【完】相手が宜しくないヤツだから、とりあえず婚約破棄したい(切実)

桜 鴬

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第2章・婚約破棄は新たなる珍事を招く。

狭間を漂う愛憎。

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私はグレイシー様と相対している、ユリウス様とおぼしき人物を見る。彼は右手に持つ錫杖の様な物を、私の居た方角へ向けていた。狙ったのは神官達を囲んだ結界?それともその奥に居た魔物か私?

グレイシー様は構えた剣先を、ピタリとその喉元にあてている。緊迫する状況。そんな状況でも、彼は視線だけは私を見据えている。更には私に語りかける。ユリウス様は中々の豪気なお人の様だ。見かけによらぬと言ったら叱られるだろうか?

私は礼儀とばかりに、しっかりと視線をあわせ絡ませ挨拶をする。

「ユリウス様。初めまして。私はエリーですわ。他の誰でも御座いません。取り敢えずその錫杖をおろして戴けませんか?結界にしろ私にしろ、既に目標物はその先に有りませんよね?」

ユリウス様が錫杖をおろす。周囲にシャラリと清んだ音色が響く。

私はグレイシー様の側にゆき、剣に手を掛け誘導し鞘に収めさせた。指先が冷たい。緊張から?いいえ。違うわね。筋肉が硬直している。緊張感から来てるにしては変。グレイシー様と視線だけが絡む。どうやら口も開けないみたい。魔法では無いわよね?まさかグレイシー様程の魔術師が、状態異常の魔法にかかるとも思えない。ならば薬物的な物?取り敢えず試してみよう。状態異常を限定せずに、通常の肉体に異常な部分を修復、または除去する。

「cancel a completely abnormal。」

私は静かに呟く。これなら解除され無くとも原因は解る筈。訓練で試したら、ホクロや肌荒れに虫歯みたいのまで治癒されてしまったの。まあ確かにこれらも状態異常よね。でも治癒魔法とは本来別なのよ。私の魔法は何だか本当に意味が解らないわ。

まあ使える物は使う。意味が解らなくても構わない。ようは結果だからね。

グレイシー様の首元で、バチンと弾ける様な音がした。同時に何かが転がり落ちた。首元から紫色の液体が滴り落ちる。

「確かに注入されてるのに、素晴らしい意志と耐性ですね。その状態で私に剣を突き付けるとは…。」

「グレイシー様!」

グレイシー様が膝から崩れ落ちる。地面に手をつく寸前に、私は駆けつけ抱き止めた。

「少し休めば大丈夫ですよ。体外に出たその液体に毒性は有りません。体内で温められてこそ威力を発するのですから。この方は諜報でしょうか?かなり慣らされてますね?」

リーダーがグレイシー様を支えて木陰へ移動した。駆け付けてきたレイシス王子に、私は毛布と飲料水等を取り出し手渡す。王子はそれらを届け、リーダーと交代した様だ。

私は改めてユリウス大神官と相対する。この人は私を違う名で呼んだ。

クリスティーネと。

でも今の私はエリーだ。エリザベートとユリウス。そしてエドワード。この3人に、過去に何か柵が有ったのだろう。そしてユリウスはそれを忘れられない。彼はどうしたいの?しかし前世を忘れてしまった私には、どうにもしてあげられない。

「エリーですか?素敵な名前ですね。折角貴女が用意してくれたご馳走です。皆さんに食べて戴きましょう。クッキーも炭化させてしまう貴女が、まさか料理をする様になるとは…。」

大神官の言葉に庶民達は驚愕の顔だ。何故なら今まで魔物肉を否定していたのだから…。

「グレイシー様とやらの首筋にくっついたのは、魔物を匂いで誘い呼び込む魔道具です。羽虫を模した飛行型で気付かれずに近付き、魔物が好む匂いの成分を注入するのです。その成分が体内で温められ人肌になると匂いを発します。その匂いが体外へ放出され、魔物を呼び寄せるのです。」

でもグレイシー様のは効果が発揮されなかった。なら他にも?

