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第35話
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「俺、ですか?」
あまりの衝撃に思わず俺と言ってしまった。
「うん。君だ。ただ、君が悪いわけではないよ。別に中学の頃ヤンキーだったとか高校に入ってからどこぞの不良グループに殴り込みをかけたとか、そういうことが理由じゃあないんだ。君達の行いは殆ど法に抵触しているわけでは無いし、周りに迷惑をかけているわけではない。寧ろ周囲にとってプラスになることをしてくれていたわけだしね」
「なら何故なんだ、ですか?」
その言葉に俺ではなく悠理が質問する。
「あはは。無理して気を使わなくていいよ。君達はまだ高校生なんだから」
「わかった。じゃあ普通に話させてもらう」
悠理はいつも通りの口調に戻った。
「そうだね。それが良いよ。じゃあ本題に戻るけど、何故千佳が学校を去る原因に晴君がなっているかだね。それは、君、千佳の事が好きじゃないからだよ」
「どうしてそう思ったんです?私は千佳の彼女ですよ」
「それはそうだね。でも千佳からの告白で、晴君が自分の事を嫌いなのに付き合ってくれているって本人が言ってたからだね」
あの女正直に喋りすぎじゃないか?彼氏の存在を父親にいうことは100歩譲って分かる。だが、俺が加賀美の事を嫌いだって話は言っちゃだめだろうが。
「本人が……」
「そうだね。確かに君は男としてかなり良い物件だし、正直父から見ても社長から見ても素晴らしいと評価できるよ」
「でもね、君が千佳の事を嫌いな以上、千佳の恋は絶対に叶うことは無いんだ」
確かにその通りだ。将来的に俺があいつのことを好きになることは殆どないだろう。
あまりの正論パンチに何も言い返せなかった。
「もし仮に叶わない恋だからってよ、無理に諦めさせる必要なんてないんじゃねえか?」
言い返したのは悠理だった。
「それに本人がよく分かっているんだ。知らないならそれで良いかもしれないが、理解していて覚悟しているんだからそれはそれで良いじゃないか」
「それに」
悠理は立ち上がって父に耳打ちをしていた。
「はっはっは。それなら可能性はあるかもな」
「おい何を言った悠理」
「内緒だ」
どうせろくでもないことでも吹き込んだのだろう。
ただそのお陰でどうにかなりそうだ。
「ただ、それでも可能性は非常に低いと思うよ。結局何事もなく終わるという展開が目に見えている。だから考えを変えるということはない」
この人の意思はかなり固いようだ。
「まあ、君が千佳の事を転校する前に好きだと言ってくれれば話は別ではあるけどね」
「好き、ですか」
なかなかな無理難題を提示されてしまった。
「加賀美様。次の時間が迫っております」
「分かった。すまないね。わざわざ来てもらったというのに」
「こちらこそありがとうございました」
「あんたの意思が固いことはよく分かりました」
「まあ社長だからね。それでは行くよ」
加賀美雄介は秘書に連れられ、部屋を出て行った。
「それじゃあ俺たちも帰るか」
「そうだな」
あまり収穫は無かったが、ひとまず理由だけでも知れただけで十分だ。
「これからお前はどうすんだ?結局はお前次第だろ?」
「そうだな」
少し考える必要があるようだ。
「晴さん。昨日学校を休んで私の家に来たらしいですね」
翌日、学校に着いて早々加賀美に話しかけられた。
「それがどうかしたか?」
「私が転校する理由を知ってしまったのですね」
加賀美は少し悲しそうな顔をしていた。
恐らく俺が原因だということを悟られたくなかったのだろう。
「まあそうだな。でも何で正直に言ったんだよ」
そもそもこんな話は俺が加賀美の事を嫌いだなんて話を父にしなければよかったのだ。
「色々なつてを使ってあなたの事を調べましたが、その時に情報は既に漏れていたのです」
「いくら権力があってもそれは父の力だものな。なら先に言ってしまおうってことか」
大元が父の力である以上、そこを使って手に入れた情報をあの父が見ないわけがない。
「はい。そのため、転校はどの道逃れられることは無かったのです」
「だからあの時から妙に積極的だったわけか」
あの時とは俺が加賀美の事を嫌いな状態で付き合っていることを知っていると加賀美に言われた時だ。
確かに加賀美っぽくないとは内心で思っていたが、そういった思惑があったのか。
「あの時父は何も言っていませんでしたが、こうなることは目に見えていたので」
なるほどな。
「分かっているのならその時に俺に言えばよかったじゃないか」
嫌いな相手なのに付き合うことにした男だ。好きな振りをしてくれなんて願いを受け入れないわけがないだろうに。
「それは嫌だったのです」
「迷惑だからか?嫌いな時点でそもそも迷惑だったのにか?」
「その理由は言えません」
「そうか。まあ何か理由があったんだろうな」
そこに関して深く追求する気は無い。既に終わったことだしな。
それよりも、一応俺はこいつの彼氏なんだ。それっぽいことしてやらねえとな。
そして放課後。
「悠理、一緒に帰るぞ」
いつも通り悠理は俺と帰ろうとする。
「わりい。今日は千佳と一緒に帰るわ」
悠理は少し驚いた顔をしたのちに、俺の肩に手を回し、
「相変わらずお前は人が良いな」
とだけ言い残し一人帰っていった。
そこは小野田さんと帰れよと言いたいところだが、小野田さんは部活で帰るのが3時間くらい後だから仕方ない。
