よろず屋ななつ星~復讐代行承ります~ 藤ノ宮女子高校死亡案件

月見里ゆずる(やまなしゆずる)

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序章

序章

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 ――ジグソーパズルは端からはじめると完成しやすい。
 外堀を埋めて中へ追い込むようにピースを合わせていく。

 総ピースが多いほど一つ一つのピースが小さい。

 似ている柄がないかピースがないのか?
 ヒントは小さな所にある。よく見ないと。
 ピースをなくしたらさあ大変!!

 バラバラに散りばめられたピースを見るたびに気が遠くなる。

 かと言ってずっとパズルに向き合うのはよくない。
 適度な休憩も必要だ。
 お茶でもコーヒーでもいいから一杯飲む。
 しばらく休んだらまたパズルと向き合う。
 ジグソーパズルはそれの繰り返しだ。
 
 時間かかってもいいから、少しずつコツコツとやるのが完成する秘訣だ。
 
 最後のピースをはめた時完成した時の快感は言うまでもない。
 
 ――個人情報の特定も復讐代行もジグソーパズルと一緒だ。

『個人情報特定しますた』
『いまから家突撃しまーす!』
 動画のコメントには「いよいよかw」と2人をあおる内容が出てくる。
 閑静な住宅街にカメラ片手に若い男性2人組の声が響く。
 昔ながらの日本家屋と小さな庭。
 カメラに映し出された門扉の瓦表札には金井と書かれている。 
 
 男性二人はインターホンを鳴らして動画投稿で使っている名前を名乗る。
『しらさぎ高校二年二組、金井くん同級生虐めたんですってねー! 人殺し!』 
『ほら、表でろや!!』
 出てきたのは壮年の男性。白髪混じりで恵比寿えびす顔。まん丸とした体型。
 四十代ぐらいだろう。
「君たち、何かご用かい?」
『あっ、金井くんのお父さんですか? 金井新次郎かないしんじろうさん。おたくの息子さんいじめをしたんでしょ? とってもらわなきゃ!』
 新次郎は顔を強ばらせた。
『土下座しろ! あ、それ、土下座しろ!』
 男性二人に煽られた新次郎はすぐさま家に戻った。

 とある高校でいじめが発生した。
 その加害者と思われてる金井裕介は同級生の松尾に回し蹴りしたあげく、取り巻きが動画を撮っていた。
 取り巻きによってネット投稿されニュースに取り上げられた停学処分になったが、金井裕介は何もされることなく普通に学校生活を送っている。
 男性二人は満足気だった。
 いじめっ子の親が動画に全世界で公開されたのだ。
 それだけでも充分なダメージになる。
 金井家はますます外に出られないだろう。
 ネットのコメント欄は称賛の嵐だ。

 この件はうやむやになりそうだったので、本人家族に突撃してダメージを与えようとした。

 ――彼ら彼女たち"よろず屋ななつ星"達の調査の賜物である。
 
 個人情報を吊るし上げられたらさあ大変。
 本人はもちろん、家族・関係者も巻き込まれる。
 国の偉い人だろうが有名人だろうが一般人だろうが。
 生活、人生が悪い方向へ……なんて人少なくない。


 表向きは家の修繕、家事手伝い、浮気・身辺調査など請け負っている。
 
 ――その裏で復讐代行案件を請け負っている。
 
 ヒントとなるSNSの投稿やネット上の情報を下に、個人情報の特定・拡散・突撃をする。
 復讐のために、時にはスパイ活動のようなこともする。
 主なターゲットは炎上した人、やらかした人、依頼人の復讐相手の人などなど。そしてターゲットの関係者。
 それが一般人だろうが権力者だろうが容赦しない。
 最後には社会的制裁をすることでターゲットを追い詰める。

 ある人は言う。
 ――よろず屋ななつ星はマスコミより質が悪い。

 またある人は言う。
 ――一度目をつけられると逃げられない。

 とかく世の中は理不尽なことだらけだ。
 
 いじめっ子がのうのうと平穏な生活を送っている。
 上司が問題をおこしても『人手不足』を理由にそのまま会社に居座っている。
 忘れ物をしただけで居残り学習と称して、生徒指導室でひたすら教科書の文章を写すだけの作業を強いられる。
 誰かが事案を起こしたからと連帯責任でだだっ広い運動場を何周も走る。
 などなど枚挙まいきょいとまがない。
 大人の事情や忖度そんたくで泣き寝入りする人がどれぐらいいるだろうか。

 
 ――これは正義の制裁。吊し上げをされるようなことをするほうが悪いの。
 ――因果応報、自業自得。

 それだけ正義に飢えているんだから。

 だから”よろず屋ななつ星”がある。


 では正義の制裁物語始まり始まり。
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