「まさか神官達に?」

「まさか!神官等クズばかりです。己が危険に晒される様な事をする筈が有りません。なので食事をしている庶民の方々のいる方角に飛ばしました。既に先程の1匹以外は戻りました。つまり注入は完了し、匂いは既に拡散されてます。だから魔物が侵入たのです。」

大神官で有るユリウス様は、微笑みながら淡々と真実を話す。何故そんなに微笑みを絶やさずに話すの?神官達は大神官様が嘘をつく筈がないと言った。つまり貴方が大元なのでは無いの?庶民を飢えさせ虐げる。悪いと言う気持ちは無いの?聖職者なのに…。

「なのに魔物は匂いを出す根源より、神官達を襲ったのですね?神官達は自称では有りますが、魔物肉を食していない。つまり魔物肉を食べた食べないと言う事は、魔物に襲われる事には関係して無いと証明された訳ですよね?」

静まり返る周囲。リーダーはテキパキと神官達を拘束して行く。姫様は料理を温め直し、人々に配り始めた。

「そうですね。全く関係有りませんよ。大神殿では何でも食べてます。でなけれは、あんなに樽体型ばかりが蔓延る筈がない。」

「ならば何故こんな非情な事を!」

私はつい声を荒げてしまう。骨と皮だけの様な子供達。民が居なくなれば国は立ち行かない。王公貴族だって、やがてくる滅びを待つしかないのだ。だって資源は有限。生み出す民が居なくなれば、食物連鎖の頂点だって死にゆくしかない。

「私は何も言いません。してもいません。全ては城で行っている事です。」

「でも!大神官とは、大神殿での頂点では無いの?貴方に決定権は何も無いの?神官達だって貴方の言う事だから間違いは無いと…。」

歪むユリウス様の顔。悲しげな表情。驚き見直すと通常の微笑みだった。

でも…。

一瞬だけど確かに…。

「私は傀儡です。王と宰相に命令されてるだけ。そして神官達は私を狂信的に崇めている。王は決めました。この国には城下町は不要。抵抗せぬ者だけを集め国を再編成する。私はそのプロパガンダなのです。そう国が仕組みました。」

「まさかそんな…。」

「私は生きたかった。結ばれぬと解っていても、再度貴女にお会いしたかった。だから従った。」

ユリウス様は私の瞳をしっかりと捕らえ、一段声のトーンを上げて話す。

「私は死にたくなかった!なりたくもない大神官へ祭り上げたのは、確かにお偉方です。しかしここで食事をしている、飢えた方々にも責任は有るのです!己達が助かる為に!日々の糧を得る為に!毎月何人の子供を大神殿に引き渡したのですか!その子供達はどうなったのか解りますか!」

周囲がざわめきだす。小さな子の親らしき人々が、まるで庇う様に自らの子を抱き締める。

「知らなかったとは言わせませんよ…。」

ユリウス様の揺るぎ無い視線に、民は次々と視線をそらす。

「生き残った私以外は、全て死にました。差し出された私達はキツい試練と絶食。更には酷い拷問の後、魔道具や兵器を使用する際の実験体です。死んだら魔物を捕らえる為の餌ですよ。」

そんな事は無い筈!私は知らなかった!等の言葉が飛び交う。しかし殆どの大人は俯いている。心当たりが有るのだろう。

「子の引き渡しが始まったばかりの頃は、スープにも肉が入っていましたよね?それらを確保する為に、魔の森で罠の餌にされました。まあその頃には死んでバラバラです。恐怖は無かったのがせめてもの救いでしょうね。貴方方は差し出した子供達の命を代償に、忌み嫌う魔物の肉を食していたのです。しかしもう子を取られる心配はございません。この城下町は不要と判断されました。掃除も面倒なので、皆死ぬまで放置との事ですよ。」

ユリウス様…。

ユリウス様は口許には微笑みをたたえたまま、次々と残酷な言葉を紡ぎ出す。でもこれは多分、ユリウス様が経験した事。そして生き残り、生きるために傀儡となった。

悲しい。そして辛く哀しい…。

それはクリスティーネさんに会いたかったから?

