72 / 87
72話
しおりを挟む
「私?私はギルド『魔術師の楽園』のギルドマスターよ!」
「ギルドマスター?別の人だった気がするんですけど……」
俺の記憶が正しければ、結構身長が高めの大人な女性だった気がするんですが。
「あれは世を忍ぶ仮の姿。今の姿こそが真の姿なのだ!」
「……え?」
「つまりは、表に出ているギルドマスターも今の私も私ってことだ!!!」
「いや、これはどう見ても……」
顔や髪型くらいだったらメイクとか服装を工夫したら誤魔化せなくもないけど、身長まで誤魔化すのは流石に無理があると思うんですが。
画面や写真でしか見た事が無いから間違っているかもしれないけれど、30㎝くらい身長違いますよね。
「キルケーは魔法使いといえば小中学生くらいの美少女だろと言い張ってわざわざ容姿を変える魔道具を使っているんだ」
「見た目を変える魔道具って……」
確かに見た目を変える魔道具は存在する。ただし、あれは代償として身体能力が小中学生並みに落ちるはずなんですが。
「一般的な魔法使いに近接戦闘は必要無いからな。それに浮遊魔法をこいつは習得しているから移動面も特に支障はない」
「色々頑張っているんですね」
「頑張ってなどいない!正真正銘これが真の姿だ!」
「……分かりました」
これ以上メタ的な話をするとキレられるか泣くかの二択で絶対面倒なので何も言わないことにした。
「それはともかくとして、あなたが麗奈が嫉妬している杏奈の恋人ね」
「「恋人ではなくて相棒」」
「の割にはそこのダークエルフが加わるまでは二人で同棲していたらしいけれど」
「同じ家に住んでいた方が効率が良いだけです。ずっと二人で潜るわけですし。それに丁度孤児院出身だから家も無かったですし」
「姉妹揃って相変わらずの効率厨ね……」
恥ずかしがる様子もなくさも当然のように話す杏奈さんにキルケーさんは呆れていた。
俺は孤児員のお陰で女子との同棲というのに慣れているから何とも思わなかったけれど、やっぱりおかしいよね。感覚が間違ってなくて良かった。
「はいはい、そんな雑談は良いから今後どうするのか決めないと。麗奈さんの指示で一応誰も殺していないけど、僕たちが敵対した事は敵側にバレちゃってるんだから」
と氷浦さんが話題を今起きている問題に戻した。
「別にどうするも何も、ただ襲撃から身を守り続けて時間を稼ぐだけだぞ」
「時間を稼ぐだけって。倒したりはしないの?」
「ああ。それはこの三人にやってもらう予定だからな」
「……え?」
10大ギルドからの襲撃を防ぎ続けることで相手の国側からのストップがかかるのを待つのかなと思っていたけど全く違った。
俺たちが倒すってどういうことですかね。ボスどころか異世界人ですらない幹部すら倒せない状況なんですが。
「いやいやいや。いくらこの3人が将来有望株だったとしても、10大ギルド5つを倒せる程は強くないわ。現に地神教の協力を受けた所で時間稼ぎが関の山だったじゃない。まあ地神教は対人戦に滅法弱いから仕方ないと言えばそうだけど」
「分かっている。だから時間を稼いで強くなってもらう」
「一体どれだけ時間がかかると思っているのよ」
「それは私にも分からない。が、私たちが妹のギルドを狙う10大ギルドを全て倒したところで、いくら正当な理由をこじつけた所で、国際問題になって戦争が始まるだろうからな」
「それはそうだけどさ……」
「まあまあ、守りに定評のある僕たちが味方に付いているわけだから、心配しなくても死者は出ないから」
「ったくもう……それでもし犠牲者が出たら殺すわよ」
「出来るものならね」
「分かったわよ」
「というわけだから出来るだけ早く強くなってきてくれ」
「は、はい……」
と夏休みの宿題を課す教師のようなノリで世界最強クラスになってこいと指示されてしまった。
「どうします?」
他の人たちが既に帰った戦地で俺と杏奈さんとイザベルさんで作戦会議をすることになった。
「強くなるだけじゃない」
「そうだけどさ。急いで世界最強になれって言われているんだよ。ランクを一つ上げるのとはわけが違うよ」
レベル10とか15くらい能力値を上げるだけだったらまだ攻撃力のゴリ押しでどうにかなるかもしれないけど、多分今回は30とか40とか上げる必要があるんですよ。
「だが、課されたものはやるしかないだろう。大体期限としては2カ月程度だろうか」
「2カ月……」
「十分じゃない。薬漬けにしてしまえば半年分のレベル上げが出来るから」
「2カ月徹夜ってこと!?」
確か結構昔に100時間以上起き続けていた人が幻覚を見たり精神に異常が起きたりしたって話聞いたことあるんですが。
「大丈夫よ。エナジードリンクじゃなくてエリクサーだから」
「そんなにエリクサーは万能なのか「万能よ」」
食い気味に言わなくても。
「エリクサーに出来ないことは無いわ。今は飲んでも若返らないけれど、いずれは出来るようになるわ」
「それは無いと思います」
若返り機能まで付いちゃったらそれはまた別の薬なのよ。時を戻して疑似的に回復状態にさせちゃう系の悪魔の薬なのよ。
「とりあえず今ある薬をフル活用しつつ、『師走の先』の人たちに大量生産させるわ」
「相変わらず便利に使うなあ……」
「とりあえず一杯飲みましょう」
開始前の景気づけとして、エリクサー入り飲料を一杯飲んでから2カ月に渡る徹夜レベリングがスタートしてしまった。
「ギルドマスター?別の人だった気がするんですけど……」
俺の記憶が正しければ、結構身長が高めの大人な女性だった気がするんですが。
「あれは世を忍ぶ仮の姿。今の姿こそが真の姿なのだ!」
「……え?」
「つまりは、表に出ているギルドマスターも今の私も私ってことだ!!!」
「いや、これはどう見ても……」
顔や髪型くらいだったらメイクとか服装を工夫したら誤魔化せなくもないけど、身長まで誤魔化すのは流石に無理があると思うんですが。
画面や写真でしか見た事が無いから間違っているかもしれないけれど、30㎝くらい身長違いますよね。
「キルケーは魔法使いといえば小中学生くらいの美少女だろと言い張ってわざわざ容姿を変える魔道具を使っているんだ」
「見た目を変える魔道具って……」
確かに見た目を変える魔道具は存在する。ただし、あれは代償として身体能力が小中学生並みに落ちるはずなんですが。