「じゃあ行くか」
俺は近くにいた加賀美を連れ、出かけることにした。
あまりの衝撃に思わず俺と言ってしまった。
「うん。君だ。ただ、君が悪いわけではないよ。別に中学の頃ヤンキーだったとか高校に入ってからどこぞの不良グループに殴り込みをかけたとか、そういうことが理由じゃあないんだ。君達の行いは殆ど法に抵触しているわけでは無いし、周りに迷惑をかけているわけではない。寧ろ周囲にとってプラスになることをしてくれていたわけだしね」
「なら何故なんだ、ですか?」
その言葉に俺ではなく悠理が質問する。
「あはは。無理して気を使わなくていいよ。君達はまだ高校生なんだから」
「わかった。じゃあ普通に話させてもらう」
悠理はいつも通りの口調に戻った。
「そうだね。それが良いよ。じゃあ本題に戻るけど、何故千佳が学校を去る原因に晴君がなっているかだね。それは、君、千佳の事が好きじゃないからだよ」
「どうしてそう思ったんです?私は千佳の彼女ですよ」
「それはそうだね。でも千佳からの告白で、晴君が自分の事を嫌いなのに付き合ってくれているって本人が言ってたからだね」
あの女正直に喋りすぎじゃないか?彼氏の存在を父親にいうことは100歩譲って分かる。だが、俺が加賀美の事を嫌いだって話は言っちゃだめだろうが。
「本人が……」
「そうだね。確かに君は男としてかなり良い物件だし、正直父から見ても社長から見ても素晴らしいと評価できるよ」
「でもね、君が千佳の事を嫌いな以上、千佳の恋は絶対に叶うことは無いんだ」
確かにその通りだ。将来的に俺があいつのことを好きになることは殆どないだろう。
あまりの正論パンチに何も言い返せなかった。
「もし仮に叶わない恋だからってよ、無理に諦めさせる必要なんてないんじゃねえか?」
言い返したのは悠理だった。
「それに本人がよく分かっているんだ。知らないならそれで良いかもしれないが、理解していて覚悟しているんだからそれはそれで良いじゃないか」
「それに」
悠理は立ち上がって父に耳打ちをしていた。
「はっはっは。それなら可能性はあるかもな」
「おい何を言った悠理」
「内緒だ」
どうせろくでもないことでも吹き込んだのだろう。
ただそのお陰でどうにかなりそうだ。
「ただ、それでも可能性は非常に低いと思うよ。結局何事もなく終わるという展開が目に見えている。だから考えを変えるということはない」
この人の意思はかなり固いようだ。
「まあ、君が千佳の事を転校する前に好きだと言ってくれれば話は別ではあるけどね」
「好き、ですか」
なかなかな無理難題を提示されてしまった。
「加賀美様。次の時間が迫っております」
「分かった。すまないね。わざわざ来てもらったというのに」
「こちらこそありがとうございました」
「あんたの意思が固いことはよく分かりました」
「まあ社長だからね。それでは行くよ」
加賀美雄介は秘書に連れられ、部屋を出て行った。
「それじゃあ俺たちも帰るか」
「そうだな」
あまり収穫は無かったが、ひとまず理由だけでも知れただけで十分だ。
「これからお前はどうすんだ?結局はお前次第だろ?」
「そうだな」
少し考える必要があるようだ。
「晴さん。昨日学校を休んで私の家に来たらしいですね」
翌日、学校に着いて早々加賀美に話しかけられた。
「それがどうかしたか?」
「私が転校する理由を知ってしまったのですね」
加賀美は少し悲しそうな顔をしていた。
恐らく俺が原因だということを悟られたくなかったのだろう。
「まあそうだな。でも何で正直に言ったんだよ」
そもそもこんな話は俺が加賀美の事を嫌いだなんて話を父にしなければよかったのだ。
「色々なつてを使ってあなたの事を調べましたが、その時に情報は既に漏れていたのです」
「いくら権力があってもそれは父の力だものな。なら先に言ってしまおうってことか」
大元が父の力である以上、そこを使って手に入れた情報をあの父が見ないわけがない。
「はい。そのため、転校はどの道逃れられることは無かったのです」
「だからあの時から妙に積極的だったわけか」
あの時とは俺が加賀美の事を嫌いな状態で付き合っていることを知っていると加賀美に言われた時だ。
確かに加賀美っぽくないとは内心で思っていたが、そういった思惑があったのか。
「あの時父は何も言っていませんでしたが、こうなることは目に見えていたので」
なるほどな。
「分かっているのならその時に俺に言えばよかったじゃないか」
嫌いな相手なのに付き合うことにした男だ。好きな振りをしてくれなんて願いを受け入れないわけがないだろうに。
「それは嫌だったのです」
「迷惑だからか?嫌いな時点でそもそも迷惑だったのにか?」
「その理由は言えません」
「そうか。まあ何か理由があったんだろうな」
そこに関して深く追求する気は無い。既に終わったことだしな。
それよりも、一応俺はこいつの彼氏なんだ。それっぽいことしてやらねえとな。
そして放課後。
「悠理、一緒に帰るぞ」
いつも通り悠理は俺と帰ろうとする。
「わりい。今日は千佳と一緒に帰るわ」
悠理は少し驚いた顔をしたのちに、俺の肩に手を回し、
「相変わらずお前は人が良いな」
とだけ言い残し一人帰っていった。
そこは小野田さんと帰れよと言いたいところだが、小野田さんは部活で帰るのが3時間くらい後だから仕方ない。
「じゃあ行くか」
俺は近くにいた加賀美を連れ、出かけることにした。
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