ならごめんなさい。私は覚えてないの。だからクリスティーネにはなれないわ。でもエリーとしてなら…。

「同情はいりません。私が欲しいのはクリスティーネの心だけです。貴女に記憶が無いのなら、また奴を選ぶのでしょうから。」

「確かに私はエリーよ。でも前世は信じるわ。でなきゃ妹の事も信じられなくなっちゃう。だから貴方と私の前世を教えて。クリスティーネだった頃の貴方と私よ。忘れててごめんなさい。ゆっくりお話をしましょう。」

・・・・・。

「あ!でも取り敢えずは今晩のざまぁなの。我が国のバカ達と、この国のバカ達を一掃するわ。だから大事なお話は後程しましょう。さあ!王子に姫様!大神官も揃えば怖いものなし!先ずは真相を聞いて作戦会議よ!」

クルリと振り替える。グレイシー様も大丈夫みたい。広場全体に回復魔法をかける。姫様に王子を2時間位借りる話をし、姫様と女性陣に後の配膳と後片付けは任せる。拘束した神官達を部屋に軟禁する。体力の残っている男性陣に、神官達の見張りを頼む。王子と共に歩いて来たグレイシー様に、姫様達との行動を頼む。

「リーダーは私達の護衛ね。」

「はいはい。全く人使いが荒いな!」

「はいは1回でしょ?宜しくね。」

・・・・・。

私はユリウス大神官の手を握り、反対の手でレイシス王子の手を繋ぐ。王子の袖口から傷が見えた。直ぐに隠されたが、あれが話の傷なのね。

「おい!護衛を置いてく気かよ。俺は飛べんぞ。それよりいきなり男の手を握るな!お前も女なら恥じらいを持て!」

・・・・・。

確かにいきなり異性に手を繋がれたら驚くわよね。王子様は目がまん丸だわ。

「悪いけどご覧の通りよ。両手が塞がってるの。だから肩に手をのせてくれる?」

「はいよ。」

リーダーの手が肩にのるのを確認し、私は両手をシッカリと握りしめる。

クルリと視界が変わる。

「こりゃまた何だか偉そうなのばかり連れてきたな。連絡位寄越せよ。」

「よく言うわね。どうせ聞いてたんでしょ。なら察してよ。こちらは開き直って繋ぎっぱなしよ。あ!頑丈な結界を張ろう。大事なお話だから、お邪魔虫は遠慮してね!」

全く誰に言ってるって?奴に決まってるじゃない!ロジャースが聞いてたなら、奴も聞いてるかもしれないでしょ!

「お姉さま…。両手に攻略対象者を…。両手に花とは流石のヒロインです…。」

「マリエンヌ!ローズマリーと一緒にはしないでー。いやぁー。」

私達はコメコメ大商会に転移していた。

*****

マリエンヌがふざけてごめんなさいと、笑いながらお茶を用意してくれる。もー。むくれていたら、新作のお団子を出してくれるそう。

串団子の新作?楽しみー。

えっ?何これずんだ餅?緑の餡?あー。枝豆をすりつぶしたの?

それでこちらは桜団子?桃色の餡?桜の花の塩漬けを混ぜ混んでるの?桜の花って、公爵家の庭に咲く桃色の花よね?木に咲く桃色の花で、満開になるともの凄く綺麗なの。何故か公爵家の庭にしか咲いて無いのよ。庭師が増やそうとは試みたんだけど、尽く失敗したのよね。

そしてお茶は玄米茶。へー。お茶にも色々種類が有るのね。これは蒸らして煎った玄米を他のお茶とブレンドした物。芳ばしさが特徴なのね。

ユリウス大神官がお団子を凝視している。もしかしてお腹が空いてるのかしら?確か昼食も食べてないわよね?