「一般的な魔法使いに近接戦闘は必要無いからな。それに浮遊魔法をこいつは習得しているから移動面も特に支障はない」
「色々頑張っているんですね」
「頑張ってなどいない!正真正銘これが真の姿だ!」
「……分かりました」
これ以上メタ的な話をするとキレられるか泣くかの二択で絶対面倒なので何も言わないことにした。
「それはともかくとして、あなたが麗奈が嫉妬している杏奈の恋人ね」
「「恋人ではなくて相棒」」
「の割にはそこのダークエルフが加わるまでは二人で同棲していたらしいけれど」
「同じ家に住んでいた方が効率が良いだけです。ずっと二人で潜るわけですし。それに丁度孤児院出身だから家も無かったですし」
「姉妹揃って相変わらずの効率厨ね……」
恥ずかしがる様子もなくさも当然のように話す杏奈さんにキルケーさんは呆れていた。
俺は孤児員のお陰で女子との同棲というのに慣れているから何とも思わなかったけれど、やっぱりおかしいよね。感覚が間違ってなくて良かった。
「はいはい、そんな雑談は良いから今後どうするのか決めないと。麗奈さんの指示で一応誰も殺していないけど、僕たちが敵対した事は敵側にバレちゃってるんだから」
と氷浦さんが話題を今起きている問題に戻した。
「別にどうするも何も、ただ襲撃から身を守り続けて時間を稼ぐだけだぞ」
「時間を稼ぐだけって。倒したりはしないの?」
「ああ。それはこの三人にやってもらう予定だからな」
「……え?」
10大ギルドからの襲撃を防ぎ続けることで相手の国側からのストップがかかるのを待つのかなと思っていたけど全く違った。
俺たちが倒すってどういうことですかね。ボスどころか異世界人ですらない幹部すら倒せない状況なんですが。
「いやいやいや。いくらこの3人が将来有望株だったとしても、10大ギルド5つを倒せる程は強くないわ。現に地神教の協力を受けた所で時間稼ぎが関の山だったじゃない。まあ地神教は対人戦に滅法弱いから仕方ないと言えばそうだけど」
「分かっている。だから時間を稼いで強くなってもらう」
「一体どれだけ時間がかかると思っているのよ」
「それは私にも分からない。が、私たちが妹のギルドを狙う10大ギルドを全て倒したところで、いくら正当な理由をこじつけた所で、国際問題になって戦争が始まるだろうからな」
「それはそうだけどさ……」
「まあまあ、守りに定評のある僕たちが味方に付いているわけだから、心配しなくても死者は出ないから」
「ったくもう……それでもし犠牲者が出たら殺すわよ」
「出来るものならね」
「分かったわよ」
「というわけだから出来るだけ早く強くなってきてくれ」
「は、はい……」
と夏休みの宿題を課す教師のようなノリで世界最強クラスになってこいと指示されてしまった。
「どうします?」
他の人たちが既に帰った戦地で俺と杏奈さんとイザベルさんで作戦会議をすることになった。
「強くなるだけじゃない」
「そうだけどさ。急いで世界最強になれって言われているんだよ。ランクを一つ上げるのとはわけが違うよ」
レベル10とか15くらい能力値を上げるだけだったらまだ攻撃力のゴリ押しでどうにかなるかもしれないけど、多分今回は30とか40とか上げる必要があるんですよ。
「だが、課されたものはやるしかないだろう。大体期限としては2カ月程度だろうか」
「2カ月……」
「十分じゃない。薬漬けにしてしまえば半年分のレベル上げが出来るから」
「2カ月徹夜ってこと!?」
確か結構昔に100時間以上起き続けていた人が幻覚を見たり精神に異常が起きたりしたって話聞いたことあるんですが。
「大丈夫よ。エナジードリンクじゃなくてエリクサーだから」
「そんなにエリクサーは万能なのか「万能よ」」
食い気味に言わなくても。
「エリクサーに出来ないことは無いわ。今は飲んでも若返らないけれど、いずれは出来るようになるわ」
「それは無いと思います」
若返り機能まで付いちゃったらそれはまた別の薬なのよ。時を戻して疑似的に回復状態にさせちゃう系の悪魔の薬なのよ。
「とりあえず今ある薬をフル活用しつつ、『師走の先』の人たちに大量生産させるわ」
「相変わらず便利に使うなあ……」
「とりあえず一杯飲みましょう」
開始前の景気づけとして、エリクサー入り飲料を一杯飲んでから2カ月に渡る徹夜レベリングがスタートしてしまった。
46
あなたにおすすめの小説
異世界召喚されたが無職だった件〜実はこの世界にない職業でした〜
夜夢
ファンタジー
主人公【相田理人(そうた りひと)】は帰宅後、自宅の扉を開いた瞬間視界が白く染まるほど眩い光に包まれた。
次に目を開いた時には全く見知らぬ場所で、目の前にはまるで映画のセットのような王の間が。
これは異世界召喚かと期待したのも束の間、理人にはジョブの表示がなく、他にも何人かいた召喚者達に笑われながら用無しと城から追放された。
しかし理人にだけは職業が見えていた。理人は自分の職業を秘匿したまま追放を受け入れ野に下った。
これより理人ののんびり異世界冒険活劇が始まる。
『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!
IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。
無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。
一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。
甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。
しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--
これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話
複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています
『今日も平和に暮らしたいだけなのに、スキルが増えていく主婦です』
チャチャ
ファンタジー
毎日ドタバタ、でもちょっと幸せな日々。
家事を終えて、趣味のゲームをしていた主婦・麻衣のスマホに、ある日突然「スキル習得」の謎メッセージが届く!?
