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第1章・婚約破棄は自由の翼。
婚約破棄戴きました!
しおりを挟む沢山の女性が集まっている。女性が集まると始まるのがお喋りだ。マーガレットブランドの商品を見ながら、ご婦人方が侯爵に声をかける。
「ねえ。会場で展示なんて初めてよね?特に今回の新作は、プレミアムで高価なお品。サンプルは大商会でのみ手にとれると聞いたわ。これらは大丈夫なのかしら?」
「そうよ。私も先日予約したわ。でもやはり実物を見るには、予約票を大商会へ提示する形と聞いたわよ。まあ信頼してるから、わざわざ見には行かないけど。」
「そうよね。必ずマーガレットブランド代表のお嬢様が、直接自宅まで届けて下さるもの。ついでにアフターもして下さるから助かるのよ。」
どう言う意味かと、周囲の人々がガヤガヤし始める。
「ご婦人方、どうぞご心配なさらないて下さい。今回は侯爵たる私の仲介により、特別にご用意出来たのです。やはり見本が有りました方が宜しいかと、私が自腹で購入して参りました。」
「え?まだ発売されて無いのよ?」
「それは特別にですから。代表本人もいらっしゃるので、是非宜しくお願い致します。」
・・・・・。
・・・・・。
サンプルを見定めた一部のご婦人方が、ヒソヒソと隅で輪になり始めた。それでもマーガレットブランドの人気は衰えず、ますます人集りになって行く。マーガレットブランド代表だと言うローズマリーは、可愛いでしょー。素敵でしょー。を連発し、予約は此方とやや強引にサインをさせていく。
ローズマリーにサインを促されていた女性が、彼女の手を振り払い突如大声をあげた。
「やはり可笑しいわよ!代表が違うじゃない!あの方は、そんな品の無い下品な話し方をしないわ。」
「そうよね。下品すぎるわ。代表はお茶を飲むだけでも、指先まで優雅だわ。正体は隠されてるけど、育ちの良さは隠せない。」
「何ですってー!なら買わなくて良いわよ!さっさと何処かへ行け!」
・・・・・。
ほらね?クスクス。
やはりね…。当たり前よ。
・・・・・。
まぁ。何てお下品な口を…。
絶対に偽者よ。品物もね。
現に不味いと騒いでたじゃ無い。
あれはポーションよね?
クスクス。そうよ。
王も何故こんな展示を許可なされたのかしら?
ヒソヒソと噂はさざ波の様に広まって行く。
「私はローズマリーよ!侯爵が私が代表だと言うからしてるの!偽者じゃ無い!私は私!可憐なるヒロイン。エドワード様にも愛される乙女よ。身分が低いからって虐めるな!」
全く誰も虐めてなんていないじゃない。被害妄想過ぎるわ。思考も変だし、これはどうしようもないわね。
でも流石にこれでは詐欺になってしまう。マーガレットブランドにも傷が付くし、王宮主催のパーティーにも傷が付くわ。仕方無いわね。
「ロジャース行くわよ。宜しく。」
「任せとけ!」
互いに小さな声でエールを送る。さあ出るわよ!
