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第三章:動乱の魔界
第四話:暗闘の使者
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魔界の夜は深く、陰謀の影が濃くなる。
アルゼリオンの陣営が築かれた要塞都市・黒壁砦。そこはかつて魔王の軍事拠点の一つであり、戦乱の時代を生き延びた堅牢な砦である。今、その城内では魔界最大の軍閥を率いる老将軍が、新たな戦局を見据えていた。
「……王城は制圧できず、エルミナは健在。加えて、王城の防衛戦力が想定以上に増強されていた、か」
アルゼリオンは卓上の地図を睨みながら低く呟いた。
「エルミナめ、余計な手札を隠し持っていやがったな。だが、まだ勝敗は決したわけではない」
その時、部屋の扉が静かに開いた。
「ふむ、貴様か」
アルゼリオンが視線を向けると、そこには漆黒の鎧を着けた長身の男が立っていた。
ヴァルゼオ・ダールヴェルク。
《勇者殺し》の二つ名で知られる魔族の将であり、かつて幾多の戦場を駆け抜けた剣士。彼は悠然とした態度で歩み寄ると、興味深げにアルゼリオンを見つめた。
「お初にお目にかかるな、老将軍殿」
「……何用だ?」
「単刀直入に言おう。俺は貴殿の戦に興味がある」
ヴァルゼオは微笑を浮かべながら言葉を続けた。
「エルミナが玉座に就くのは、俺の意にそぐわない。だが、貴殿のような堅物が魔王になるのも面白くない」
「ふん、どちらにも与する気はないというわけか」
「いや、少なくとも今は貴殿に協力しよう」
その言葉に、アルゼリオンの眼光が鋭さを増した。
「俺を試すつもりか? 貴様の剣がどちらを向くか、信用する理由がないな」
「信用? そんなものが必要か?」
ヴァルゼオは肩をすくめると、剣の柄に手をかけた。
「俺が信じるのは強者だけだ。エルミナの背後には何者かがついている。それを明らかにし、叩き潰すには、お前の軍が必要だ」
「……」
アルゼリオンは黙考した。
ヴァルゼオは剣の腕だけでなく、策略にも長けた魔族だ。彼をうまく利用できれば、戦局を有利に進めることも可能かもしれない。しかし、彼がどこまで本気なのか、見極める必要があった。
「ならば聞こう。貴様が得た情報を寄越せ」
「いいだろう」
ヴァルゼオは薄く笑うと、エルミナの軍勢の動向を話し始めた。王城を守る魔族たちの構成、彼女が隠し持つ戦力、そして──エルミナが密かに接触しているという、ある者の存在について。
「なるほど……」
アルゼリオンは腕を組み、低く唸った。
「貴様が語る情報が本当ならば、奴の動きが手に取るように分かるというわけか」
「その通り。俺の情報を活かすかどうかは、貴殿の判断に委ねる」
ヴァルゼオの言葉に、アルゼリオンはわずかに目を細めた。
──この男を利用するか、切り捨てるか。
戦の行方を大きく左右する、危険な駆け引きが今、始まった。
アルゼリオンの陣営が築かれた要塞都市・黒壁砦。そこはかつて魔王の軍事拠点の一つであり、戦乱の時代を生き延びた堅牢な砦である。今、その城内では魔界最大の軍閥を率いる老将軍が、新たな戦局を見据えていた。
「……王城は制圧できず、エルミナは健在。加えて、王城の防衛戦力が想定以上に増強されていた、か」
アルゼリオンは卓上の地図を睨みながら低く呟いた。
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その時、部屋の扉が静かに開いた。
「ふむ、貴様か」
アルゼリオンが視線を向けると、そこには漆黒の鎧を着けた長身の男が立っていた。
ヴァルゼオ・ダールヴェルク。
《勇者殺し》の二つ名で知られる魔族の将であり、かつて幾多の戦場を駆け抜けた剣士。彼は悠然とした態度で歩み寄ると、興味深げにアルゼリオンを見つめた。
「お初にお目にかかるな、老将軍殿」
「……何用だ?」
「単刀直入に言おう。俺は貴殿の戦に興味がある」
ヴァルゼオは微笑を浮かべながら言葉を続けた。
「エルミナが玉座に就くのは、俺の意にそぐわない。だが、貴殿のような堅物が魔王になるのも面白くない」
「ふん、どちらにも与する気はないというわけか」
「いや、少なくとも今は貴殿に協力しよう」
その言葉に、アルゼリオンの眼光が鋭さを増した。
「俺を試すつもりか? 貴様の剣がどちらを向くか、信用する理由がないな」
「信用? そんなものが必要か?」
ヴァルゼオは肩をすくめると、剣の柄に手をかけた。
「俺が信じるのは強者だけだ。エルミナの背後には何者かがついている。それを明らかにし、叩き潰すには、お前の軍が必要だ」
「……」
アルゼリオンは黙考した。
ヴァルゼオは剣の腕だけでなく、策略にも長けた魔族だ。彼をうまく利用できれば、戦局を有利に進めることも可能かもしれない。しかし、彼がどこまで本気なのか、見極める必要があった。
「ならば聞こう。貴様が得た情報を寄越せ」
「いいだろう」
ヴァルゼオは薄く笑うと、エルミナの軍勢の動向を話し始めた。王城を守る魔族たちの構成、彼女が隠し持つ戦力、そして──エルミナが密かに接触しているという、ある者の存在について。
「なるほど……」
アルゼリオンは腕を組み、低く唸った。
「貴様が語る情報が本当ならば、奴の動きが手に取るように分かるというわけか」
「その通り。俺の情報を活かすかどうかは、貴殿の判断に委ねる」
ヴァルゼオの言葉に、アルゼリオンはわずかに目を細めた。
──この男を利用するか、切り捨てるか。
戦の行方を大きく左右する、危険な駆け引きが今、始まった。
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