まじぼらっ! ~魔法奉仕同好会騒動記

ちありや

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第六章

第77話 どわすれ

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 再びマジボラ部室。蘭を解放して現在は睦美と久子の2人だけでくつろいでいた。もちろん蘭もただ帰しただけで無く、

「今後シン悪川興業が悪さをする時は、ちゃんと事前にマジボラこちらに時間と場所を教える事。じゃないとアンタの事をつばめと学校にバラすからね? 同好会活動として筋を通しているアタシらと違って、アンタのは明らかに反社会的行動だから、これ下手したら退学事案だからね?」

 と軽く脅しをかけるのも忘れない。言われた蘭もそこからの展望に希望を見い出せなかったのか、生気の欠けた真っ青な顔で教室へと帰って行った。

 それはそうと、

「うーん、何だったかしらねぇ…」

 睦美が腕を組んで何かを思案している。怪訝に思った久子が睦美に声をかける。

「どうしました睦美さま? 考え込んで。何かありましたか?」

「んー、何か忘れている様な気がするのよ。緊急では無いんだけど、それなりに大事な事。最近ゴリ子絡みでわちゃわちゃしていたから後回しにしていた事があったはずなのよ…」

 使用済みの湯呑みを片付けながら、久子も一緒に考える仕草をする。

「マジボラの事ですかぁ? つばめちゃんの事、蘭ちゃんの事、不二子ちゃんの事、新聞の事…」

 睦美の思考の助けになるべく、関係の有りそうなワードを無作為に並べていく久子。

「あぁ、そう言えばゴリ子に不二子からの伝言を伝え損ねたわね… でもまぁそんな事はいいわ。それより引っ掛かっているのはそれじゃないのよ…  んー、でもゴリ子も無関係じゃなかった様な… あー! イライラするわね! 喉元まで出かかってるのに!!」

 怒りを発露させる睦美。この場につばめが居たら、反射的に物陰に避難しそうな勢いであるが、長い付き合いの久子は、自分には火の粉が飛んで来ない事を知っているので、涼しい顔で思索を続ける。

「蘭ちゃんにも関係あると言うなら… あとはシン悪川興業の事とかですかねぇ…?」

「いやー、違うわね。そっち方面じゃ無いのよ… でも何か音が引っかかるわ。シン、心、進、信、新… そうよ!!」

 どうやらその重要な案件を思い出したらしい睦美が、晴れやかな顔で手をパンと叩き、久子を見やる。

「そうよ『新人』よ! すっかり忘れてたけど、まだコンタクトを取ってない奴が1人居たわよね? えぇと… ヒザ子、そいつ何て名前だったか覚えてる?」

「はい、えーっと確か名前はのの…」

 ☆

 そして再び新聞部室。

「なるほど、野々村君は今回の騒ぎを怪人と魔法少女のマッチポンプだと判断した訳だね。確かに彼らのパフォーマンスはレベルの高いものではあったが、実際に怪我をしている生徒も多い。警察沙汰にもなっている以上、単純に見世物として扱うには極めて悪質だ」

 部長、もとい編集長の九条が野々村の記事に感想を述べる。ちなみに上のセリフの間に九条は4回メガネをクイッと指で位置直ししていた。

「はい。分からない事が多すぎる点で超常現象に持って行きたい論調があるのは否定しませんが、私としてはそんな『逃げ』は打ちたくないんです。もし彼らが『悪』であるのならば、ペンの力で鉄槌を下す必要があると思っています!」

 野々村の熱弁に、その場に居た九条と高柳は拍手で応える。まだ入部して1週間の1年生が、ここまでしっかりとした意識を持って報道に向き合っている姿に、先輩2人は心から感動せざるを得ない気持ちだった。

 確かに野々村の考察は、真実を知る者から見ても『当たらずとも遠からず』と言った所まで辿り着いていた。もう少し真面目に取材して、もっとよく考えれば、彼女は真実をその手に掴めたかも知れない。

 だがしかし野々村自身の腹の中では、真実などとは全く関係ない暗い欲望がうごめいていた。

『見ていなさいよ芹沢つばめ。あんたを晒し者にして学校に居られなくしてやるんだから!』

 そう、沖田親衛隊のメンバーである野々村から見て、この上なく邪魔な存在が芹沢つばめである。
 野々村としてはつばめが本当に魔法少女であろうが無かろうが関係ない。とにかくつばめを『お騒がせ犯』として晒し者に出来れば目的は達せられるのだった。

 まだもしつばめが学校一の美少女であるとか、学年一位の成績保持者であるとかならば親衛隊の面々も少しは諦めの気持ちも出てくるであろうが、顔も頭もスタイルも十人並みのつばめに、意味も無くアドバンテージを取られている現状は親衛隊の面々もプライドが許さなかった。

 学内とは言え、公器である新聞を用いてまで個人を攻撃するのは明らかにやり過ぎなのだが、嫉妬の為に冷静さを失っている野々村の計画を止めようとする人間は、事前に計画を聞いた親衛隊には居なかったのである。

『とは言え、あんたみたいなブスの顔は誰も見たくないだろうから、顔にはちゃんとモザイクをかけて上げる。でもあんたの特徴は顔じゃなくて頭の触手アホ毛だから、見る人が見れば一発でバレちゃうよねぇ? そして数人にバレればそれが学校中に広がるのはあっという間…』

 新しい壁新聞への反応を想像して、その場にいる全員が妖しい微笑みを見せた。
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