主婦のスキル習得ライフ、今日ものんびり始まります。
神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します
すもも太郎
ファンタジー
伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。
その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。
出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。
そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。
大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。
今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。
※ハッピーエンドです
異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます
内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」
――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。
カクヨムにて先行連載中です!
(https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)
異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。
残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。
一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。
そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。
そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。
異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。
やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。
さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。
そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。
平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。
そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。
カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。
やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。
魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。
これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。
エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。
第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。
旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。
ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載
精霊の森に捨てられた少女が、精霊さんと一緒に人の街へ帰ってきた
アイイロモンペ
ファンタジー
2020.9.6.完結いたしました。
2020.9.28. 追補を入れました。
2021.4. 2. 追補を追加しました。
人が精霊と袂を分かった世界。
魔力なしの忌子として瘴気の森に捨てられた幼子は、精霊が好む姿かたちをしていた。
幼子は、ターニャという名を精霊から貰い、精霊の森で精霊に愛されて育った。
ある日、ターニャは人間ある以上は、人間の世界を知るべきだと、育ての親である大精霊に言われる。
人の世の常識を知らないターニャの行動は、周囲の人々を困惑させる。
そして、魔力の強い者が人々を支配すると言う世界で、ターニャは既存の価値観を意識せずにぶち壊していく。
オーソドックスなファンタジーを心がけようと思います。読んでいただけたら嬉しいです。
コストカットだ!と追放された王宮道化師は、無数のスキルで冒険者として成り上がる。
あけちともあき
ファンタジー
「宮廷道化師オーギュスト、お前はクビだ」
長い間、マールイ王国に仕え、平和を維持するために尽力してきた道化師オーギュスト。
だが、彼はその活躍を妬んだ大臣ガルフスの陰謀によって職を解かれ、追放されてしまう。
困ったオーギュストは、手っ取り早く金を手に入れて生活を安定させるべく、冒険者になろうとする。
長い道化師生活で身につけた、数々の技術系スキル、知識系スキル、そしてコネクション。
それはどんな難関も突破し、どんな謎も明らかにする。
その活躍は、まさに万能!
死神と呼ばれた凄腕の女戦士を相棒に、オーギュストはあっという間に、冒険者たちの中から頭角を現し、成り上がっていく。
一方、国の要であったオーギュストを失ったマールイ王国。
大臣一派は次々と問題を起こし、あるいは起こる事態に対応ができない。
その方法も、人脈も、全てオーギュストが担当していたのだ。
かくしてマールイ王国は傾き、転げ落ちていく。
目次
連載中 全21話
2021年2月17日 23:39 更新
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる