【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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(この程度の軽口ーーしかも、良くしてくれてるおっちゃんの言葉に、なんで反応しちゃうかなぁ……ーー結婚できるとか期待するのは一旦止めよう。 少なくとも主人公がルートを決めるまでは……)

「へーへー、そりゃご馳走さん」
「お粗末様でーす」

 リアーヌが少しの考え事をしている間に、テンポ良く進んでいた二人の会話は終わりを迎えていたようだった。
 慌てて頭を下げるリアーヌにテオは愛想よく笑い「今度は米食わしてやっからな!」と声をかけ、リアーヌの輝かんばかりの笑顔を引き出すのだった。

「ドレスや宝石より喜んでるまであるな……?」

 隣から聞こえてきたゼクスの不満げな声に、リアーヌは慌てて首を振る。

「そんなこと⁉︎ このワンピースもベレー帽も、どれもお気に入りです!」

(ーーただ落とす心配が、本当に苦痛なだけで!)

 必死にフォローしながらも心の中で本音を叫んだ。

「……ぼん、結婚はもうちょっと待ってやったらどうだ……?」
「子供じゃないから、俺たち同い年! 美味しいものが好きなだけの普通の子なの!」
「そりゃ知ってるがよぉ……」
「さ、もう行こうねー? あ、あっちにも露店が並んでたよ⁇ なんか美味しいものあるといいねー?」
「美味しいもの⁉︎」
「ーー完全に色気より食い気じゃねぇか」

 そん二人のやりとりをテオにからかわれ、ブスくれた表情を浮かべるのゼクス。
 そんな会話を最後に、再び港散策に戻るのだった。

 ーーテオと別れ、船着場近くの露店を冷やかしてーーガッツリと買い物を楽しむ頃にはゼクスの機嫌はすっかり良くなっていて、同行していたアンナに咳払いをされるほどには甘い空気の中、久々のデートを楽しんだようだった。



 宿屋に帰りつき、寝支度を整えベッドに倒れ込んだリアーヌは、先ほどまで見ていたホワホワとした光を思い出し、ほぅ……と感嘆の吐息を漏らす。

 夕食後、ゼクスに食後の散歩に誘われたリアーヌ。
 そんな彼女の目にすぐに飛び込んできたのは、浜辺に漂う無数の蛍のようなイルミネーション。
 驚いてゼクスを見つめるリアーヌに、イタズラが成功したかのような笑顔を浮かべたゼクスは「約束しただろ?」と言いながら小さなウインクを送った。

 その趣向はある意味で大成功を、そしてある意味では少々の失敗をしていたのだが……リアーヌ的には大成功だったので、ゼクス的にも成功ではあったのだろう。
 
 ゼクスの誤算は二つあった。
 一つはまだ早い時間ではあったが、すっかり日が暮れてしまった屋外で、リアーヌと二人きりにしてはもらえなかったこと。
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