*****
ダンス終了と共に、皇太子様への祝辞やお祝いの品々が贈られる。その中に私達は、王の了解を取り混じった。私エリザベートは、マーガレットブランド代表として。ロジャースは大商会の後継としてね。
「皇太子様。この度の外交の成功、誠におめでとうございます。我が商会も、近隣諸国との取引に力を注いで行くつもりでございます。此度の祝いの品として此方をご用意させて戴きました。我が商会専売であるマーガレットブランドの新商品です。発売前でございますが、是非先にお試し下さい。」
ロジャースが大商会代表として挨拶を述べる。私はマーガレットブランド代表として、贈呈品を乗せた台を皇太子様の前に運んだ。
「お初にお目にかかります。マーガレットブランド代表でございます。どうぞお見知りおきを。今回の新製品は新婚向けとも言われております。是非御成婚時にお役立て下さいませ。」
皇太子様はジッと見ている。気付いてるかしら?特にバレても構わないんだけど、動きづらくなるのが嫌なのよ。
・・・・・。
やはり下にも視線が行くのね…。
お祝いの贈り物は、誰からでも見る事が出来る様に、1画に展示されている。マーガレットブランドの新商品も、そちらに運ばれる。
「マーガレットブランドのお品の中に、一部魔道具の原理を応用した装飾がございます。例えば此方のカラトリーケースの飾り石や、花瓶等の飾り石の部分です。これらは魔力を含む魔力石と申します。魔道具の動力に使用するには満たないな石を、輝きが美しい為に使用しました。勿論このままでも美しいのですが…。」
私は花瓶を手に取り、皆様から見える様に様に手を添える。すると更に飾り石が光り、キラキラと輝き始めた。ゆっくりと手を離す。
「魔力を与えると、更にこんな感じになります。魔力石に魔力が充填され、輝きが増したのです。この魔力の補充は、魔力が有れば何方でも行えます。但しこの国では魔力持ちが少ない。その為商会にご持参。またはご相談して下されば、私がメンテナンスに伺っております。」
ザワザワと会場内が騒がしくなる。やはり皆さまの視線の先は…。
「ところで皆さま!隣国の魔法大国の魔道具はもうご覧になりましたか?私は特にこのオコジョちゃんを気にいってしまいました。実は此方のオヤツ。この内部に魔力石が組み込まれております。はーいあーん。動力をオヤツに見たてており、パクリと食べちゃうんです。」
可愛い。と歓声が上がる。掴み所はバッチリね。
「書類仕事の際には手元にチョコンと座り、灯りをともしてくれます。みよ~んとのびて、手元を的確に照らしてくれる良い子です。実はマーガレットブランドの装飾は、此方の魔道具の原理を使用させて戴きました。」
装飾に使われてる魔力石は、くず石なのよ。小さすぎて動力としては使用できない。本来なら、魔力だけを抽出し廃棄される。それに目をつけたわけ。
「これにて説明を終了させて戴きます。では皆様、御前失礼致します。」
私とロジャースは次の方に場所を譲り、壁際へ下がる。すると以前私と取引をしたご婦人方が詰め寄せてきた。
「やはり!マーガレットブランドの代表様に商会のロジャース樣!此方が本物。ローズマリーとやらは偽者よ!新商品だって、品質どころか品まで違うじゃない。ポーションが不味いと怒鳴ってるし!まさか侯爵様は詐欺をするおつもりなの?」
「そうね。マグカップがグラスだし、飾りの石もただのガラス玉ね。」
侯爵が慌てて弁解する。
「まさか詐欺だなんて!あの者が間違いなく、ローズマリーが代表だと!」
犯罪者の自白を信じる方がバカよね。
「侯爵樣。先日も私はお伝えしましたが、ローズマリーとやらは違いますよ。此方の方が、マーガレットブランド代表に間違い有りません。決定的な証拠も有ります。ローズマリーとやらには魔力が有りませんよね?ポーションが不味いのがその証拠です。代表に魔力が無ければ、メンテナンスが出来ませんよ。また商品は専売ですので、我が商会から以外は購入出来ないのです。信用の為に卸しもしておりません。」
「では!では代表は何故!?」
