【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「……当家ではそのウワサの存在すら認識しておりません」
「……あの小娘がからの情報でああいう物言いをしているかまではわかりませんが、男爵様がお嬢様との婚約を条件に叙爵を受けたのは有名な話……ーーそれこそ市井しせいの子供たちですら知っている話です。」
「火のないところに煙を立てようとする、根も葉もない戯言に他なりませんわ!」

 リアーヌの疑問にコリアンナとカチヤは交互に答え、最後には二人揃って大きく鼻を鳴らして見せた。
 それはリアーヌの代わりに分かりやすく憤って見せ、その心を少しでも軽くしようとする彼女たちの気づかいだったのだが……その結果、リアーヌはさらに眉をひそめることになったのだった。

(ーーつまり……あの子にその情報を渡したのはユリア……?)

 顔をしかめ黙り込んでしまったリアーヌをどう思ったのか、カチヤたちはリアーヌの気分を軽くしようと言葉を重ねる。

「ああいうやからは、こちらがどう言葉を重ねようとも自分にとって都合のいいことしか信じようとしません」
「あれの対応はわたくしたちが……ーーもちろん相応の対応は致しますので、もう二度とお嬢様を煩わせることなどありませんとも!」
「……ですか、ね?」

 二人の言葉にリアーヌは曖昧に笑いながら首を傾げた。

(きっとあの子はユリアのためにああ言ったんだろうからちょっと気の毒な気もするけど……ーーなんの対応も取らないの、なんだかとっても嫌な感じがするから是非とも頑張って欲しい……ーーってか……そうか。 やっぱり私は悪役令嬢側であの子は敵なのかなぁ……)

 リアーヌはゲームの中での一番の友達に敵視され、決して少なくはない心の痛みを感じていた。
 そして、自分自身があのベッティに対してて強い拒否感を感じていることに、驚いていたのだ。

「ーー何かございましたか?」

 リアーヌが俯き沈み込んでいると、いつのまにかオリバーが目の前に立っていた。
 そのことに驚きチラリと周りを見渡すと、いつのまにかザームたちの待つ部屋の前まで来ていたことにようやく気がついた。

「あー……」

 リアーヌが答えに困っていると、オリバーはカチヤたちに視線を流し、その視線を受けカチヤたちは控えめに目を伏せながら報告を開始する。

「お嬢様に絡む輩が……」
「――なるほど?」
「フォルステルに取り巻くレーレンの娘です。 ……ずいぶんと毒されておりました」

(敬称一切無しの激オコじゃん……)

 誰が聞いているか分からないような廊下で、この物言いは、完全にボスハウト家がフォルステル家やその周辺を敵と見ないているという宣言に他ならなかった。
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