「ユリウス様?宜しければ、こちらのおにぎりも食べますか?お湯を注げば、お味噌汁も直ぐに食べられますよ。」

私はインベントリから食べ物を取り出しテーブルに並べた。

ユリウス様はテーブルの上の食べ物と、マリエンヌを交互に見ている。

「貴女が今世でのクリスの妹…。そして狭間を超えて、異世界から来た魂なのですね。貴女が居るから、彼女は私の言葉を信じてくれたのですね。しかし良くこれらを再現して…。それにこの桃色は…。桜ですか?桜の挿し木は難しいと聞いてましたが…。」

マリエンヌがユリウス様の前に、玄米茶とは違うお茶の器を差し出した。

「桜に思い入れが有るのですか?我が公爵家の庭では、毎年桃色の花が満開になります。こちらのお茶は桜茶と言います。お祝いの席などで出されたそうです。宜しければこちらもどうぞ。」

気づくとユリウス様は、桜茶を両手に包み、静かに涙を流していた。

「クリスティーネ。否。エリザベート様。貴女は今世でまた公爵令嬢として生まれでた。しかもフローラ公爵家なのですね。だからこの世界の魂にも拘わらず、あの遺跡を封印出来うる程の魔力量を…。」

それはどういう意味なの?

私の肉体は先祖帰りで、異世界の構造に近い?マリエンヌやユリウス様のいた世界には魔法はない。魔力と言う概念すら無い。だから魔力に対して肉体は無垢だった。魔力に無垢な異世界の肉体と、魔力の器が大きく魔力量の多いこの世界の肉体とが混じり会う。無垢な肉体は魔力をすんなり受け入れた。それにより、元来より更に魔力を受け入れる器が大きくなった。

「フローラ公爵家には、代々魔力量の高い子供が生まれやすい。または多少に係わらず、ほぼ皆が魔力を保持している。それは実は異世界の血統が理由だと言うのか?確かに先祖が異世界人の私の血筋にも、高魔力では無いが魔力持ちは多いな。平民なのにな。てっきり先祖が旅をしていたから、魔法大国の血が混じってるのかと思っていたが…。」

ロジャースのコメコメ大商会は、確かに代々平民だ。魔法大国の血が混じる、高位貴族に魔力持ちが多いと言う一般常識に当てはまらない。

ブライアンもマリエンヌも、魔法を使用してはいない。しかし多くはないが、魔法を使える程の魔力は有している。因みに両親も魔力持ちだ。

それはご先祖様が異世界人だから?公爵家にも異世界人の血が混じっているの?

「魔力を持たぬ異世界の肉体の遺伝子が混じり、こちらの肉体が更に強化された形になるのです。なので元から高魔力もちの器の肉体ならば、更に高魔力持ちになる。エリザベート様の様にです。」

「ユリウス様?それは純粋な異世界人ではダメなの?」

「純粋な異世界人には、魔法を出力する機能が有りません。所謂転生チートとは、神が介入する場合のみ。神が魔力を補充し解放して、初めて魔法が使えます。つまりこの世界で純粋な異世界人は、大きな魔力の器は有れども魔力を貯め魔法を放つ事が出来ない。だから神は肉体が混じり会う子孫に未来を託しました。」

ユリウス様は神様に会ったのかしら?

「私は漸くこの世界に戻れました。神にはあっていません。自力で狭間を2度越えました。その狭間で全てを知ったのです。私は許せない…。」

この世界に戻れなかった?

質問しようとユリウス様を見る。すると終始微笑みを絶やさずにいたユリウス様の、顔が怒りに歪んでゆく。

「今世ではエドワードでしたか?私は奴の所業が許せない。私を裏切り狭間に突飛ばした。更には奴は彼女を辱しめた。子をなせば死ぬ運命だと解っていたのに!」

まさかエドワードが?

「確かに彼女は許していました。しかし何故!愛してるなら待てなかったんだ!私は約束を守った。それなのに!」

ユリウス様の哀しみの涙は、いつの間にか憎しみの涙へと変化していた。

*****
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