「それは私が、商品企画のプロデュースをしたからですわ。レシピや道具の考案は妹が。私がそれらをマーガレットブランドとしてデザインし商品化させました。商会さんに製作と販売はお任せしておりますが、ブランドの経営者は私と妹なのです。ですから私が直接受けた注文も、必ず商会を通しております。税の関係もございますからね。私は私達姉妹の品を商品化し販売して下さる商会さんの、販売ルートのお手伝いをさせて戴いているだけなんですよ。」
貴族のご婦人方はかなり多忙だ。また大貴族となると、出歩く事も出来ない。ロジャースはそんな貴族様の為に、出入りの商人の様な事もしている。しかしマーガレットブランドの売り上げはかなりのもの。中々手が回らず、ならばと私が貴族を受け持つ事にした。何故皆さん素性の解らぬ私を信用するのかって?だって皆さん私だと知ってるもの。女性の勘は鋭いのよ。これも所謂暗黙の了解と言う奴ね。だから私は金髪のままにしてるの。公爵家の肩書きは信用に価するからね。それでも男性陣にバレないのには笑えちゃうのだけど。
「あ!侯爵様。我が商会に昨日送付されてきた注文書ですが、全て理由をお話しキャンセルさせて戴きました。皆様今朝方から、再度予約をして下さいました。我が商会は予約さえ戴ければ、キチンと発売日にお届け致します。」
予約を取っているのは必要数以上の生産と、販売日当日に商会窓口が混乱にならない為だもの。キチンとするわよ。
「因みに注文を受けただけで商品の在庫も知らず、注文書を送り付け発送もアフターも全て商会に丸投げ。それで商品代金の半額をマージンとしろ?貴方は商売をなめているのですか?商品製作に人件費。どれ程かかるとお思いで?バカにさるのも大概にして欲しいですね!」
項垂れる侯爵様。ローズマリーは3バカと何か言い争い暴れている。
「私からお渡しする予約の書類にも、商会への注文になるとキチンと記載されています。また連絡先は商会になっております。注文書自体がマーガレットブランド特注の紙です。花とロゴが透かし模様になっております。心配な方は、此方の本物と己の注文書を見比べてみて下さい。予約はまだまだ受け付けております。商品も予約分は販売分と分けております。心配なさらないで下さいませ。」
ふう。漸くひと息ついたわ。王様はどうかしら?大丈夫そうね。何時の間にか魔道具の裏に有った展示も片付けられてる。侯爵は警備兵に連行された。
王様には商会から話を通して貰ってたの。王家主催のパーティーでの不祥事は王家の面子にも関わる。全て見て見ぬふりをしてくれる約束。但し後始末だけは、王様が付ける事が条件だったの。
「このくそ女!私の仕事を取らないでよ!私は侯爵に頼まれてマーガレットブランドの代表をしてるの!偽者とか関係ないのよ!予約の分だけお小遣いが貰えるの!」
「「「ローズマリー…」」」
流石の3バカも頭が冷めたのかしら?呆れた顔をしてるわ。ローズマリーは頼まれたからしてると言う。頼まれて誰かの真似をするのは確かに犯罪ではない。でも本物を前にして語るのは、明らかに人権侵害よね?
「私の真似をするのは、確かに犯罪には当たらないかもしれない。しかし私の人権を侵害してるわ。それに貴女の受けた注文では品物が届かないの。つまり人に損害を与えるの。ここで犯罪が成立になるのよ。解らない?」
「解んないわよ!なら私に注文を取れと言った侯爵が悪いんでしょ!それにアンタの人権なんて侵害してないわ!私みたいな可愛い子に真似て貰えるなんて、通常より素晴らしいと評判が上がるわよ!」
・・・・・。
ダメだこりゃ。
凄まじいな。
私とロジャースは顔を見合わせ頭を抱える。王様ってば!何でこのバカも連行しないのよ。全くもう。面倒ね。
「あー!エドワード様だー。貴方の愛するローズマリーはここに居ますよー。今晩も呼んで下さいね。」
ローズマリーが3バカを振り払い駆け出して行く。
あわれ3バカ…。
ローズマリーが皇太子様の周りを、ぴょんぴょん跳ねながらくるくるまわる。鬱陶しさげに手で追い払う。しかしめげずに食い付くローズマリー。
あ!無理矢理キスした!
呆然と立ち竦む皇太子様。男ならピシッとしろ!何まとわり付かれてるんだ!まあ良いや。私はさっさと着替えて来なくちゃ。このままで帰宅の挨拶は出来ないからね。
ロジャースとグレイシー様に挨拶をし、私はこっそりと退出した。
*****
まだローズマリーと居るのね。そろそろラストの挨拶の時間だけど、もしかしたらローズマリーをエスコートするつもり?妙に仲良さげに見えるわね?
