かべた。

(ーー俺は君からの言葉で自分の立場に気がつけて、だからこそもうじきくる未来の予想もだったわけだけど……ーー君のほうが理解していないっていうのはどういうことなんだろうね……?)

 ゼクスは芝居がかった仕草で真顔を作ると大きく咳払いをしてから口を開いた。

「ーー……さてここで問題です」
「え、あハイ?」
「その場合、貧乏になるのはどこのお家でしょうか?」
「ーー……ラッフィナート、男爵家……⁉︎」

 ようやくゼクスの言わんとしていることに気がついたのか、リアーヌは大きく目を見開きながらゼクスを見つめ返した。
その顔に“絶望”という色を滲ませてーー
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