【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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(……なんだか、ものすごく胡散臭い契約な気がするけど……ーーまぁ、お抱えの店なんだから母さんやヴァルムたちも納得してからの契約なんだろうし、きっと平気なんだろう……)

 リアーヌはゼクスの言葉に多少引きつった表情をしながらも、どう転んでもグランツァを使ったお菓子やパンが食べられることに、ふにゃりとした笑顔を浮かべるのだった。

(ーーこれでお抱えの店はクリアできたわけだから、あとは契約者にラッフィナート男爵家の名前を加えるか、書き換えるだけだ……ーーこれは俺が取ってきた俺の家の仕事なんだから、無償で親父たちにくれてやる義理はないーーぜってぇぶんどってやる……!)

 リアーヌに微笑み返した笑顔の裏で決意も新たにしたゼクスは、ジッと話し合いの成り行きを見守っていた村人たちに向かって声をかけた。

「大前提としてこの話は店の一軒一軒に対する話ではない。 村人たちで好きなようにグランツァを使った商品を作り上げ、私が買うに値すると判断した場合、個別で契約を結ぶつもりだ」
「……商品を作り上げろって……」

 ゼクスの言葉に村人の一人が戸惑いの声を上げた。
 その戸惑いの様子が、マナーレッスンを受けている時の『なにを理解出来ていないのかが、そもそも理解出来ていないんです……』と強く感じている自分の様子と重なってしまい、リアーヌは助け舟を出すかのように優しく語りかけた。

「ーーあのね? 売れそうなら乾燥させただけの花でもいいの」
「……そうなのかい?」

 リアーヌに話しかけられた男性はポカンと間が抜けた顔つきでリアーヌにたずね返した。

「うん。 本来の仕事の合間に花を乾燥させておいて、それが売れるならそれだけで収入になるの」
「ーー本当か⁉︎」
「売れればだよ? 売れなかったら試行錯誤は必要になる」
「試行錯誤……」
「花だけじゃなくて木の枝を入れみるか……とか、こっちの花と合わせたら良いんじゃないか? とかね⁇」
「ーー商品を作り上げる……」

 リアーヌの説明を経て、この村人はようやくゼクスの言葉を理解したようだった。

「……俺んとこは鍛冶屋なんだか……やっぱり花を乾燥させた方がいいのか?」
「あー……私はグランツァがモチーフになってるアクセサリーが置いてあったらテンション上がると思うけど……ーーあ、カフェ用にグランツァの花の模様とかモチーフがついたカトラリー作ってみたら? ……ダメですかね?」
「ーーこちらが納得するだけの品質はクリアしてもらうよ?」

 リアーヌの伺うような質問を受け、ゼクスは肩をすくめながら鍛冶屋の男性に答えを返した。
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