「皇太子様。そろそろラストの挨拶ですがどうなさりますか?」
・・・・・。
「出たな悪役令嬢!エドワード様は私をエスコートしてくれるの。だから貴女はお役御免よ。ねえ?エドワード様?」
「ああ…。私は貴女と…。」
「嬉しい!なら早く挨拶何て済ましちゃいましょ。」
「いや。私は…。」
「皇太子様?本当に婚約者で有る私では無く、そちらのご令嬢とで宜しいのですか?はっきりして下さい。」
「未練たらしいな!エドワード様は私を愛してるのよ。貴女とは婚約破棄するって。さっさと消えなさい!ねえ?エドワードさまぁ。」
「ああ…。」
・・・・・。
皇太子様の目を見る。虚ろな瞳は私の目を捉えていない。皇太子様は変態だけど、キチンと人の目を見て話す人の筈。
私は皇太子様に近より、魔道具のペンダントを首にかける。私は思い切り皇太子様に腕で払われ昏倒した。イスにかすった額から血が流れる。
ペンダントをかけられた皇太子様の体が、淡く光り始めやがて収まった。
「おい。大丈夫か?」
ロジャースが駆け寄り、私を支え立たせてくれた。グレイシー様もやって来て、治癒の魔法をかけてくれた。
「大丈夫です。お2人共に、有難うございます。」
皇太子様は私に手を差し伸べる事も無く、今だじっと私の方を見ていた。
私はふらつく足元を気付かれぬ様に、思い切り力を入れて歩き出す。皇太子様に向き合い再度たずねる。
「これで最後です。私では無く、その方と最後の挨拶をするのですね?王宮主催のパーティー。しかも自身が主役。その貴方がその方を伴う。その意味を理解されてるのですね?その方を愛してるから、婚約破棄をするのですね?間違いは有りませんね?」
静まり返る場内。何時の間にか会場中の注目の的になっていた様だ。
「おい。幾ら何でも…。」
「あれは魅了によるものです…。」
2人が小声で私を諌めてくる。でも違う。そうじゃ無い。もう魅了の効果は消えた筈。なのに何故キチンと拒否し、答えられないの?
「私は…。」
「しつこいな!婚約破棄で良いの!昨晩の様に、私がバッチリ愛してあげる。」
「あぁ…。」
・・・・・。
「そうですか。了解致しました。国王様の御前でのお言葉。私、しっかりとお受け致しました。婚約破棄の手続きの方、どうぞ宜しくお願い致します。それでは失礼致します。」
私は振り向きもせず、その場を歩き出す。
「まっ待ってくれ!」
背後からガシリと腕で腰をホールドされる。更には反対の腕でドリルを前に倒された。ぐっ、ぐえぇ…。むっ胸が苦しい。圧迫される。
突然何しやがるんだ!腰の腕を外そうと暴れるがびくともしない。突如肩に痛みが走る。
「うぅー!い、痛ーい!痛いわ!離れろ馬鹿たれ!」
私の大声に腕が緩む。その拍子に腕から抜け出した。肩に噛み付いた?いったい何してくれちゃってるの?
皇太子様をキッと睨み付ける。
「やはりホクロ…。誰彼構わず…。」
は?何を言ってるの?ハッキリとしなさいよ!
「この正三角形のホクロを誰彼構わず見せたのか!?」
は?ホクロ?
「自分でもつい先日まで知らなかったのに、誰彼構わず見せるわけが無いじゃない。何を言ってるの?」
「このホクロは私だけが知ってれば良いのだ!」
・・・・・。
「何故本人すら知らなかった事を知ってるの?ねえ!何故よ!」
・・・・・。
コイツはヤバそうだ。言質は取ってるし、さっさと逃げよう。
「婚約破棄された女は早々に去りますわ。ではお幸せに!それでは!」
逃げる。ダッシュで会場を去る。
兎に角逃走だ!これだけ公衆の面前で恥をかかされたんだから、家出しても許される筈。何なら縁切りして貰おう。ロジャースを挟めば、マーガレットブランドは安泰だしね。
こりゃラッキー。
あ!魔道具返して貰うの忘れちゃったよ。あーあ。
*****
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